2023年(令和5年) 05月10日(水)付紙面より
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「デジタル田園都市国家構想」を掲げる政府は、移住支援制度による補助金などを用意して地方移住政策を進め、2027年度には東京圏から地方への移住者を年間1万人にする具体的な目標を設定した。東京一極集中がもたらす弊害をなくし、地方の活力を取り戻すことが狙い。人が減って存続が危ぶまれている地域もある。実効性のある対策が急務だ。
今月、鶴岡市は地域おこし協力隊員に同市羽黒町出身の、元京都府宇治市職員、鈴木けいさん(31)を委嘱した。温海生涯学習振興会職員として、青少年教育支援や生涯学習活動に取り組む。庄内出身者以外の地域おこし協力隊員も多く活躍している。こうした人たちが庄内に定着し、ほかの移住者につながる呼び水になってもらいたい。
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地域おこし協力隊は、過疎地域などに移り住み、地域の潜在資源を掘り起こし、地場産品の開発・販売などによって地域の活性化を図る、政府支援の事業。農林水産業に従事してもらい、高齢化が進む住民を支援する狙いもある。協力隊員は自治体が委嘱し報酬も伴うが、任期は1?3年程度。起業し、そのまま定住する人もいるが、必ずしもそうしたケースばかりでない。
政府が23年度から地方移転を促す支援金を拡充し、27年度に年間1万人の移住者を目標にした政策は、移住先で地域の活力につながる起業をする者に最大300万円、テレワークで従来の仕事を続ける「転職なしの移住」に世帯当たり100万円(単身60万円)、18歳未満の子どもと一緒の移住には子ども1人当たり最大100万円が加算される。コロナ過を契機に20?30代の地方移住者が増えているとされ、この傾向に弾みをつけたいようだ。
移住とは若干異なる。県立遊佐高校は、遊佐町が設けた町自然体験型留学支援制度で、県外の生徒2人を受け入れた。2人は名古屋市出身。遊佐高卒業後は酒田市の東北公益文科大に進学して地元に残る。高校生が大都市圏志向から、地方の高校に目を向け始めているといわれる。地方移住者につながる契機になるのではないか。
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庄内の9高校の生徒が、地域文化情報誌などを手掛ける「出羽庄内地域デザイン」の協力で、地元企業を訪ねて会社の魅力や働く人の声などを取材してまとめた小冊子3800部を発行、庄内の高校2年生全員2155人に配布した。地元の定住人口を増やすには、まずもって地元の「今ある姿」を知らねばならないということのようだ。
今年の外国人を含む15歳未満の子どもは前年比30万人減の1435万人。42年続けての減少。国内の総人口は70年に8700万人まで減る。地方移住を促しても、日本全体の総人口が変わることはない。しかし、首都圏の人口集中を解消し、地方の人口が増えなければ、国の“土台”をしっかり支えることはできない。
2023年(令和5年) 05月10日(水)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡公園「二の丸広場」で8日、飲食物を販売提供するキッチンカー(移動販売車)の出店が始まった。第1号となったハンバーガーのキッチンカー1台が広場に乗り入れ、昼食を買い求める市民の姿が見られた。
鶴ケ岡城址の同公園の魅力を高めようと、市が2021年度から公園正面の広場整備を行い、移動販売車の乗り入れが可能なイベントスペースを設けるなどし今年3月にオープンした。
8日の昼時は小雨が降る肌寒い天候となったが、市役所など近隣の事業所に勤務する市民が訪れ、好みのハンバーガーを注文していた。いつもは自分で作った弁当持参という20代男性は「鶴岡市のホームページで大好きなハンバーガーのキッチンカーが来ると知り、今日は弁当を作らずに昼食を楽しもうと思った。鶴岡公園に新たな魅力が加わり、若い人たちに人気が出るのでは」と話していた。
出店第1号となったジャーミン・バーガーの佐藤覚(さとる)さん(45)=鶴岡市西沼=は「キッチンカーを始めて3年。出店料も安く、まずは試しにやってみようと思った。近くに高校もあり、放課後の高校生向けの学割も考えたい。今月は22日も出店するが、その先は状況を見て検討したい」と話した。
9日はカレーライスのキッチンカーが出店した。5月は台湾料理、シャーベットアイスなど取り扱うキッチンカーを加え計4台が1日1台ずつ計9日間出店する。現在6月の出店申し込みを受け付けている。
本年度の出店期間は11月まで。毎月初めから翌月の出店申し込みを1日最大6台まで受け付ける。出店時間は午前10時―午後7時で、出店条件は庄内地域を拠点に県庄内保健所の営業許可証を有する事業者。酒類の販売はできない。出店料は1日1平方メートル当たり22円(幅2メートル長さ5メートルの場合1日220円)。出店に関する問い合わせ、申し込みは市都市計画課公園緑地係=電0235(35)1332=へ。
2023年(令和5年) 05月10日(水)付紙面より
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2023年度田川地区中学校駅伝競走大会(田川地区中学校体育連盟、鶴岡、三川、庄内各市町教育委員会、鶴岡市陸上競技協会主催、荘内日報社後援)が9日、鶴岡市小真木原陸上競技場スタート・ゴールで行われた。午前10時10分、号砲とともに女子がスタート。県大会出場を懸け、各校がたすきをつないだ。結果は11日付に掲載する。
田川地区の頂点を目指す伝統の大会で男子は52回、女子は29回を迎えた。男女とも上位2校が県大会(9月、天童市)に出場する。
午前9時から開会式が行われ、優勝旗「荘日旗」と優勝杯が返還された後、和田恭司田川地区中体連会長が「学校と自分の誇りをたすきに込めて走るとともに、精いっぱいの走りと応援を後輩に示して達成感、満足感を持ち帰ってもらいたい」とあいさつ。荘内日報社の橋本政之社長が「コロナによる制限が緩和され、スタンドに観客の姿が見える。こうした普通の光景を皆さんと共有できるのが何よりうれしい。日頃の練習の成果を発揮し全力で頑張ってください」と祝辞を述べた。
続いて選手を代表して前回大会の男子優勝校・三川中の菅原凰雅主将(3年)が「支えてくれた仲間や先生への感謝を忘れず、最後まで諦めず全力で走り抜く」と宣誓した。
この日は青空が広がり、日が高くなるにつれて気温も上昇。絶好のコンディションの中、選手たちは競技場内で入念にアップを繰り返し、レースに向けて準備を整えていた。午前10時10分、号砲とともに女子1区がスタート。13チームが小真木原公園を周回する5区間12キロのコースでたすきをつなぎ、白熱したレースを展開した。男子は同11時半にスタートし6区間18キロで順位を争った。