2023年(令和5年) 05月06日(土)付紙面より
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「誰か捨て、誰か拾う」―。27日、酒田市飛島の海岸を清掃する「海ごみとの戦い・飛島クリーンアップ作戦」の、参加者募集のキャッチフレーズだ。同作戦は今年23回目。毎年大勢のボランティアが参加しているのに、拾っても拾ってもなくならない。海岸ごみの源は、捨てる人がいるからにほかならない。
海岸漂着ごみに悩まされているのは、飛島だけではない。日本列島、さらには世界全体の問題になっている。中でもプラスチック類は深刻で、南太平洋には「地球上で最も汚染された世界自然遺産の島」と呼ばれている島もある。飛島のボランティア活動から環境保全を学び、その意識を広げたい。
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飛島の西海岸は弓なりの地形と海流、季節風の影響で漂着ごみが堆積しやすい。2001年に始まった飛島クリーンアップ作戦は、開学した東北公益文科大学の学生、酒田市のNPO法人・パートナーシップオフィスなどによる実行委員会が、毎年5月下旬に実施している。実行委員会のホームページによれば、これまでの参加人数は累計4500人、回収量約48・5トンとある。
クリーンアップ作戦は人海戦術が頼り。回収したごみを港がある東海岸の勝浦港に運ぶには、波が穏やかなら小型漁船に積んで運ぶこともできるが、それができなければ波打ち際から約300メートル離れた道路まで、山の斜面をバケツリレー式で運ぶ。漂着ごみのうち木材類は拾って家庭用の燃料にした時代もあったが、それらに代わってプラスチック類、漁網などの漂着が多くなった。島の人口は150人余まで減り、高齢化率が77%余という状況では、島民による漂着ごみ処理はできない。
今年のクリーンアップ作戦の募集人員は、高校生以上から体力のある75歳ぐらいまでの100人。8日午前10時から9日午後5時まで受け付け、定員を超えたら抽選になる。参加費は船賃、昼食代含め一般2000円、学生1000円。問い合わせはパートナーシップオフィス=電0234(26)2381=へ。
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環境省が07、08年に飛島で実施した海洋ごみ削減と回収方法を探る調査では、島に流れ着くごみは年間十数トンと推計された。それらの6割から7割は内陸部が発生源。とりわけ微細になったマイクロプラスチックの多さが深刻だ。安易にごみを捨てることが、美しい海岸を汚し、生態系にも影響している。
飛島クリーンアップ作戦は全国の先駆けになり、09年に施行された「海岸漂着物処理対策推進法」につながった。同法の正式名は「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」。長文だが、美しい海を守ることに尽きる。漂着ごみを人ごとにしていては、いつになっても美しい海にはならない。
2023年(令和5年) 05月06日(土)付紙面より
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酒田市平田B&G海洋センターのヨット・カヌー場が3日、今季の営業を開始し、大勢の家族連れが新緑に囲まれた池にカヌーやボートなどで繰り出し、“水上散歩”を楽しんだ。
同センターは1987年5月、公益財団法人「ブルーシー・アンド・グリーンランド財団」(東京都)が海洋性レクリエーションの普及を図るため、飛鳥地区の体育館とプール、山谷地区のヨット・カヌー場の3施設を整備しオープン。90年11月に旧平田町に譲渡され、合併を経て現在は市が管理している。
このうちヨット・カヌー場は山谷地区にある大町溝土地改良区の農業用ため池「新溜」(広さ約5ヘクタール)に艇庫を整備し、毎年5―9月の日・祝日に営業している。新溜の堤体損傷でここ数年、北西約300メートルにある泉谷地(同約12ヘクタール)で運営してきたが、修復工事を終えて今季から新溜に再び戻った。
今季初日となった3日は午後1時から無料開放された。晴天に誘われて県内外から家族連れなどが次々に訪れ、カヌーや手こぎボートなどに乗り、陽光を浴びて輝く水面に繰り出し、新緑が濃くなった森を背景に悠々と水上散歩を楽しんでいた。
大型連休を利用し新潟市西区から酒田市砂越緑町の父親の実家に帰省中の齋藤遥加さん(9)、直樹君(6)のきょうだいは「ヨットは初めて。パドルをこぐと前に進むところが楽しかった。風も気持ちいい」と話した。
ヨット・カヌー場は9月24日(日)までの日・祝日に営業(夏休み期間中は土曜日も営業)。時間は午前9時―正午、午後1―4時。使用料は、半日単位で、OPヨットとカヌー、セールボードが大人420円(高校生以下220円)、ペアカヌーとローボートなどは同630円(同310円)。一人で乗船できるのは小学4年生以上。問い合わせは市平田B&G海洋センター=電0234(52)3284=へ。
湿地の自然 魅力体感 大山・下池 100人がボート体験
鶴岡市大山の下池で4、5日の両日、手こぎのボート体験が行われ、多くの家族連れが湿地の自然に触れた。
下池そばにある市自然学習交流館ほとりあ(富樫均館長)が企画。大山地区では、1960年ごろまで観光客向けに下池でボート体験を行っていた。ほとりあは同地区の文化と湿地の魅力を体感してもらおうと、毎年春と渡り鳥が飛来する前の秋に開催している。ボートは当時使っていた強化プラスチック製の小型ボート(長さ約2メートル)を活用した。
初日は市内を中心に20組、65人の家族連れが参加。緑が全面に広がる中、親子で協力してオールをこいだ。池の水に触れてみたり、高館山を背景に記念撮影する参加者も見られた。
家族4人で訪れた田中結菜さん(8)=同市平成町=は「水が冷たくて気持ちよかった。景色もきれいで楽しかった」と話した。
ボート体験は両日合わせて約100人が参加した。
2023年(令和5年) 05月05日(金)付紙面より
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酒井忠次公ゆかりの地で時代考証陣が語る―。NHK大河ドラマ「どうする家康」の時代考証を担当している柴裕之東洋大文学部非常勤講師と平山優健康科学大特任教授による歴史講演会「家康と忠次が生きた時代―危機を乗り越えた先に―」が6月3日(土)、鶴岡市中央公民館で開かれる=写真。入場無料で先着300人の聴講を受け付けている。
酒井家庄内入部400年記念事業NEXT(ネクスト)100として、同記念事業実行委員会が主催、「徳川家康と酒井忠次」の特別展を開催中の致道博物館が共催する。家康と「徳川四天王」の筆頭に挙げられる庄内藩主酒井家の祖・忠次公が「天下取り」に向け歩んだ戦国時代の学びを深めながら、改めて酒井家と庄内の歴史と文化を見つめ直す機会とする。
柴さんが「家康と忠次―二人が歩んだ徳川家の戦国時代」、平山さんが「家康VS武田信玄・勝頼―戦争と外交」と題して講演。引き続き、時代考証から見た家康と忠次公について対談する。
入部400年記念事業公式サイトの応募フォーム(QRコード)から申し込みできる。問い合わせは市社会教育課=電0235(57)4868=へ。
「どうする家康」と連携冊子 ゆかりの地鶴岡の歴史と文化紹介 9万部発行 市内各施設で無料配布
鶴岡市は、庄内藩主酒井家の祖・酒井忠次公が徳川家臣団のリーダーとして登場しているNHK大河ドラマ「どうする家康」と連携し、同市の魅力をアピールする冊子を発行した。忠次公役の大森南朋さんのインタビュー記事など番組に関するページとともに、忠次公ゆかりの地として「酒井家の城下町鶴岡」の歴史と文化を紹介した。9万部発行し、同市内の関連施設などで無料配布している。
NHKとの相互協力で作成、発行した。これまでの大河ドラマでも同様に、NHKは関係する自治体と連携した地域ごとのPR冊子を作っている。
冊子のタイトルは「どうする家康+山形県鶴岡市」で、A4判カラー8ページ。表紙に主人公家康役の松本潤さんを配し、登場する人物の関係図、大森さんの記事を掲載。インタビューに大森さんは「徳川勢には、これからもさまざまな苦難が待ち受けます。三方ヶ原の戦いや設楽原の戦い、本能寺の変…。(中略)さらなる家康の成長、そして忠次たち家臣団の活躍にぜひご期待ください」と答えている。
酒井家の城下町鶴岡のPRは後半に4ページ分ある。旧鶴ケ岡城跡の鶴岡公園と周辺のマップを載せ、庄内藩校致道館や荘内神社、致道博物館、酒井家の菩提寺・大督寺などを紹介。併せて「鶴岡グルメ」として地魚や笹巻、麦切りなど食文化も発信。旧庄内藩士の開拓による松ケ岡開墾を起点にした日本遺産「サムライゆかりのシルク」の構成文化財も写真入りで紹介した。
鶴岡市内の公共・文化・観光施設をはじめ、県内や宮城・秋田・新潟の隣県の道の駅、観光案内所などに置いて配布するほか、首都圏のふるさと会、東京都の江戸川区と墨田区、新島村、北海道の木古内町と名寄市、鹿児島県の鹿児島市と曽於市の友好都市にも送り、忠次公ゆかりの城下町をアピールし誘客に役立てる。発行経費は約450万円。