2023年(令和5年) 09月02日(土)付紙面より
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鶴岡市槙代の天魄(てんぱく)山麓にある「温和の森」で31日、あつみ小学校(里見研校長、児童131人)の3年生20人が焼き畑での温海かぶの種まきを体験した。殺菌効果の高い焼き畑の特性について説明を受け、地元の特産物と伝統農法について理解を深めた。
森・川・海の資源を活用した地域の営みを学び、関心を高めてもらう「天魄森林自然教室」の一環。鶴岡市がやまがた緑環境税を活用し、あつみ小3―5年生を対象に実施している。
種まき体験は約50平方メートルの急斜面の畑で行われた。初めに温海町森林組合職員による火入れを見学。火入れには5年生が7月に温和の森で枝打ちした枝が使われた。市温海庁舎職員から「火入れをすることで病気や虫の害を防ぎ、殺菌の効果がある。さらに草木灰が栄養満点の天然肥料となる」と伝統の焼き畑農法について説明を受けた。
畑の火が収まった後、児童たちは川底から採取した砂と混ぜ合わせたカブの種を手に取り、斜面の上と下から「大きくな~れ」「おいしくな~れ」と声をそろえて勢いよくまいた。
伊藤大夢君(9)は「ばい菌を防ぐ灰の力はすごいと思った。今日まいた種も大きなカブに育ってほしい」と話していた。3年生は11月下旬ごろ収穫と温海かぶの漬け込み体験を行う。余った種は校舎のプランターなどに植え、来年度の3年生が新たに種を採取するという。
2023年(令和5年) 09月01日(金)付紙面より
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鶴岡市は本年度、地元産農産加工品の英国ロンドン市場への売り込みに向け、12月のクリスマス商戦に合わせた現地での販売促進フェアを実施する。フェアに出品する輸出商品を選定する審査会が30日、市内で始まった。現地バイヤーが市内30事業者から申請のあった64品目の原材料や賞味期限などを確認し、現地スーパーで実際に販売する商品を9月中に絞り込み、12月のフェアに向け船便で輸出する。
農林水産省の補助を受け、「ロンドン市場開拓チャレンジ事業」として本年度から3カ年取り組む。英国を含む欧州市場は日本国内の競合産地が少ないことなどから、新規参入と販路拡大の可能性を探る。市は、円安の進行も輸出への好機と捉えている。本年度の事業費は450万円。
ロンドン市場に関しては既に、市内の事業者と現地バイヤーが地元産の農産物や加工品の輸出と販売を手掛けている。今回のフェアはこの枠組みを活用して行い、山形市出身の鹿野喜志枝プラチディさん(56)が代表を務める「プラチディインターナショナル」(イタリア)が事業をコーディネートする。
審査会は日本の食材をロンドンの飲食店やスーパーに卸している「ジャパンフードエクスプレス」の北林靖規代表(55)、ロンドンで展開する日本食品スーパー「ナチュラル・ナチュラル」の萱田森人マネジャー(39)の現地バイヤーと鹿野さんを迎えて、市総合保健福祉センターにこ・ふるで1日まで行う。申請のあった商品は、特産のだだちゃ豆の加工品やパックご飯、みそ、麦切り、そば、菓子類、地酒など。各事業者が商品の特長や製造方法などを説明し、現地バイヤーの2人は味や輸入規制の原材料が使用されていないかなどを入念にチェックした上で、輸出できる数量などを確認していた。
北林代表と萱田マネジャーは「ロンドンでは10年ほど前から富裕層を中心に日本の米や餅、麺類、みそなどへの関心が高まり、需要が伸びている。販促フェアにはできるだけ多くの鶴岡産の商品を持ち込みたい」と話した。
選定された商品はバイヤー側が買い取り、10月上旬に船便の冷蔵コンテナで英国に輸出され、12月に2週間ほどナチュラル・ナチュラルの店舗で開催する販促フェアで販売。試食や消費者・飲食店のアンケートなどで市場拡大の可能性を探るほか、フェア後の市内事業者との直接的な商談にもつなげていく。
2023年(令和5年) 09月01日(金)付紙面より
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「大豆100粒運動」を進めている鶴岡市の大山小学校(生田弥恵校長、児童303人)で31日、枝豆(大豆)の収穫が行われた。1年生44人が、今年6月から学校の畑で育ててきただだちゃ豆の品種の一つ「尾浦」の収穫を楽しんだ。
大豆100粒運動は、大豆栽培を通して「食」の大切さをについて考える機会にしようと料理家で随筆家の辰巳芳子さんが提唱した。2004年に長野の小学校で始まり、その後全国に広がった。大山小では、辰巳さんと親交があった「つけもの処本長」=大山一丁目=の本間光廣会長(78)と枝豆農家の齋藤健二さん(53)=栃屋=が中心となり、県内では初めて100粒運動に参加。今年で9年目を迎えた。例年1年生が種まきから収穫まで体験している。
今年は猛暑となり「尾浦」の収穫期は1週間から10日ほど早くなったが「実りは良い方」という。軍手を着けた子どもたちは本間会長と一緒に畑から抜き取り、枝いっぱいに実った豆さやをとった。
子どもたちは「見て見てたくさん実が付いてる」「今日は(枝豆を)いっぱい食べるぞ」と楽しそう。本間会長は「温暖化による気候変動でこれまで通りに農作物が育つのか。専門家や有識者の間で食糧難が心配されている。そうした中で、子どもたちに『食』のありがたさと収穫の喜びを伝えることも大切」と話していた。
収穫した枝豆は、この日の給食に出されたほか、各家庭に持ち帰った。畑に半分ほど残した「尾浦」は大豆にして11月ごろ収穫する。それと一緒に来年用の種も採る。