2021年(令和3年) 12月16日(木)付紙面より
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18歳以下の子どもへのクーポン配布を含めた計10万円相当の給付について、岸田文雄首相が年内の現金一括給付を容認する考えを示した。これを受け、庄内地域の5市町のうち鶴岡、酒田、庄内の3市町は15日までに、年内に現金10万円の一括給付を行う方針を固めた。三川、遊佐の両町は年内に現金5万円を給付し、残る5万円分については今後検討する。
鶴岡市は政府の方針転換を踏まえ、急きょ全額を現金で一括給付する方針を決めた。開会中の市議会12月定例会の最終日の17日に、関連予算を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を追加提出する。給付対象は約1万7000人。児童手当を受給する世帯などは申請手続きが必要なく、年内に児童手当の口座に振り込む予定。高校生相当の子どもが、児童手当の受給対象の子どもと同居していない場合や公務員児童手当を受給する世帯は申請が必要。年明けにも申請受け付けを開始し、その後の振り込みとなる。
酒田市は児童手当を受給している中学生以下の子どもがいる約5500世帯、対象約1万人に27日、現金10万円を給付する。高校生のみの世帯や新生児のいる世帯には年明けに申請手続きの案内を行い、約300人を想定している。対象約3000人の庄内町は14日に緊急会議を開いて、年内の一括給付を決め、開会中の町議会12月定例会に関連の補正予算案を提出した。
一方、三川町(対象約1200人)と遊佐町(同約1500人)は年内に現金5万円を給付。残る5万円分について両町の担当者は14日、ともに「クーポンか現金かも含め、検討中」とした。庄内地域の市町の担当者からは「政府方針が日々変わって困っている」など困惑の声が上がった。
10万円相当給付は新型コロナウイルス禍に対応し、政府が11月19日に決定した経済対策に子育て支援策として盛り込まれた。当初は0―15歳の中学生以下は年内に、16―18歳の高校生世代は年明け以降にそれぞれ現金5万円の給付を始め、残る5万円分は子育て関連の買い物に使えるクーポンの形で新学期や入学に向け来春配布する方向性を示した。クーポンは預貯金できないため、コロナ禍に対応した地域の事業者向け消費喚起策として打ち出された。しかし、クーポン配布には「印刷や協力店舗の募集、登録など事業実施に相当な時間と労力がかかる」など難色を示し、一括給付を表明する自治体も出ていた。
2021年(令和3年) 12月16日(木)付紙面より
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アジア最大規模のワイン審査会の一つ「第24回ジャパン・ワイン・チャレンジ2021」で、JA庄内たがわ月山ワイン山ぶどう研究所(鶴岡市越中山、成澤健所長)の赤ワイン「ソレイユ・ルバン・ヤマソービニオン2019」が銀賞、白ワイン「ソレイユ・ルバン甲州シュール・リー2020」が銅賞と、ダブル受賞を果たした。
この審査会は1997年から開かれ、国内外の業界著名人が審査している。今回は世界28カ国から1100点余が出品され、10月5日に東京都内で審査、このほど審査結果が公表された。
ソレイユ・ルバン・ヤマソービニオンは、鶴岡市朝日地域産のブドウ「ヤマソービニオン」(山ブドウとワイン用品種カベルネ・ソービニオンの交配種)を100%使い、果実の芳醇(ほうじゅん)な香りと野性味ある味わいが特徴の辛口ワイン。今春には女性のみの審査員による「第15回フェミナリーズ世界ワイン・コンクール」(フランス)で金賞を受賞している。
一方、同甲州シュール・リーは、同市櫛引地域産のブドウ「甲州」を100%使い、フルーティーな香りと切れの良い酸味を持つ辛口ワイン。昨年も同審査会で銅賞を受賞している。
成澤所長は「ともにうちの主力商品で、以前から多くの賞を頂いている。ワインづくりの技術をあらためて評価してもらい、うれしい」と喜びを語る。
国税庁の地理的表示(GI)に今年6月30日付で、本県のワインが指定されたことから、県内業界は一定の生産基準を満たしたワインに「GI山形」の認定シールを貼っており、この2種についても表示を付けて販売していく。
成澤所長は「昨年からコロナ禍で需要が例年より2、3割ほど落ち込んでいる。販路の大半は地元なので、これからのクリスマスやお歳暮、正月など、機会を捉え、多くの人に地元のおいしいワインを飲んでもらえたら」としている。
ともに750ミリリットル入りで価格は2200円(税込み)。問い合わせは月山ワイン山ぶどう研究所=電0235(53)2789=へ。
2021年(令和3年) 12月15日(水)付紙面より
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今秋のプロ野球新人選手選択(ドラフト)会議で中日ドラゴンズから3位指名を受けた東北公益文科大学出身で、独立リーグ・九州アジアリーグ「火の国サラマンダーズ」(熊本県)に所属する石森大誠投手(24)=178センチ、77キロ、左投げ左打ち=が13日午後、酒田市の公益大を訪れ、後輩にエールを送るとともに、金野信勇理事長補佐、横田謙人硬式野球部監督と懇談した。
石森投手は石川県宝達志水町出身で、同県の遊学館高3年時に夏の甲子園に出場した。横田監督の勧誘を受けて2016年に公益大に進学し本格派左腕として活躍。4年時の19年には主将・主戦とフル回転、同年の南東北大学野球リーグでは春、秋2季連続で優秀選手に輝いた他、秋季にはチームを10季ぶりの優勝に導く好投を見せた。
4年時にプロ志望届を出したが、指名漏れ。今季発足した独立リーグでは、ダイナミックなフォームから繰り出す最速155キロの直球を武器に抑えの切り札として活躍した。
石森投手はこの日、午前5時半に石川を車で出発して両親と共に酒田へ。「2年ぶりに入った」(石森投手)という公益大屋内練習場に集まっていた後輩約60人を前に、「一番大事だなと思ったのは感謝の気持ち。ドラフトで指名されたことよりも、支えてくれた人たちに対してこういう形(ドラフト指名)で恩返しができたことがうれしい。ここまで野球をさせていただいたことにも感謝したい」と話し、後輩たちに「感謝の気持ちを忘れず、ぜひリーグ戦で優勝できるよう頑張ってほしい」と激励した。
石森投手が4年時、1年生として入学した丸子翔大主将(21)=3年=は花束を先輩に手渡し、「積極的に声掛けをするなどチームを引っ張ってくれた先輩で、プロ入りはうれしい。先輩から刺激をいただき、来春こそ明治神宮大会に出場できるように頑張りたい」と感想。引き続き学内で金野理事長補佐、横田監督と懇談。金野理事長補佐は冒頭、「良かったなあ、夢を諦めないで。けがに気を付けて一軍スタートを目指してほしい」と。横田監督も「ドラフトを見ていて、こんなうれしい日はなかった。2年前には一緒に悔しい思いをしたが、夢を実現できたのはあなたの力」と話し、「プロ野球での最多登板、通算セーブ数記録を持つ岩瀬仁紀さん(元中日)のような息の長い救援投手になって」とエールを送った。
これに対して石森投手は「今年の中日指名選手の中では最年長だけに、即戦力としての期待があると思う。開幕一軍、新人王を目指す」と抱負を述べた。石森投手によると、名古屋市内で16日に球団と本契約を結び、翌17日の入団発表に出席。年明けから新人合同自主トレに参加するという。