2019年(令和1年) 06月14日(金)付紙面より
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ユネスコ創造都市ネットワークの食文化分野に加盟する鶴岡市が提出した過去4年間の取り組みと今後4年間の活動計画をまとめた報告書について、ユネスコが3段階で中位の「満足」と評価した。「不満足」の評価が2回続くと加盟認定見直しの可能性があるもので、同市は「ユネスコから鶴岡の取り組みが、まずまずの評価を受けた」と受け止めている。
創造都市ネットワークはユネスコが2004年に設けた制度で、鶴岡市は7つの分野のうち食文化で14年12月1日に加盟認定された。加盟都市は4年に1度、ユネスコに対して取り組み状況を報告する義務があり、報告書を同ネットワーク加盟の幹事都市が評価したものを、最終的にユネスコが評価する。全体評価は「とても満足」「満足」「不満足」の3段階あり、個別項目の▽地域内の取り組み▽創造都市間の取り組み▽今後4年間の取り組み―については5段階で評価を受ける。
同市は初の評価となり、昨年11月末に報告書を提出。今月11日、イタリアで開催された加盟都市による総会で、報告書提出の各都市に対する評価内容が発表されたという。
鶴岡市の報告に対する評価は、個別の3項目がいずれも上から2番目の「とても良い」で、全体は「満足」だった。特に興味深い優良事例として市内の飲食店と連携した「鶴岡のれん」、食文化創造都市などへの料理人研修派遣制度と料理人の自己研さんへの支援事業、郷土食や行事食をまとめた冊子「つるおかおうち御膳」、子どもたちへの食育・地産地消の取り組みなどが挙げられた。
一方で、鶴岡の食文化分野の取り組みが保存・継承に集中しており、ユネスコの創造都市ネットワークが目的とする「革新的・創造的な取り組み」が不足していることや、今後4年間の活動計画が持続可能な開発目標(SDGs)などユネスコが掲げる目標とのつながりが明確でないといったことが「弱い点」として指摘された。
市は今回の評価も踏まえた新たな食文化創造都市推進プランの策定を進めている。同市食文化創造都市推進課は「今後は鶴岡の強い点を堅持するとともに、弱いと指摘された点を克服し、食文化創造都市として『食』の可能性をさらに追求していきたい」と話している。
2019年(令和1年) 06月14日(金)付紙面より
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鶴岡市の加茂レインボービーチ海水浴場の開設に向けて、地元自治会や市役所など関係者が救護所の看護師確保に奔走している。昨年は人員を確保できずに開設を見送っていることから、今年は開設をと臨むが、12日現在、7月20―8月18日の1カ月間の期間中全てを充足するには及んでいない。市では「期間のうち数日、半日の勤務だけでもありがたい」と看護師の有資格者を広く募っている。
加茂レインボービーチは国と県が2002年に造成した人工砂場・磯場。地元自治会では同年から、看護師、監視員の計5人態勢で海水浴場を運営してきたが、人員確保ができず昨年、初めて開設を見送った。磯場で足裏などをけがする海水浴客が多い事情から「救護所を設けずには最低限の安全確保ができない」との判断だった。その後、監視員がいない状況での事故発生を懸念し、指定管理者の鶴岡市開発公社ら関係者が遊泳禁止を決めている。
昨年を踏まえ、市でも看護師確保を図ってきたが思うような成果を得られていない。各海水浴場から寄せられた看護師派遣の要望人数は、全期間中オープンすることを想定すると、加茂が30日間延べ40人。このほか今年は三瀬が30日間延べ30人、由良も8月18日の1人。対して、協力を呼び掛けた市立荘内病院は、「いずれも土曜、日曜の8日間で延べ9人分を派遣可能」との回答だった。県内の他の医療関係機関にも働き掛けをしているという。
加茂レインボービーチ海水浴場を運営する加茂地区自治振興会の田中正志会長は12日、「磯場での生き物観察もできる絶好の海水浴場で、多くの方から開設を望む声を寄せてもらっている。土日祝日だけでも何とか開設できるよう動いていきたいが」と話した。
市役所観光物産課では、救護所の人員について、救急箱にあるものを使った擦り傷などへの処置を想定し、看護師やそれに準じる有資格者を7月10日まで募集。日当と交通費合わせて最大1万500円を支給する。問い合わせは同課=電0235(25)2111=へ。
2019年(令和1年) 06月13日(木)付紙面より
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タイ国際航空(本社・バンコク)は、10月29日(火)からバンコク―仙台間の定期便を就航させると正式に発表した。当面は来年3月末まで、週3往復が運航される。インバウンド(訪日外国人旅行)推進に向け、定期便就航を働き掛けてきた地元関係者は「やっとスタート台に立てた。このチャンスを逃さず、官民を挙げ地域の魅力アップと、イン・アウト双方の利用促進を」と呼び掛けている。
就航は、来年3月28日までの冬期スケジュールとして発表された。バンコク発は10月29日を初日に毎週火、木、土曜日に運航する。出発時刻は午後11時50分(現地時間)、到着は翌日午前7時半。仙台発は10月30日を初日に、毎週水、金、日曜日に運航。出発時刻は午前11時15分、到着は午後4時5分(現地時間)。使用機材はボーイング(B)777―200型機で、座席は309席(ロイヤルシルククラス30席、エコノミークラス279席)。同社の日本国内の定期便は、羽田、成田、大阪、名古屋、福岡、札幌に続き7カ所目となる。
同社のバンコク―仙台間の定期便は2013年12月から翌14年3月まで4カ月間運航したが、その後は政情の不安定化などを理由に運休していた。今回は「安定的なタイへの渡航需要、増加が期待されるタイからのインバウンド需要、地元の積極的な誘致を受け、再就航が決定した」(同社広報)という。
地元では、15年9月に酒田市を拠点に東北各地の観光関係者らで設立した一般社団法人「みちのくインバウンド推進協議会」(熊谷芳則理事長)が、山形、宮城両県や仙台市、仙台国際空港などと連携して定期便就航を働き掛けてきた。昨年12月末から今年1月にかけてタイ国際航空のスメート・ダムロンチャイタム社長を庄内地方などに招待した際、同社長は「11月ごろの就航に向け、検討を進めている」との意向を示していた。
同推進協の熊谷理事長は就航決定について、「毎週900人ずつ東北に入ってくる意義は大きい。バンコク(スワンナプーム国際空港)は周辺国のハブ空港になっており、周辺国を含む東北への大動脈ができた。国内の他地域に比べ遅れている東北のインバウンドが、やっとスタート台に立てた感じ」と喜ぶ。
また、「定期便の維持には、インだけでなく、タイに行くアウトの拡大も不可欠。100万都市の仙台を起点に東北各地を巡る方法が最善。タイの観光客に人気の奥入瀬(青森県)など他地域との競争が激化していくことになるので、庄内の観光地も一層の魅力アップが必要になる」とみている。そして、「このチャンスを逃さないように、官民を挙げてイン・アウト双方の利用を促進していく体制づくりが急務」と話している。