2018年(平成30年) 02月11日(日)付紙面より
ツイート
東北公益文科大(吉村昇学長)は、いじめや不登校、虐待といった児童生徒を取り巻く環境に総合的に対応し支援する「スクール(学校)ソーシャルワーク(SSW)」教育課程を新たに大学院修士課程に設置する。大学院で同課程の設置は全国初。本格的な開講は今年秋を予定。社会人選抜も行っている同大では「スクールソーシャルワーカーの認知度を高めながら、各自治体への配置を求めるなど活躍の場を広げ、地域の児童生徒の環境改善につなげたい」としている。
SSWは、学校だけでは解決できないいじめや虐待、不登校といった児童生徒が抱える問題を教職員や関係機関と連携し解決策を探る。臨床心理士や精神科医らによる「スクールカウンセラー」が子どもの心のケアに対応するのに対し、社会福祉の専門職として児童生徒の個別の問題ではなく、取り巻く人間関係や生活環境といった「関係性の問題」として捉えて解決策にアプローチする。国家資格ではなく、民間の一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟が認定する。
同大では、武田真理子教授が中心になって昨年9月にSSW教育課程の開設を申請、今年1月に認定された。東北では東北福祉大の1カ所を含め全国の四年制大学や専門学校の計30大学・学校で設置されているが、大学院では初。同大では修士課程に設置することでより現場での即戦力となる人材を育成する狙い。
公益学修士課程の中の「地域共創・ソーシャルワーク研究領域」にSSW論、同実習などを新設。2年課程の中でSSW科目の履修と修士論文の作成によって登録資格を得る。受講資格は社会福祉士か精神保健福祉士の有資格者か、在学中で両資格の取得見込み者。新年度の大学院入試の出願締め切りは16日(金)。
9日に鶴岡市の同大鶴岡キャンパスで記者会見した大学院公益学研究科長の伊藤眞知子教授と武田教授は「本県で本年度に採用しているSSWは9人。庄内でも独自に採用している自治体もあるが、各市町村教育委員会にも声掛けして勉強会なども重ねながらSSWの認知度を高め、現場で活躍できる人材を育成し地域の子どもたちの環境に役立てたい」と話した。
問い合わせは公益大大学院事務室=電0235(29)0555=へ。
2018年(平成30年) 02月10日(土)付紙面より
ツイート
庄内を拠点に東北地方への外国人観光客の誘致を推進している一般社団法人「みちのくインバウンド推進協議会」(熊谷芳則理事長)による初のタイからのチャーター便ツアーが8日、本格的に始まり、約80人が酒田市の中通り商店街で海鮮バーベキューなどを楽しんだ。バンコク空港から仙台空港への直行のチャーター便で、12日まで羽田経由の関連ツアーを含め計約280人が東北各地の冬の観光を楽しむ。
同推進協は2015年9月、東北地方の観光、行政の関係者らで設立。当面はタイをターゲットに、旅行会社のモニターツアーやテレビ局の取材クルーの招致、羽田経由の一般ツアーを実施。羽田から東北への二次交通の経費が課題となってきたことから、将来のバンコク―仙台間の定期便復活への機運醸成も兼ねて今回、初のチャーター便を仙台直行で企画した。
ツアー客は、今月8―12日の4泊5日のチャーター便ツアー約250人と、7―11日の羽田経由の関連ツアー約30人を合わせ約280人。全部で6グループに分かれ東北各地を巡る。うち本県には7日から11日にかけて4グループが、酒田市の中通り商店街での海鮮バーベキューやホテルでの歓迎パーティー、鶴岡市の荘内神社、あつみ温泉(宿泊)、大蔵村の肘折温泉(同)、新庄市の雪遊び、戸沢村の最上川舟下りなどに訪れる。
8日午後は、チャーター便による庄内への第1陣約80人が酒田市の中通り商店街に到着。同商店街振興組合や市の関係者ら約30人が「サワディーカー」(こんにちは)とタイ語で出迎えた。ツアー客たちは歩行者天国にした路上でメバルやサザエなどの海鮮バーベキューやあら汁などを味わい、刺し身造りを見学、津軽三味線の演奏に拍手に送った。時折ちらつく雪に大喜びの子どももいた。
ティアットバルー・ビラーシニさん(32)は「温かい気持ちで迎えてもらい、うれしい。食事もとてもおいしく、ぜひまた来たい。寒いが、大丈夫」と話した。
みちのくインバウンド推進協の熊谷理事長は「旅行会社のモニターツアーなどの成果で、東北の雪が観光資源になり得ると実感。さらなる観光客の増加に向け、モニターツアーの補助事業の獲得などにも努めたい」、中通り商店街振興組合の菅野弘幸理事長は「人出が少ない冬場に商店街に来てもらえるのはありがたい。一層たくさん来てもらえるよう、より良いもてなしをしていきたい」と話した。
前日の7日午後には、羽田経由のグループが鶴岡市の荘内神社を訪問。拝殿で祈祷(きとう)を受けた後、旧庄内藩酒井家第19代の酒井忠順さんが「厳しい冬があって春を迎える。冬以外にもお越しください」と歓迎し、一人一人にお守りを手渡すなどした。10回以上日本を訪れているというプラニイ・ニウェット・ポンサックさん(53)は「東北は初めて。雪は今まで見た中で一番きれい」と話していた。
2018年(平成30年) 02月10日(土)付紙面より
ツイート
東北振興研修所(田中茂雄理事長)主催の新春懇談会が8日、鶴岡市中央公民館で開かれ、幕末の庄内藩の重鎮、菅実秀(1830―1903年)の玄孫(やしゃご)で菅家13代の菅秀二さん(72)=鶴岡市=が「幕末から明治にかけての庄内藩」と題し、「徳の交わり」と称される西郷隆盛と実秀の関わりなどを話した。
同研修所ときらやか銀行の共催で毎年この時期に開催。この日は地元企業関係や一般など約80人が聴講した。
菅さんは奥羽越では庄内で始まり、庄内で終わったとされる戊辰戦争の経緯などを解説しながら、1868(明治元)年9月26日の庄内藩が降伏した際に、3日間駐留した新政府軍約1万5000人と庄内藩士の間で小競り合いもなかったことなどを紹介。「連戦連勝で厳しい処分を覚悟していた庄内藩と西郷さんの交流のきっかけ」とした。
廃藩置県の実施のため江戸に呼び戻された西郷と実秀が71(同4)年4月に初めて面会し、9月まで半年にわたり交流したことについて、「人はいかに生きるかということを説いた西郷と、福利国家の建設を理想とした実秀が根の深いところで結び付いたのが『徳の交わり』。後に編集される南洲翁遺訓はこの半年の間に聞いたことが半分以上の内容となっている」と話した。