2017年(平成29年) 05月03日(水)付紙面より
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黄色の菜の花迷路は楽しいよ―。JA鶴岡青年部大泉支部(佐藤陽介支部長、部員23人)のメンバーたちが、鶴岡市矢馳の転作田に菜の花畑の「迷路」を作った。6日(土)まで一般に開放する。
地域で活動する青年部を知ってもらうとともに、子どもたちに自然と触れ合う楽しみを提供しようと、2年前から企画。昨春は、同じ黄色の花を咲かせる赤カブで挑戦したが、まばらだったため、今回は菜種の種を購入して再チャレンジした。
枝豆を栽培しているメンバー所有の転作田約25アールに、昨年9月に種をまき、雪解け後に肥料を与えるなどして管理。先月中旬ごろに咲き始め、草刈り機で幅約1メートルの通路を作って迷路にした。
見頃を迎えた1日は、近くの大泉保育園の年長と年少の園児ら約50人を招待してお披露目会が開かれた。企画した前支部長の福島直久さん(36)が「みんな迷子にならないでね」とあいさつし、迷路探検がスタート。園児たちは途中、何度も行き止まりに阻まれながらゴールにたどり着くと、「もう一回」「迷路は楽しい」と歓声を上げながら、駆けっこで4周、5周。背丈を超えるほどの菜の花に囲まれた園児たちは、鮮やかな黄色に染まった迷路探検を存分に楽しんでいた。
年長の三浦知馬(かずま)君(5)は「迷路は楽しい。菜の花もとってもきれい」と笑顔いっぱい。福島さんは「多くの子どもたちに楽しんでもらえれば」と話した。
菜の花迷路は、同市矢馳にある大泉カントリーエレベーターの西側約100メートルの場所で、国道7号そばにある。周辺は農道で一般車両は通行止めとなっており、近くの市農村センターに駐車して訪れることができる。
2017年(平成29年) 04月30日(日)付紙面より
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庄内と関西圏を結ぶ庄内交通(本社・鶴岡市)の夜行高速バス「酒田・鶴岡―京都・大阪・USJ線」が28日、運行を開始し、酒田、鶴岡(エスモール)の両バスターミナ(BT)で出発式が行われた。
このうち、鶴岡市のエスモールBTで行われた出発式では、庄内交通などを運営する庄交コーポレーションの國井英夫社長が「インバウンドを推進し地域経済の活性化を図りたい。皆さんの期待にたがわぬよう観光地・庄内を志し、バスを活用した新しい形態の商品を提供する」とあいさつ。共同運行する南海バス(本社・大阪府堺市)の桝元政明社長は「さまざまな形で情報を発信しインバウンドにつなげ、庄内・関西双方の活性化につなげたい」と述べた。
第1便が到着すると運転手に花束が贈られ、関係者がテープカット。第1便には20人が乗車した。
バスはエスモールBTを午後8時に出発。京都駅八条口に翌日午前6時35分、大阪駅前に同7時45分、終点のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(降車のみ)に同8時50分に到着。運賃は片道最高1万5000円(往復2万7000円)。5月の大型連休中はほぼ満席となっている。
2017年(平成29年) 04月30日(日)付紙面より
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文化庁が認定する「日本遺産」に28日、酒田市が7道県11市町で申請した「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間?北前船寄港地・船主集落」と、鶴岡市の「サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ」が選ばれた。県内では昨年認定された出羽三山と合わせて日本遺産が3件となり、いずれも庄内地域が中心。地元の関係者からは「地域の新たな観光資源になる」「交流人口拡大に大きな弾みとなる」と喜びの声が上がった。今回は全国から申請のあった79件のうち17件が選定され、全国の日本遺産は計54件となった。この日、都内で認定証交付式があり、丸山至酒田市長と榎本政規鶴岡市長が出席し、それぞれ認定証を受けた。
北前船寄港地・船主集落は、酒田市を代表市に、北海道函館市、松前町、青森県鯵ケ沢町、深浦町、秋田県秋田市、新潟県新潟市、長岡市、石川県加賀市、福井県敦賀市、南越前町の計7道県の11市町が連名で申請した。これほど多くの都道府県にまたがる日本遺産は初。
地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の魅力を伝える「ストーリー」は、江戸から明治期にかけて北海道、東北、北陸と西日本を結んだ西廻り航路の寄港地と船主集落にスポットを当てた。同航路を利用した北前船は、船主自身が米など寄港地で仕入れた商品を別の寄港地で販売する買い積み方式で利益を上げたことから「動く総合商社」と形容され、各港に巨万の富をもたらした。各港はそれぞれの地域性で独自の発展を遂げる一方で、人、物、文化の輸送によって共通する祭礼や民謡も多く、それぞれが異空間として人々を魅了する、というもの。
ストーリーを構成する文化財は、酒田では日和山公園(市名勝)、井原西鶴の「日本永代蔵」に登場する廻船問屋「旧鐙屋」(国史跡)、日本一の大地主といわれた豪商・本間家の「本間家旧本邸」(県有形文化財)など10カ所。全11市町では88カ所に及ぶ。
北前船をキーワードにした広域的な連携は、作家で酒田市美術館長(当時は秋田公立美術工芸短大学長)の石川好さんが提唱した「北前船コリドール構想」に基づき2006年3月、平田牧場グループの新田嘉一会長の主導で、庄内と秋田県の経済人らが酒田市で「北前船コリドール会議」を開いたのが始まり。これが翌07年11月、同市での第1回「北前船寄港地フォーラム」に発展。同フォーラムはその後、全国各地で開かれるようになり、15年7月の第16回大会(大阪市)で日本遺産申請の話が浮上。昨年6月には全国の25市町で北前船寄港地日本遺産登録推進協議会(現在26市町)を設立。西廻り航路もフォーラムも、起点は酒田だったこともあり、丸山至酒田市長が会長となり、代表市として今年1月に申請した。
認定を受け、丸山市長は「11自治体のつながりを大切に、日本遺産を活用したさまざまな地域活性化策に取り組み、共通する歴史や食文化などの魅力を国内外に発信し、日本遺産のブランド力を高めていきたい」とコメント。
北前船寄港地フォーラム名誉会長となっている新田氏は、28日夕に酒田市で開かれた日本遺産認定記念祝賀会の主催者あいさつで「今の日本の経済、文化、情報は全て東京にある。北前船寄港地のネットワークで地方にかつての活力を取り戻そう。次は世界遺産を目指し、世界に北前船を発信し、世界中の観光客を呼び込み、地域を元気にしていこう」と呼び掛けた。
酒田市など11市町は認定を受け、「北前船」ブランドの確立に向け、共通のホームページ作成などのPR活動や広域観光ルートづくりなどに取り組む。また、協議会加盟の他の15自治体を中心に、日本遺産認定の追加申請も検討していく。
鶴岡市の「サムライゆかりのシルク」は、旧庄内藩士約3000人が明治維新後、刀を鍬(くわ)に替えて荒野を耕し、日本最大の蚕室群を建設した松ケ岡開墾場が、ストーリーの中核を成している。この蚕室群をきっかけに国内最北限の絹産地として発達し、現在も養蚕から絹織物まで一貫した工程が残る国内唯一の地域といった点が評価され、「先人たちの努力の結晶であるわが国近代化の原風景を街並み全体を通じて体感することができる」とされた。
ストーリーを構成するのは国や県、市指定の文化財など20件。朝日地域の田麦俣集落や致道博物館に残るかやぶきの多層民家は、養蚕作業を効率的に行うための4層構造が特徴。市街地にある羽前絹練では国内唯一の絹織物の精練工程が明治時代創業の工場で行われ、豪商として投資などで絹産業を支えた「旧風間家住宅丙申堂」などがあり、日本近代化の原風景を継承。
鶴岡市では市民と地域、行政が連携して絹産業の歴史と文化の保存継承に向け「鶴岡シルクタウン・プロジェクト」に取り組み、「キビソ」などによる鶴岡シルクのブランド化が進められるなど新たな文化価値の創出にも力を入れている。
大蚕室5棟が残る松ケ岡開墾場は1989年に国指定史跡となり、市は保全のため昨年度、所有者から大蚕室や土地を取得。保全活用計画の策定を進めている。長年にわたって大蚕室などの保存に努めてきた旧庄内藩主酒井家第18代当主で松ケ岡開墾場総長の酒井忠久さんは「開墾場を守ってきた多くの人々の努力が報われた気がする。松ケ岡地区は果樹栽培も盛んで、食と歴史、シルクを発信する拠点にしてきたい」、榎本政規市長は「昨年度の出羽三山と合わせ、2つの日本遺産を持つ鶴岡の良さを国内外に発信していきたい」と話した。
日本遺産 地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーを認定し、地域の活性化を図るため、文化庁が2015年度に創設。初年度は18件、16年度は19件、本年度は17件の計54件を認定。東京五輪・パラリンピック開催の20年までに100件に増やす方針。国は認定自治体の活動に助成しており、17年度予算には約13億円を計上している。