2018年(平成30年) 03月09日(金)付紙面より
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庄内を拠点に東北への外国人旅行者誘致に取り組んでいる一般社団法人みちのくインバウンド推進協議会(理事長・熊谷芳則ホテルリッチ酒田代表)は7日、鶴岡市の皆川治市長と面談し、今年4月以降本格化するタイからの旅行客受け入れについての理解と行政との連携を要望した。
同推進協はこれまで3年にわたり、タイにターゲットを絞ってインバウンドの受け入れ活動を展開。青森、福島を除く東北4県と庄内を回るツアー造成で一定の成果を挙げている。今年4月以降、さらに誘客が進む見通しで官民が一致団結し、ゴールデンルート(東京、箱根、富士山、京都、大阪などの主要観光スポット)だけでない東北へのインバウンドルートを確立させようと旅行会社の下見となるタイの旅行会社招請事業(ファムトリップ)など協力を要請することにした。
この日は熊谷理事長はじめ4人が鶴岡市役所を訪れ、皆川市長や担当部課長らと懇談。熊谷理事長は“歌登の奇跡”と呼ばれる北海道の北端に位置する地域にタイ人が押し寄せるインバウンド成功の立役者となったホテルコンサルタントの河野裕喜さんを事務局長に迎えてスタートした同推進協のこれまでの経過と、今後の展望を説明。「鶴岡市は食文化と関連し欧州圏をインバウンドの戦略としているが、そこにアジア圏も加えていただきたい。タイが成功すれば周辺のアセアン諸国からの誘客も期待できる。行政からも東北・庄内の起爆剤として後押ししてほしい」と協力を要請した。
皆川市長は「民間主導で素晴らしい取り組み。東南アジアのお客さまは非常に現実的なインバウンドのアプローチ。一緒にやれるところはやらせていただく」と述べ、協力に前向きな姿勢を見せた。
2018年(平成30年) 03月08日(木)付紙面より
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高齢者向けの筋力アップトレーニング「いきいき百歳体操」を通して地域交流を図る取り組みが鶴岡市で進んでいる。市長寿介護課が推進し2015年度から始まった事業で、現在の実施団体は48団体。町内会などの単位で住民が主体となって行われている。実施主体の代表者らが集まった情報交換会が6日、同市の出羽庄内国際村であり、高齢者の「通いの場」として継続・発展させていくアイデアを探った。
同体操は、映像に合わせて簡単な運動を行う筋力運動。高知市が02年に開発し、介護予防に効果があるとして、全国の自治体で広がりを見せる。鶴岡市では出前講座を企画し、受け入れ団体を募集してスタート。初年度は7団体から本年度は48団体計200人ほどが取り組む。市が実施したアンケートによると、身体機能のみならず、交流の場として精神面でもプラスになっている。一方、体操以外での内容の工夫、新規参加者の募集などの悩みを抱える実施団体も出てきているという。
情報交換会は各実施団体の代表者ら計約110人が参加。東北公益文科大地域福祉コースの鎌田剛准教授が「いきいき百歳体操における地域づくりの性質を高める」をテーマに情報提供したほか、代表3団体の活動発表や、グループに分かれて意見交換が行われた。
グループワークの発表を受けて鎌田准教授は、活動のステージを1段階高めるヒントとして「ユニホームなどおそろいのグッズをそろえる」「参加費を集めて継続性につなげる」「写真などで活動記録を残す」などを挙げた。
2018年(平成30年) 03月08日(木)付紙面より
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酒田市の「こころの健康づくり講演会」が6日、市民健康センターで開かれ、若者支援NPO「ぷらっとほーむ」(山形市)の滝口克典共同代表の講演などを通じ、引きこもりや不登校など「生きづらさ」を抱える若者たちの支援について考えた。
全国的に20―30代の自殺者が減らない中、市が自殺対策強化月間(3月)に合わせて開催。地元で若者支援に取り組んでいる関係者ら約40人が参加した。
社会学の観点から若者支援を研究している滝口さんは「生きづらさを抱える若者への支援とは?」と題して講演。引きこもりについては「病気や障害でなく、状態のことで、誰でもなり得る」とした。引きこもる背景については「日本社会が若者に厳しいため」として、経済成長に伴い主要な仕事が第1次産業から第3次産業に移りコミュニケーション能力の必要性が高まったことや、非正規雇用が増えた一方で、その社会的評価は低く、他人に言いにくい状況を挙げ、「所属を失うと、居場所がなくなる社会。引きこもりのリスクは年齢に関係なく、誰でも抱えている」とした。
支援については「過去を詮索されたり、面目をつぶされたりすることがない、安心して過ごせる居場所が必要」と説明。ぷらっとほーむでは喫茶店形式の拠点施設で雑談を楽しんだり、文化・芸術、畑仕事などを行うほか、なかなか行動を起こせない人のため、各地で読書や映画、まち歩きなどさまざまなテーマの集い「テーマ・コミュニティ」を開いていることを紹介。「支援と言われるとハードルが高くなる。汽水域のような場で外の人と出会う機会が結果的に就労支援につながることもある。地域にそうした多様な居場所があれば、そこを足場に少しずつ前進していける」とした。
講演に先立ち、酒田市内で若者支援に取り組んでいる「いろんなかたちクラブ」の伊藤りつ子代表と、「春風の会」の本多元子代表が事例発表。伊藤さんは週1回、不登校の子どもが集い、雑談や遊びを通じ仲間づくりをしている様子を紹介。本多さんは家族会や個別相談などの活動を紹介した上、「全ての人間が上手に話をし、要領よく仕事ができるわけではない。そういう人しか受け入れない社会でいいのか。引きこもりを考えることは、どんな社会にしたいかを考えること。みんなが支え合う社会を目指すべきでは」と訴えた。