2017年(平成29年) 04月29日(土)付紙面より
ツイート
鳥海山(2236メートル)の中腹を通り、遊佐町と秋田県にかほ市を結ぶ山岳観光道路「鳥海ブルーライン」(延長約35キロ)の本県側開通式が28日、同町小野曽集落の旧料金所前で行われた。神事でシーズン中の無事故と登山者らの安全を祈願。待ちかねた観光客らが、パトカーの先導で県境までパレードした。
開通式では、地元・鳥海山大物忌神社の神官がシーズン中の無事故を祈っておはらい。続いて時田博機町長が、「天候にも恵まれ、無事開通式を迎えることができた」と述べるとともに昨年、鳥海山・飛島ジオパークが認定されたことについて触れ、「外航クルーズ船が今年8月酒田港へ寄港する際のオプショナルツアーに、鳥海山が丸ごと正式に組み入れられることになった。魅力を国内外に発信する大きな機会。共に盛り上げよう」などとあいさつ。県議らが祝辞を述べた後、関係者でテープカット。
鳥海太鼓の勇壮な演奏に送られてパレードがスタート。約50台の車が県境を目指し、雪の回廊を縫うように走行した。関係者によると、昨年と比べて雪解けは遅く、多い所では3―4メートルの雪の壁が残っているという。
路面凍結の恐れがあるため、当面は一部区間で夜間通行止めの措置が取られる。期間は5月27日(土)までの予定。
2017年(平成29年) 04月29日(土)付紙面より
ツイート
昨年10月末で鶴岡市千安京田の「いこいの村庄内」が閉館したため、存続が危ぶまれていた同施設のチューリップ園で今年も花を咲かせている。ゴールデンウイーク中は楽しめる見込み。一方で、元パート従業員、本間竹子さん(72)=同市下川=は「閉館ぎりぎりまで手入れしていたこともあり、今年は何とか7割ほど咲いたが、来年は厳しいと思う」とし、庄内の春の風物詩の行く末を案じている。
いこいの村庄内は、当時の雇用促進事業団が整備し、1977年に開設。県からの業務委託で県観光協会の前身の県観光開発公社が運営。建物は2003年に県に譲渡され、その後は同協会が県から賃貸する形で経営。ピーク時の1995年度には年間2万7500人の宿泊利用があったが、2007年度以降は2万人を下回り、近年は1万5000人台と低迷。今後も業績の好転が見込めないなど総合的に判断し、閉館が決まった。
一方、同施設のチューリップ園は1978年開園。約70アールの広さに約10万個の球根が植えられており、4月下旬から5月上旬の見頃には例年2万人の訪問客でにぎわう。同施設のパート従業員ら約5人が中心となって手入れをしてきた。
閉館後に掃除などの手入れが行われていない今年は、例年の7割ほどが花をつけたが、葉が落ちていたりと、少し寂しさも感じる風景が広がっている。天気のいい日には、楽しみに訪れる人の姿もちらほら。
施設開設当時から職員として働き、定年後もパートでチューリップ園の整備に関わってきた本間さんは、「球根を掘り起こす機械もなく、手作業ではとてもできない。せっかくのチューリップ園がもったいない」とため息。そして、「毎年6月に掘り起こし、大きさを選別して、根っこを掃除して9月に植え直しなど、手間が掛かる。苦労した分、最後になるかもしれない今年は、多くの人に見てもらいたい」と話す。
管理する県商工観光部の観光立県推進課では、チューリップ園の活用方法を検討しているが、現在のところ今後の見通しは立っていない。
2017年(平成29年) 04月28日(金)付紙面より
ツイート
酒田地区農産物輸出推進協議会(会長・丸山至酒田市長)の本年度協議会が26日、酒田市の酒田勤労者福祉センターで開かれた。これまで実施してきたロシアのサンクトペテルブルクやモスクワへの啓翁桜を中心にした花卉(かき)類の輸出が好評のため、一層の輸出拡大を図っていく本年度事業計画を決めた。
この協議会は、酒田市と遊佐町、全農山形県本部、庄内みどり、市袖浦両農協が中心となり2015年4月、酒田港の利用拡大も視野に設立した。
これまでの取り組みとして、15年度は香港に刈屋梨と啓翁桜、サンクトペテルブルクに啓翁桜をそれぞれ試験的に輸出。16年度は香港に啓翁桜6000本、サンクトペテルブルクとモスクワに啓翁桜とストック、計2120本を輸出した。啓翁桜はロシアでは日本の4倍ほどの1本1000円ほどで売れ、国内他地域との競合もないという。
また、これまで航空便が中心だったが、昨年度は酒田港から香港向けに船便で花卉を輸出する試験を実施。その結果、「ストックは葉が黄色がかり中国産との品質差がなくなったが、啓翁桜は傷みもなく良好。一度に2660本(45箱)以上で船便の方が安くなる」との報告を得た。
本年度は、来年2月にサンクトペテルブルクとロシアに啓翁桜3000本、ストック500本、香港に啓翁桜7000本を輸出する。モスクワへの販売用は今回が初となる。その他、中国向けの米輸出の可能性も引き続き探る。酒田港には現在、植物防疫所職員が不在で、必要に応じ新潟から派遣されているが、常駐配置を国に要望していく。
また、総務省が本年度、「ロシアとの自治体間交流の促進事業」を実施する予定で、酒田市はサンクトペテルブルクとの交流で事業採択を目指し準備を進める。採択されれば、交流の一環で花卉や果物、酒など特産品の販売につなげる方針だ。
この日の協議会では「もっと生産者側のメリットを示せば、意欲も出る」「サンクトでは啓翁桜の認知度が上がってきた。モスクワでの評価も上々。サンクトの人口は500万人、モスクワは1200万人。可能性は大きい」など意見が出た。