文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2024年(令和6年) 3月16日(土)付紙面より

ツイート

松くい虫被害対策 予防散布にドローン活用 酒田で全国初の研修会 新たな手法検討

 庄内地域のクロマツ林で松くい虫の被害が大幅に増え、昨年は国有林・民有林計5万5644立方メートル(材積換算、前年2万2976立方メートル)と過去最悪になったことを踏まえ、日本松保護士会(滋賀県甲賀市、沖濱宗彦代表理事会長)は14日、酒田市飯森山公園もくもく館で、小型無人機「ドローン」による松林への薬剤散布に関する全国初の研修会を開催、関係者が座学と実演を通して運用に向けた知識を深めた。

 松枯れの原因となるのは体長1ミリほどのマツノザイセンチュウ。この虫を媒介するのがマツノマダラカミキリ(松くい虫)で、松から松へと飛び回って樹皮を食べる。この際にセンチュウが木の中に入り込むことで木が衰弱し枯れてしまうという。

 先月27日に遊佐町議場で開かれた「庄内海岸林松くい虫被害対策強化プロジェクト会議」で、事務局の県が示した庄内地域における昨年の被害状況は、民有林計3万7820立方メートル、国有林計1万7824立方メートルと、これまでで最も広がった2016年(国有林・民有林計3万921立方メートル)を大幅に超えた。市町別では鶴岡市7141立方メートル(前年3086立方メートル)、酒田市3万5031立方メートル(同1万4303立方メートル)、遊佐町1万3471立方メートル(同5587立方メートル)。事務局は、「感染源」となる被害木を全て伐倒できなかったことに加え、夏季における高温・少雨による樹勢の衰えの影響とみている。

 研修会は、被害防止に最も効果的とされる、最適な時期に松くい虫を駆除(殺虫)する「予防散布」のうち、現在は実施例が少ないものの、普及が見込まれるドローンによる薬剤散布について広く関係者から知識を得てもらおうと、日本緑化センター(東京都)認定「松保護士」の有資格者で組織する同会が初めて企画した。

 この日は国や県、3市町、地元自治会などから計約40人が出席。最初に同会参与でドローン事業を担当する斉藤次男さん(埼玉県)が「ドローンによる松林へのきめ細かな薬剤散布」をテーマに講話。無人ヘリと比較しドローンによる防除の利点として▽減農薬▽梢端への防除効果▽ムラ散布の解消▽ドリフト(飛散)の軽減▽静音▽小回り作業性▽高能率作業で時間短縮―を挙げ、「松林は離発着箇所が限られ、小回りが利くドローンは最適。ドローンは日進月歩で進化しており、旧型機と現行機ではスペックが異なる。実際に活用する場合はアプリを随時更新するなどしてほしい」などと解説した。

 引き続きヤンマーヘリ&アグリ(大阪市)が販売を手掛ける農薬散布用ドローンの実演。強風のため松林への散布はできなかったものの、出席者は操作方法などについて学んだ。

 鶴岡市は松くい虫防除に向け、24年度から導入する方針を示している。酒田市でも防除に向けた新たな手法の一つとして検討していくという。沖濱代表理事によると、今回を皮切りに今後、全国4、5カ所で同様の研修会を実施する予定という。

実際にドローンを飛ばして操作方法など確認
実際にドローンを飛ばして操作方法など確認

松枯れの原因となるマツノマダラカミキリ=日本松保護士会提供
松枯れの原因となるマツノマダラカミキリ=日本松保護士会提供


2024年(令和6年) 3月16日(土)付紙面より

ツイート

全国の大学生90人漂着ごみ回収 鶴岡の海岸で5日間地域課題発信

 全国各地から集まった大学生ボランティアが13日から鶴岡市内の日本海沿岸で清掃活動を繰り広げている。16日までの5日間、由良や湯野浜など各浜で漂着ごみなどを回収する。

 首都圏、関西圏を中心に全国約95大学の学生約4000人が加盟しているNPO法人・国際ボランティア学生協会(IVUSA、本部・東京都世田谷区)主催。IVUSAは山形県内の産学官民でつくる「美しいやまがたの海プラットフォーム」、東北公益文科大学と連携して2016年から遊佐町や飛島など庄内一円の海岸で清掃活動を継続しており、今回で11回目となった。

 関東の学生を中心に関西や県内の公益大、山形大などから約90人が参加。由良地域協議会「ゆらまちっく戦略会議」の協力を得て、鶴岡市の油戸、由良、湯野浜の各海岸を清掃した。

 初日の13日は油戸海岸で活動。午前中に漂着したごみや流木を拾い集め、午後から地元業者のショベルカーなどで回収した。この日の海岸は強い風雪が吹き荒れてかなりの寒さ。学生たちはかじかむ手で一生懸命プラスチックごみの破片や漁網、ロープなどを拾い集めていた。

 プロジェクトリーダーの阿部幸太さん(22)=関西学院大4年=は「学生のマンパワーによる海岸清掃を通して、漂着ごみ、プラスチックごみなどの海洋問題や、地域の担い手不足など深刻化する地方の諸課題を発信するために活動を続けている。多くの人に海洋ごみや担い手不足の現状を知ってもらうとともに、一緒になって課題解決に向けて本気で考えていきたい」と話していた。

強い風雪が吹き付ける中、学生たちが漂着ごみや流木を回収した=13日、鶴岡市の油戸海岸
強い風雪が吹き付ける中、学生たちが漂着ごみや流木を回収した=13日、鶴岡市の油戸海岸


2024年(令和6年) 3月16日(土)付紙面より

ツイート

鶴岡市が津波避難対策見直し

 鶴岡市は津波対策での避難指示の基準を改める。津波注意報の発表と同時に市災害対策本部を設置、海岸では堤防よりも海側にいる漁業関係者や観光客などに速やかに避難指示を出すことを明文化する。避難の遅れで犠牲者が出ることを防ぐと同時に、避難所での寒さ対策なども今後検討する。

 災害時の避難対策では、市自治振興会連絡協議会が1月、1次避難場所と2次避難所の整備に関する要望書を市に要望している。湯野浜、加茂、由良など沿岸5地区の会議で、避難所への暖房機器、簡易ベッド設置などを求めた。災害対策では行政の支援はもちろんのこと、住民の素早い行動が被害を防ぐことになる。

     ◇       ◇

 能登半島地震で、庄内沿岸地域でも避難所が開設された。しかし、遊佐町では津波警報が解除される前に避難所を閉鎖したことが問題視された。避難住民が早々に帰宅してしまったことが背景にある。鶴岡市でも同様で、津波警報が出されたのを受けて7カ所の避難所に約2600人が避難したものの、津波注意報に切り替わる前に、住民の帰宅が始まったという。

 地震発生から時間の経過とともに「もう大丈夫だろう」という住民間の判断がそうさせたようだ。津波は2波、3波と繰り返す。日本海の津波は大陸との間を反復するためリスクは大きいと専門家は指摘している。となれば津波注意報が出ている間は、避難所に留まるのが命を守ることになる。

 鶴岡市が見直す地域防災計画は、津波注意報の発表時も警報と同様に災害対策本部を設置、地域住民に避難指示を出す。ただし、注意報級では既存の「海岸堤防」より陸側には影響はないとして、避難指示の対象は堤防より海側にいる漁業者や海水浴客などに限定する。津波注意報は波高が20センチ~1メートルで発表される。しかし、弱くても長い時間ゆっくりした揺れを感じたら注意報が出されていなくても、まず海岸から離れることは避難の鉄則だ。

     ◇       ◇

 能登半島地震では土砂崩れ、家屋や電柱の倒壊で自治体が定めていた避難路などが寸断されて避難が妨げられた。地震と津波を想定した避難路までふさがれてしまったことを考えると、想定を超える次善の策、1次避難場所から2次避難所への移動経路などの再点検も必要となるのではないか。

 災害発生時の避難で大きな課題となるのが、自力での避難が困難な要支援者への対応。2019年6月の山形県沖地震でも体が不自由として避難をためらった住民もいた。沿岸地域では高齢化が進んでいる。後期高齢者、要介護認定者の避難をどうするか。地域を支援するマンパワーも求められる。災害は不意に襲ってくる。いざの時にどのように行動するか。行政に頼るところは多いが、住民が「まず逃げる」ことを心に刻んでおきたい。

画像(JPEG)


2024年(令和6年) 3月16日(土)付紙面より

ツイート

三川町の良さ 魅力発信 活躍する若者紹介 「来夢来人」冊子制作 盛り上げへ“頑張る姿” 写真とコメントでつづる

 三川町の中高生ボランティアサークル来夢来人(らいむらいと)」=片桐愛夢代表(酒田南高校2年)=のメンバーが、町内で活躍する若者を紹介した冊子を作った。地域づくりについて関心を持ってもらうことが目的。60部作成し、今月末まで町内の小中学校に配布する。

 冊子はB5版20ページのオールカラー。タイトルに名付けた「VOLO!(ウォロ)」はラテン語で「自ら望む」「願い出る」という意味があり「ボランティア」の語源になったという。

 内容は赤川河口でクリーン作戦を行ったり、小児がん患者を支援する「山形レモネードスタンドプロジェクト」に参加してきた「来夢来人」の活動紹介を皮切りに▽青年サークル「青友(せいゆう)」▽JA庄内たがわ青年部▽「菜の花むすめ」―の3団体をピックアップした。

 今年37年目を迎える「青友」は三川町の若者が夏のイベント「納涼祭」に縁日出店し、町民との交流を図っている。農家の青年23人で組織するJA庄内たがわ青年部は、みかわ保育園・幼稚園を訪れ「もちつき体験」を通して子どもたちとふれあいを深めている。

 例年18歳以上の女性3~5人で構成する「菜の花むすめ」は、三川町の観光親善大使として首都圏の物産展などに参加し、三川の良さを発信。それぞれの団体が地域を盛り上げようと頑張っている姿を活動写真や代表者のコメントを掲載して伝えた。

 代表の片桐さんは「冊子を通して少しでも三川で活躍する人たちを知ってもらえればうれしい。メンバーのみんなと楽しく制作し、いい紙面に仕上がったと思う」と笑顔を見せた。

 この春、東北公益文科大学に進学する松澤稜さん(鶴岡中央高3年)は「中学1年生の時から6年間、来夢来人で活動してきたが、とても楽しかった。大学に進んでからもボランティアは続けていきたい」と話した。

 冊子制作は県の「次世代の地域づくり中核人材育成事業」を活用した。町内小中学校へ配布するほか、子育て交流施設「テオトル」に閲覧コーナーを設け誰でも自由に見ることができる。

仕上がった冊子「VOLO」を三川中の橘正敏校長に手渡す「来夢来人」の代表メンバー=12日、三川中
仕上がった冊子「VOLO」を三川中の橘正敏校長に手渡す「来夢来人」の代表メンバー=12日、三川中


2024年(令和6年) 3月16日(土)付紙面より

ツイート

中学の制服身に着け学びや巣立つ 庄内小学校56校のうち10校で卒業式 希望と夢持ち

 庄内の小学校で15日、卒業式が行われ、中学生の制服を身に着けた卒業生が学びやを巣立った。 庄内教育事務所によると庄内の小学校56校のうちこの日、卒業式があったのは10校。16日(34校)にピークを迎える。

 このうち鶴岡市の朝暘第二小学校(粕谷温子校長)では在校生や保護者の拍手に迎えられ卒業生50人が体育館に入場。粕谷校長が一人一人に証書を手渡し「小学校生活で体験したことを栄養にして中学生になっても失敗を恐れず努力を続けてください」とはなむけの言葉を贈った。

 ステージ前に整列した卒業生は「希望を胸に未来に向かって羽ばたきます」「在校生の皆さん、これからも明るく元気に力を合わせて頑張ってください」「これまで温かく見守って育ててくれた家族と先生に感謝します」と別れの言葉を述べた。

 卒業生の中には致道館中学に進学するグレーを基調とした制服を身に着けた男女の姿も見られた。

在校生や保護者から見送られ式典会場を後にする卒業生=朝二小
在校生や保護者から見送られ式典会場を後にする卒業生=朝二小



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field