2018年(平成30年) 5月30日(水)付紙面より
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鶴岡市温海地域などへ25日までに、仙台市と札幌市の中学校2校からそれぞれ約160人が教育旅行として訪れた。体験学習の受け入れに地元自治会や観光業などが協力し、地域の暮らしや文化に触れる体験学習を支援した。
日程はそれぞれ、仙台市の宮城教育大付属中が5月17日から1泊2日、札幌市立西陵中は24日から2泊3日で山形市や鶴岡市を訪れ、このうち25日に温海を訪問。
受け入れの調整役を務めたのは、地元のNPO法人「自然体験温海コーディネット」(五十嵐伊都夫会長)。同NPOは、温海地域の豊かな自然や文化を生かした体験型観光を提供しており、今回の大規模人数の受け入れには体験アクティビティーで培った協力団体のネットワークが生きた。
同NPOとしては初めて受け入れの窓口となった宮城教育大付属中の教育旅行では、温海を中心に鶴岡市三瀬、村上市山北から計約30団体が協力。「生き方を養う」の学習テーマに沿って農業・漁業体験や、自治会の活動、旅館の職業体験などを提供した。
このうち廃校した小学校校舎を活用した宿泊施設「小国ふる里ふれあい村楯山荘」では、5人が訪問。布団の掃除といった作業や宿泊客を歓迎する黒板アートの制作に取り組んだほか、管理人の五十嵐敏也さん(62)から廃校利用の経緯や課題を学んだ。
同校2年の千葉愛可さん(13)は「廃校後、30年間も宿泊施設として活用し続けてきた地元の人の勇気がすごいと思った」。最終日の18日、昼食は小国で「ひきずり」と呼ばれるひっぱりうどん。お世話になった五十嵐さんへのメッセージをホワイトボードにしたためて楯山荘を後にした。
温海温泉林業センターで行われた退村式では、受け入れに協力した住民らとの別れを惜しむ姿が見られた。
札幌市の西陵中は25日午後の受け入れ。4グループに分かれて農林業体験の後、萬国屋で山五十川歌舞伎体験。地元役者と一緒に隈(くま)取りや見え切りで盛り上がった。
両校のいずれの日程でもトラブルなく無事に終了。自然体験温海コーディネット事務局長の冨樫繁朋さん(39)は「関係各所の調整など、今後の受け入れに向けても得たものは大きい。教育旅行を通して生徒が得たこの地域とのゆかりや縁は、将来、この地域にとっても生きてくるはず」と話した。