2025年(令和7年) 2月22日(土)付紙面より
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桃の節句に合わせ、酒田市内の旧家などに代々伝わるひな人形を広く紹介する「酒田雛(ひな)街道」が来月1日(土)から開幕するのを前に、同市新屋敷の松山文化伝承館(榎本和介館長)でひな人形の展示が始まり、ひと足早く春の訪れを告げている。
酒田には、北前船の往来で江戸、京都、大阪などから運ばれてきた由緒あるひな人形、江戸末期から作られ庶民の家々で飾られてきた素朴で愛らしい土人形、子孫繁栄や子どもの幸せを願い布細工で作ったつるし飾りを地元の神社仏閣に奉納した傘福など、桃の節句にまつわる文化が数多く残っており、これらを広く紹介する酒田雛街道は1996年からこの時期に開催している恒例イベント。
同館での展示を皮切りに、山王くらぶでの「傘福展」終了の11月上旬まで、早春を中心に市内を華やかに彩る。
松山地域のひな人形は一度の購入で全段を揃えるのではなく、代々長い年月をかけ買い足されているのが特徴。段によって購入年が異なるため、着物の模様や人形のサイズも違うなど、その家独自のひな段飾りが出来上がる。今回は昨年7月の豪雨災害からの復興と、市民が笑って桃の節句を祝えるようにと願いを込め「笑う門には福来たる!松山のお雛さまとステンドグラス」と題し企画した。
松山藩の藩医を務めた今田家と家老の旧家土方家に代々伝わる江戸、明治期に作られた歴史を感じるひな人形、同藩出身の絵師・田中静居の恵比寿天、大黒天が向かい合って笑う姿が印象的な対幅の掛け軸などとともに、松山地域で手作りステンドグラスや布細工などを手掛ける関彰子さんのランプ作品など計200点余を展示。ステンドグラスを通した柔らかな光が鵜渡川原(うどがわら)人形、木目込み人形、ひな飾りを優しく照らし、幻想的な雰囲気を演出している。
展示は来月30日(日)まで。今月23日(日)に木型を使った雛菓子作りワークショップ、来月2日(日)に呈茶を楽しむひな茶会を予定している。問い合わせは同館=電0234(62)2632=へ。