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2023年(令和5年) 5月28日(日)付紙面より

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息づく伝統の学風 鶴岡 古典素読教室が開講

 旧庄内藩校・致道館の学風を受け継ぎ、半世紀以上続く「少年少女古典素読教室」の開講式が27日、鶴岡市の致道博物館御隠殿で行われた。市内の小学生たちが8月上旬までの2カ月余り、「論語抄」の素読を通じて地域に息づく伝統の学風に触れる。

 素読は致道館が奨励した学習法の一つで、中国古典の漢文を大きな声を出して読むのが特徴。教室は、鶴岡市が1968年度から2年間、当時の文部省の文化財愛護モデル地区に指定されたことをきっかけに始まり、50年以上にわたって継続されている。現在は市中央公民館、致道博物館、致道館文化振興会議が共催し開講している。本年度は市内の小学1?6年生12人が受講し、うち初参加は5人。7月末まで毎週土曜日の朝に40分の学習を行う。夏休み期間の7月31日?8月5日は午前5時40分から早朝素読に取り組む。

 開講式には受講生と保護者、講師陣が出席。主催者の熊坂めぐみ中央公民館長、酒井忠久致道博物館長、橋本政之致道館文化振興会議会長があいさつし、「学習を通して鶴岡の歴史、文化を引き継いで」「声を出して読むことは学習に大きな効果がある。論語の中から好きな言葉を見つけてほしい」などと激励した。

 続いてテキストとなる論語抄の冒頭の一節「子曰学而時習之」(し のたまわく まなんでしこうして これをじしゅうす)を全員で素読。御隠殿に子どもたちの元気な声が響いた。

 今回初めて受講する広瀬小6年の古野地紘君(11)は「振り仮名がなくても論語を読めるようになりたくて参加した。孔子が残した言葉をずっと受け継いでいるのはすごいことだと思う」と話していた。

 致道館文化振興会議は素読教室閉講後の8月上旬に庄内論語素読検定を行うほか、夏休み明けには論語作文の募集を開始する予定。

藩校・致道館の学風を受け継ぐ伝統の少年少女古典素読教室が開講。子どもたちの元気な声が響いた
藩校・致道館の学風を受け継ぐ伝統の少年少女古典素読教室が開講。子どもたちの元気な声が響いた


2023年(令和5年) 5月28日(日)付紙面より

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「多くの人に見てもらい、使ってもらいたい」 菅原さん(鶴岡市道田町)自宅に展示 40年続けた「焼き物」160点余

 公務員の傍ら40年にわたり陶芸を続けてきた鶴岡市道田町の菅原敏記さん(88)が、独学でこれまで作ってきた作品の数々を自宅で展示している。菅原さんは「多くの人から見に来てもらいたい。歓迎します」と話している。

 菅原さんは元鶴岡市職員で、平凡社が発行している月刊誌に掲載された陶芸家の作品の数々に刺激を受け30代で陶芸を始めた。市中央公民館で焼き物のサークルを立ち上げ、仲間と共同で窯を購入し同公民館に置いて活動。師匠はおらず、本などから得た知識で試行錯誤を重ねてきた。

 40代後半、個人用の窯を購入して新築した自宅に設置。休日になると午前2時ごろに起きて窯に向かい、12時間も窯入れと取り出しを繰り返した。陶芸に夢中になっていたため、「旅行などで家を離れることはほとんどなかった」(菅原さん)という。40年ほど続けてきたが、高齢になり70代後半で制作の手を止めた。

 陶芸にのめり込んだ理由について「焼き物には自分の考えが表れる。それが一番楽しいところ。『こうしたら悪い』という制限がなく自由に表現できるのも良い」と話す。釉薬(ゆうやく)も木の灰やわら灰などを混ぜ、さまざまな色が出るよう考えた。

 菅原さんが手掛けた焼き物は、小さいものはぐい飲みから大きいものだと一抱えほどになるオブジェやつぼがある。表現方法も多彩で、焼き物に別の素材を掘り込む「象嵌(しょうがん)」という技法を用い、暗色系の焼き物の表面に白い象形文字が浮き上がるよう施した作品も多く見られる。象形文字はやはり本などで調べたという。

 このほか立体的なバラを窯で焼き上げて装飾に使ったつぼや、表面を何カ所もくりぬいたようにも見える網目状に焼き上げたオブジェなど、独創的な作品が並ぶ。作品の数は「多過ぎて途中から数えていない」(菅原さん)という。

 「高齢になり、作品を置くスペースもなくなってきた。この機会に多くの人に作品を見てもらい、気に入ったものは安価で提供しようと考えた」として、今回の展示会を企画した。大小の作品160点余りがずらりと並んでおり、一部は非売品。鶴岡市へ寄贈予定の作品も展示している。

 菅原さんは「どの焼き物も一生懸命作ったもの。手放すのはさみしい気持ちもあるが、大事に使ってもらえれば」と話す。妻の悦子さん(85)は「家に窯を置いた当時は火事にならないか心配した。40年間、愚痴一つ言わず作り続けてきたことは本当にすごい」と、夫に寄り添い続けた気持ちを語った。

 展示はしばらく続ける。問い合わせは菅原さん=電0235(24)2419=へ。

平皿やぐい飲み、オブジェなどさまざまな焼き物を作り続けてきた菅原さん
平皿やぐい飲み、オブジェなどさまざまな焼き物を作り続けてきた菅原さん

網目のように焼き上げたオブジェ。中に灯を入れると間接照明にもなる
網目のように焼き上げたオブジェ。中に灯を入れると間接照明にもなる



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