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2023年(令和5年) 6月27日(火)付紙面より

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「自由な環境で人は育つ」致道館中高に期待 致道館文化振興会議総会 植物学者・東大大学院教授 東山さん記念講演

 庄内藩校致道館の教育精神や伝統文化の伝承と普及活動を行う致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)の総会が24日、鶴岡市の荘内神社参集殿で開かれ、「致道館の日『孔子祭』」や小学生を対象にした「庄内論語素読検定会」開催など本年度事業計画を決めた。

 同会議は、鶴岡・庄内の精神風土を形成している致道館の教育精神などを将来に伝承することを目的に、2006年に発足。「論語一日一題カレンダー」を作製して頒布するなどの活動を展開している。

 論語素読検定は、酒井家庄内入部400年を記念して昨年度に初めて実施したもの。本年度も夏休み中の8月6日(日)に国指定史跡旧庄内藩校致道館で開催する。「致道館の日『孔子祭』」は9月30日(土)に致道館で行い、同日に記念講演会や第15回児童・生徒論語作文発表会を荘内神社参集殿で開催する。このほか、少年少女古典素読教室を鶴岡市中央公民館などと共催、鶴岡書道会などと共催で小中学生を対象にした第26回論語書道作品展を11月3日(金)―6日(月)に鶴岡市中央公民館で開催する。欠員に伴う役員補充選任で、理事に小澤敏一氏(鶴岡市小学校長会)、監事に春山久氏(鶴岡市)を新任。物価高騰に伴い、一般会員の年会費を来年度から1000円引き上げ3000円に改定することを了承した。

 総会終了後には一般参加による記念講演会があり、鶴岡市出身の植物学者で東京大大学院理学系研究科教授の東山哲也さん(52)が「『らんまん』から考える人材育成と植物科学」と題して講演した。

 東山さんは朝暘五小、鶴岡二中、鶴岡南高を卒業し、東京大理学部に進学。放映中のNHK連続テレビ小説「らんまん」で主人公のモデルとなっている植物学者・牧野富太郎氏と同じ東大植物学教室で学んだ。花粉の内部で起こる植物の受精を初めて映像で捉え、140年の謎とされた「花粉管誘引物質」を発見し、この物質を「ルアー」と名付けた。研究の功績で数多くの賞を受賞している。

 講演で東山さんは、「らんまん」の舞台にもなっている植物学教室に牧野氏が加わった頃の状況を、ドラマの登場人物と実際の学生や教員らとをなぞりながら紹介。「植物学の黎明(れいめい)期に優れた人材、特に若手が多く集まり、自由に研究を行う気風があった。それは100年ほど後に自分が入った時も変わらなかった。研究室に入り、担当教授からも『何でも好きな研究をして』と指導され、植物の受精を生きたまま見ることにこだわって研究を進めてきた」と語った。

 若い人材が集まり、自由に学ぶといったことは現代の人材育成にも当てはまるとし、海外からも若手人材を集めて名古屋大教授時代に携わった研究所新設の経験を基に「高い目標に向かおうとする若手を集め、交わらせ、思う存分全力でやり切ることのできる環境をつくることで、人は育つ」と強調した。

 人材育成に関してさらに、藩校致道館の教育の特色「天性重視・個性伸長」「自学自習」「会業の重視」に触れ、来春開校する県立致道館高校・致道館中学校について「致道館の教育精神を取り入れて若い人たちの個性を受け入れ、さらに強烈な個性を持った人材を育てる。ぜひユニークな活動を行ってほしい」と期待を寄せた。講演会には同会議の会員のほか、一般を含め約200人が参加した。

「らんまん」と牧野氏を通して植物科学と人材育成について講演した東山さん
「らんまん」と牧野氏を通して植物科学と人材育成について講演した東山さん



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