2023年(令和5年) 7月30日(日)付紙面より
ツイート
庄内論語の素読体験講座が29日、鶴岡市の庄内藩校致道館で開かれた。未就学児からお年寄りまで一緒に「子曰く。学んで而して之を時習す。亦説ばしからずや」と声を上げて読み、旧藩校に伝わる学びの精神に触れた。
講座は「江戸時代の学校『致道館』の学びを体験しよう」をテーマに掲げ、致道博物館・藩校致道館が毎年夏休みに合わせて開催している。今回は鶴岡市や山形市から小学生を中心に保育園児や保護者など合わせて16人が参加した。
この日も午前中から30度を超える真夏日となり、会場の御入間(おいりのま)はふすまや障子を開け放って開講。涼しい風が入る中、致道館統括文化財保護指導員の富樫恒文さんが講師となって「親子で楽しむ庄内論語」をテキストに素読した。
参加者全員で「子曰く。学んで而して之を時習す。亦説ばしからずや」と大きな声で読み上げ、富樫さんが「子は先生という意味。簡単に訳すと『先生がおっしゃいました。学んだことをいつも復習して覚えることは、なんとうれしいことではないか』ということ」と解説した。講座は30日も開かれる。
論語は2000年以上前にできた中国の儒学者・孔子と弟子の言行録で、日本には約1700年前に伝わった。江戸時代の学者・荻生徂徠が提唱した「天性重視・個性伸長」を教学とした藩校致道館では、当時の学生たちが論語を基に「どう生きるか」を模索していた。こうした「自学自習」の精神は今でも鶴岡の地に受け継がれている。