2023年(令和5年) 10月29日(日)付紙面より
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旧庄内藩主酒井家の歴代藩主らの墓がある鶴岡市家中新町の「酒井家墓所」が28日、特別公開された。酒井家の祖で徳川四天王筆頭の酒井忠次公の命日に合わせた初の一般公開で、忠次公や庄内藩初代藩主の忠勝公らを祭る荘内神社と、酒井家の菩提寺・大督寺による合同の「歴代酒井家墓前祭」「歴代酒井家追善法要」が執り行われ、市民らが参列。全国的にも珍しいとされる江戸時代の歴代藩主の墓がそろい、貴重な歴史資源でもある広大な墓所を見学した。
昨年の酒井家庄内入部400年に加え、今年はNHK大河ドラマ「どうする家康」に家臣団の中心人物として忠次公が登場して活躍したことを踏まえ、墓所を管理する一般社団法人荘内酒井歴史文化振興会(代表理事・酒井忠順致道博物館長)が、両社寺の協力で神式の墓前祭と仏式の法要を組み合わせ、初の公開を行った。
墓前祭で酒井家19代世嗣の忠順さん(49)が「多くの方々の協力で御墓所の整備が実現し、ようやく公開できた。とても感動、感激している。庄内・鶴岡の歴史、文化、観光の拠点、シンボルとなるよう整備に努めていきたい」とあいさつ。来場者とともに忠次公の墓前で一礼し、第17代忠明さんまで、歴代の藩主・当主とその夫人らの墓がある約7270平方メートルの広大な墓所を巡った。
引き続き墓所に隣接する大督寺本堂で追善法要が行われ、読経の中、一般も含めた参列者全員が焼香。本堂では忠次公の妻・碓井姫の座像も公開された。酒井家のあいさつで、第18代当主・忠久さん(77)は「多くの方々から訪れていただき、歴代の当主も皆さんにお会いできたことを喜んでいることと思います」とあいさつした。
特別公開には庄内地域をはじめ県内、首都圏や忠次公の生誕地・愛知県三河地方からなど県外も含め午前中に400人を超える人が訪れ、歴代藩主の墓に一礼して写真を撮る人の姿も多くあった。「忠明さまのお墓をどうしてもお参りしたい」と家族に手を引かれながら訪れた高齢男性もいた。
墓所を管理する同振興会代表理事の忠順さんは「来年以降も毎年、忠次公の命日の10月28日は墓所の特別公開を行いたい」と話していた。