2023年(令和5年) 5月6日(土)付紙面より
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鶴岡市羽黒町高寺の雷電神社に伝わる田楽「高寺八講」(県指定無形民俗文化財)が4日、同神社の春の例祭で奉納上演された。大勢の見物客が訪れ、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る舞に見入った。
高寺八講は室町末期ごろから氏子たちが受け継いできた豊作祈願の舞で、1976年に県文化財指定を受けた。「八講」とは8日の祭典「八日講」を略したという説や演目がかつて「八番」あったなど諸説ある。明治時代半ばまでは8番全て舞われていたが、現在は4番までを奉納上演している。
好天に恵まれたこの日は4年ぶりにくねり行列が復活。地元の若い衆など約20人が神社を目指して地区内を練り歩いた。
拝殿で祈祷後、「薙刀(なぎなた)舞」や広瀬小学校の児童による「稚児舞」、現在は雷電神社など全国的にも一部でしか舞われていないという貴重な「大小舞」を披露。メインの「花笠舞」では、上部に色鮮やかな花を差した四角い笠をかぶり、ササラや扇を手にした6人の舞い手が独特の所作で田楽の世界を表現。訪れた地元民やアマチュアカメラマンを魅了した。
生まれが高寺という神林美恵子さん(83)=鶴岡市大西町=は「毎年見に来る。少子化などで難しいところもあると思うが、地域の大切な伝統芸能を未来につないでほしい」と話した。