2023年(令和5年) 8月26日(土)付紙面より
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国の天然記念物に指定されている「羽黒山のスギ並木」を守ろうと地元・羽黒町手向集落の住民でつくる羽黒山スギ並木保全まちづくり協議会(会長・阿部良一出羽三山神社宮司)と北海道大学観光学高等研究センター(山村高淑(たかよし)センター長)が24日、連携協定を結んだ。樹齢350―400年が経過し、倒木の危険性があるスギ並木の保全を進める調査・計画策定事業が始動した。
羽黒山随神門前で行われたセレモニー(始動式)には両団体の関係者や地域の課題について学習する羽黒高校の生徒ら合わせて約50人が参加。交わした協定書を披露した後、スギの「記念モニュメント」を除幕した。スギ並木の現地説明会では今年3月まで出羽三山神社の森林技師を務めた鈴木栄作さん(69)が外観から分かる危険木の特徴について説明した。
その中で鈴木さんは「国の天然記念物に指定されているため、腐食して倒れそうなスギであっても枯死しなければ伐採できない法律がある。日光東照宮のように幹にワイヤを取り付けて参道側に倒れない処置を施すことが必要。今後、石段沿いにあるスギ558本の健康状態を1本ずつ確かめる作業が求められる」と話した。現在、確認されている枯れたスギは18本。参道に重機が入れないため1本処理するのに約25万円の費用がかかるという。
山村センター長の代理として参加した北海道大学の天田顕徳博士(41)は「枯れたスギの処理をすべて管理する出羽三山神社に任せればいい、というものではないと思う。地域全体で守ることが大切。保全するための財源をどう確保すればいいのか。今後、(北海道大学の)学生や地域住民と考えていきたい」と語った。セレモニーの冒頭で保全まちづくり協議会長の阿部宮司(66)は「今日は羽黒山スギ並木を後世に残すため具体的な活動がスタートする日。ミシュラングリーンガイドで三つ星を獲得し、多くの人たちに親しまれているスギ並木を皆さんとともに守っていきたい」とあいさつした。