2022年(令和4年) 11月5日(土)付紙面より
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庄内町立谷沢の町淡水魚養殖施設で「月山鱒の会」(長南佳佑会長、会員10人)が“ご当地サーモン”を目指して育成に取り組んでいる「ガッサーモン」が先月29、30の両日、同町のヤマザワ余目店(阿曽雅彦店長)限定で初めて店頭販売された。消費者の反応も上々で、長南会長は「ヤマザワという大きなお店で販売できたことで箔(はく)が付いた。まだまだこれからが勝負だが、安定的に出荷できるように頑張っていきたい」と今後への期待を膨らませた。
町淡水魚養殖施設では、前指定管理者が撤退した後、新たな指定管理者の応募がなく、施設の一時休止が危ぶまれたが、釣り好きの40―50代のメンバーが同会を立ち上げ、2021年から餌やりや魚の健康管理など、ほぼ毎日施設に出て、ガッサーモンの養殖に取り組んでいる。
養殖では、環境省の平成の名水百選にも選ばれた立谷沢川の支流・玉川の水を活用。水温は冬場1度、夏場19度にもなる自然水を使い、成長は遅くなるものの「あえて自然の魚と同じ環境をつくっており、冷水にも耐えられるしっかりした魚体になる。米油を混ぜた餌を与えることで品のよい脂が乗ったサーモンになる」(長南会長)という。約2年で体長40―50センチ、約1キロに成長。現在は約1万匹を育てている。
今回の店頭販売は、同会が今年春、同店バイヤーに「味をみて、おいしかったら買ってほしい」と打診。衛生上の懸念がある夏場を避け、今年10月末に実現したもの。2年もののガッサーモン30匹が納品され、まるまる一尾や刺し身パックが約60パック並べられ、400―1500円で販売。買い物客らは珍しさも手伝って次々と買い求めていた。阿曽店長は「売り場に出すとすぐなくなってしまうので好評だ。今回は地元店だけでの販売だが、もう少し安定的に出せるようになれば庄内全域にも広げられるのではないか」と話していた。長南会長は「本来であれば1・5キロ?2キロの3年ものを出したかったが、まだ時間がかかる。魚体の小さいものは地元の祭りに出したことはあるが、ヤマザワのような大きなお店で販売できたことは大きい。ここからが勝負だが、ご当地サーモンとしてガッサーモンを広げていきたい」と展望を語った。