2017年(平成29年) 4月6日(木)付紙面より
ツイート
遊佐町直世の樽川集落で4日夕、集落内から災厄や疫病を払う伝統行事「やっさら人形流し」が行われた。神に見立てた手作りのわら人形「やっさら人形」を住民が洗沢川に投げ入れ、厄を払った。
伝統文化に詳しい「酒田あいおい工藤美術館」の工藤幸治館長(酒田市芸術文化協会長)によると、「やっさら」は「厄攫(やくさらい)」が語源。同じく直世地区の中山集落にも伝えられているが、人形を川に投げ入れない。いずれも400年ほど続く行事という。上部にツバキやサザンカなど赤い花を取り付けた全長30センチほどのやっさら人形は、災厄や疫病を神として祭り上げたもの。人形を川に流すことで、集落内から災厄などを追い出すという。
以前は子どもたちによる行事だったが、少子化の影響もあり現在は集落総出で伝承。「流し雛(びな)」の原形とされ、毎年4月4日の夕方に行われている。
この日は午後5時半ごろから三々五々、長さ約1メートルの竹の棒に差したやっさら人形を手にした住民が集落南端に集合。その後、太鼓と鐘の音に合わせ、十数人が「やっさら人形 おっぐんぜ どこまでおっぐんぜ 佐渡島(さどしま)までおっぐんぜ」と唱えながら河川敷まで歩を進めた。
辺りが暗くなり始めた午後6時すぎ、住民が川面目掛けて一斉にやっさら人形を投げ入れると、流れに乗って下流へ。住民らは静かに手に合わせて無病息災などを祈っていた。