2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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フィデアホールディングス(HD、仙台市、新野正博社長)は25日午前、傘下の子会社の荘内銀行(鶴岡市、松田正彦頭取)と北都銀行(秋田市、伊藤新頭取)が2026年度中の合併を目指した検討に入ると発表した。人口減少や企業数の減少など構造的な課題を抱える中、さらなる経営資源の効率化を進め、経営基盤の強化を図る考えで、これまでの経営統合から両行の合併に踏み出す。合併新銀行の行名や本店所在地、役員体制などは未定で、今後の合併協議で検討する。合併が実現すれば、東北では初の県境を越えた広域地方銀行となる。
荘内、北都の両行は2009年10月、経営統合した上で金融持ち株会社・フィデアHDを設立。基幹系システム統合やグループとしての本部機能の一本化、事務集中部門の統合、関連会社の再編などを実施してきた。両行が営業地盤とする山形、秋田両県は人口減少の加速とともに、企業数の減少もあり、マーケット規模が縮小傾向にある。こうした背景が、経営統合から一段進めた合併に向けた検討への背景とみられる。
25日午前、フィデアHD、荘内銀行、北都銀行それぞれの取締役会で、合併を目指し具体的な検討を進めることを決議した。同日午後に仙台市で開く3者のトップによる記者会見で、合併の狙いなどを説明する。両行は今後、合併準備委員会を設置し具体的な協議に入り、25年度の両行の株主総会での議決、関係当局の認可を経て26年度中に新銀行をスタートさせる。
フィデアHDは今回の発表に伴う24年3月期通期の業績予想に変更はないとしている。北都銀行に対して10年3月に実行された100億円の公的資金注入は、期限を2年間前倒しし23年2月に完済されている。
2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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台湾・台中市の烏日国民中学(国中、13―15歳が集う日本の中学校相当)の生徒ら一行が、教育旅行として23日から3泊4日の日程で酒田市を訪れている。台中市からの教育旅行受け入れは先月に続き2回目。日程2日目の24日、一行は酒田市の東部中学校(赤塚枝美校長、生徒201人)を訪問し、交流会、授業参観・体験など通して相互に親交を深めた。
台中市をターゲットに観光プロモーションを積極展開してきた、酒田市の登録観光地域まちづくり法人「酒田DMO」(荒井朋之代表理事)が、先月に訪れた台中市の長億高級中学(高校相当)に引き続いて誘致した。一行は烏日国中1―3年生12人と夏梅娟校長ら教職員10人の計22人で、全行程は22日から5泊6日。翌23日に酒田入りし、午前中は東北公益文科大学生有志の案内で山居倉庫や山王くらぶ、さかた海鮮市場などを見学。午後からは「舞娘(まいこ)茶屋相馬樓」で酒田舞娘らから演舞指導を受けた。
2日目は、平田牧場「酒田京田ミートセンター」を見学した後、東部中へ。赤塚校長が学校概要を説明した後、美術室や音楽室など校内を視察した。
生徒会執行部が主催した交流会では、小松剛琉(たける)生徒会長(14)=2年=が「ようこそ東部中へ。皆さんの来校を心待ちにしていた。グローバル化が進む中、まずは近くの国の人と仲良くすることが大切と思う。互いの文化に理解を深めましょう」と一行を歓迎すると、烏日国中の生徒たちがリコーダーで「いのちの名前」「さんぽ」を演奏。東部中剣道部の阿部圭汰さん(14)=2年=と石川純瑠(すみる)さん(14)=同=が日頃の練習成果を生かして木刀を使った演武を披露した。
このほか、一行は給食を味わったり、英語と保健体育の授業に参加するなどした。「酒田は台中と似ている。雪がきれい」と話す烏日国中3年の李浚毅さん(15)は「剣道は初めて見た。日本に来ても必ず見られるとは限らず、貴重な体験。文化の違いを学ぶことができてうれしい。この交流が長く続けば」と続けた。
一行のうち生徒たちは酒田市教育委員会の呼び掛けに応じた市内の協力家族宅にホームステイ。26日までの間、市役所表敬訪問、八幡地域での雪山体験、平田地域での古民家・温泉体験などで見聞を広げる。
2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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元東北経済産業局長で政策研究大学院大教授の根井寿規さんを招いた講演会が21日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、世界のエネルギー情勢や気候変動対策に基づくクリーンエネルギー技術の商業化などについて解説した。
地元経済人による「JIMOTO研究会」(代表・青木政樹青木建材社長)が、「勉強会」として企画。地元の企業経営者ら約50人が参加した。根井さんは1981(昭和56)年に東京大理学部卒、旧通産省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁石油精製備蓄課長、東北経済産業局長、内閣審議官、石油天然ガス・金属鉱物資源機構理事などを歴任し、2014年6月から現職。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中でのエネルギーを巡る最近の情勢について、根井さんは「ロシアは戦費が増大する一方、ヨーロッパの市場を失い収入が減少している。価格が下がったロシア産原油を買い支えているのはインドであり、中国も表には見えないがロシア産が入っている。ただ、ロシア国内の石油生産能力は投資が回らない関係から、今後5年ほどで急激に落ちていく」と見通し、「ヨーロッパはロシアからの天然ガス供給停止で、ロシアに代わる調達先の確保に引き続き苦しんでいる。脱原発を遂げたドイツは今後もこのままやっていけるかどうかだ」と述べた。イスラエルとパレスチナを巡る動きによる石油価格への影響は、「今のところ小さい」とした。
一方、気候変動対策に伴う温室効果ガス排出抑制では近年、農業部門からの抑制に注目が高まっているとした。国際エネルギー機関(IEA)はエネルギー分野を中心にしているため農業部門への関心は低いものの、マイクロソフトの創業者として知られるビル・ゲイツ氏が主唱して設立された組織は、農業が温室効果ガス排出の2割ほどを占めているとして重視していることと、戦略的な取り組みとして牛によるメタンガス排出抑制のためのワクチン開発などの動きを紹介した。
クリーンエネルギーについては、エネルギー関連企業が集積する米国テキサス州での商業化に向けた動向を紹介。産学連携によるイノベーション創出活動によってベンチャー育成が活発化し、再生可能エネルギーや炭素リサイクル技術、バッテリーなどエネルギー貯蔵関連の投資額が増えている現状を報告した。また米国では民間企業による核融合炉の商業運転開始に向けた動きが具体化している事例も紹介した。
2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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酒田市の黒森地区に伝わる民俗芸能「黒森歌舞伎」(県指定民俗文化財)の正月公演(来月15、17日)を前に、「くろもりん押絵倶楽部」(佐藤久美子代表)による土産品「黒森歌舞伎押絵(おしえ)」の制作が追い込みに入っている。
黒森歌舞伎では、長く地区内で収穫したひょうたんに役者の隈(くま)取りを描いた「歌舞伎ひょうたん」を販売していたが、ひょうたん栽培者の減少や絵付け技術者の高齢化などから販売できなくなり、地区民による一座・妻堂連中がひょうたんに代わる土産物として押し絵を考案。制作の呼び掛けに応じた女性たちで組織する同倶楽部は2013年から制作しており、売り出し当初から完売が続く人気の土産物品となっている。
11作目となる今年の押し絵は、正月公演で上演される「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の主役の一人、弁天小僧菊之助で、「知らざぁ言って聞かせやしょう」とたんかを切る名場面を表現している。市内在住のデザイナー・久松理子さんに毎年デザインを依頼。同倶楽部のメンバー4人で昨年11月ごろから制作に取り組んできた。
押し絵は型紙にスポンジを貼り、パーツごとに切り分けてちりめんで包む。出来上がったパーツをつなげて色紙に貼り付けるなど、一つ一つ手間のかかる作業を全て手作り。佐藤代表によると、弁天小僧のきせるを持つ指や腕の入れ墨部分の切れ込みなどが細かく大変な作業だが、こだわりを持って制作しているという。
佐藤代表は「押し絵を作る時期になると、歌舞伎の季節が来たと感じる。内陸や県外にも黒森歌舞伎のファンがおり、予約の問い合わせをくれるのがありがたい。見に来てくれた人たちの良い思い出になれば」と話していた。
押し絵は縦38・5センチ、横35・5センチで、色紙のみと専用額入りの限定計50枚を制作予定。額入り5000円、色紙のみ3800円で現在、予約を受け付けている。問い合わせなどは黒森コミュニティセンター=電0234(92)2255=へ。
2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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学問の神様・菅原道真公の縁日にあたる25日、鶴岡市神明町の鶴岡天満宮(齋藤元宮司)で「初天神」が行われた。入試を控えた受験生や家族が訪れ、志望校に合格できるよう祈願した。
菅原道真公が生まれたのは6月25日、亡くなったのは2月25日。全国各地の天満宮では毎月25日を「天神の日」にしている。その中でも年初めの1月25日は「初天神」と呼ばれ、多くの御利益があるといわれる。
鶴岡天満宮ではこの日、鶴岡幼稚園の保護者を代表して佐藤美由紀さんが今春新1年生となる園児33人分のお守りを持参。齋藤宮司から祈祷してもらった。
齋藤宮司は「心と体の健康が一番。小学校に入学する園児の皆さんが交通事故に遭わず、元気に登校して楽しい学校生活を送れるよう願った」と話した。