2024年(令和6年) 1月31日(水)付紙面より
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地域の特色を生かして「里」を盛り上げていこうという「サトモリツーリズムネットワーク」が発足した。鶴岡市で体験活動や県外者向けのツアーを企画している地域おこし団体などがスクラムを組み庄内の魅力を発信する。
環境省の補助事業「環境で地域を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業」の採択を受けて設立準備を進めてきた。構成は▽日承循環合同会社(佐藤竜太代表)▽大鳥てんご(田口比呂貴代表)▽小堅地区自治振興会未来創造事業部(佐藤潤一リーダー)▽鶴岡市三瀬地区自治会(加藤勝会長)▽NPO法人自然体験温海コーディネット(本間洋一理事長)▽田麦の郷(渋谷満徳代表)▽田和楽(佐藤智信社長)―の7団体。28日に鶴岡市三瀬コミュニティセンターで発足会を開き、ネットワークの目的や今後の活動について話し合った。
今のところメンバーはおおむね30人で組織。旅行業・日承循環の佐藤代表がネットワーク事務局長を務める。7団体がそれぞれ特性を生かし、庄内をフィールドに自然体験を楽しむツアーを企画したり、県外から中高生の教育研修(修学旅行)を招いて地域の魅力を伝える。
発足会では7団体の代表者が、日頃どのような活動をしているか、今後の課題を含めて発表した。このうち小堅地区自治振興会未来創造事業部リーダーの佐藤さん(41)は、閉校となった小堅小の校舎をリニューアルして遊びの場を創出したり、移住者向けシェアハウスで県内外から来た人たちと交流活動を展開していることを報告した。
佐藤さんは「ある程度、活動成果は上げているが課題も多い。特に小堅地区の高齢化率は50%を超え、想定を上回るスピードで過疎化(人口減少)が進んでいる。シェアハウスの住人は短期移住がほとんど。市街地に家を建てる若者の流出も続いている。皆さんと一緒に地域の未来、コミュニティーをどう守っていくかについても考えていきたい」と話した。
ネットワークの佐藤事務局長(45)は「人口減少の中で地域をどのように盛り上げていくか。メンバーと共に交流人口を増やす努力を重ねていきたい」と語った。来月18日に温海地域で勉強会を兼ねたモニターツアーを予定している。今後は関係各方面にネットワークへの加盟を呼び掛け参加団体とメンバーの増員を目指す。
2024年(令和6年) 1月31日(水)付紙面より
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酒田市黒森地区に伝わる農民芸能「黒森歌舞伎」(県指定民俗文化財)の歴史などを紹介する企画展「黒森歌舞伎の一年―太夫振舞(たゆうぶるまい)から正月公演まで」が、同市の山居倉庫内・華の館で開かれ、代々受け継がれている衣装、資料などが並んでいる。
黒森歌舞伎は江戸時代から黒森日枝神社に奉納されたといわれる農民歌舞伎で、雪の中で上演、観覧することから「雪中芝居」「寒中芝居」とも呼ばれる。2月15、17日の正月公演を前に、広く市民や観光客に黒森歌舞伎について知ってもらおうと、華の館で初めて展示した。
演目を決める「太夫振舞」や芝居の成功と地域の安寧を願う「お面開き」などの年中行事をパネル写真で紹介しているほか、「絵本太功記」などで立役が着用する1919(大正8)年に奉納されたと伝わる衣装「黒地石橋模様四天」や、お面開きで使われる三番叟(さんばそう)の面のレプリカ、1896(明治29)年に書かれた「義経千本桜」の台本などの資料が並ぶ。
勇ましい獅子など見事な刺しゅうが施された衣装や、江戸末期の上演記録が書かれた「妻堂帳」など、歴史的にも貴重な品々に、来館者たちは興味深そうに見入っていた。
展示は2月19日(月)まで。正月公演は同市の黒森日枝神社で上演される。
2024年(令和6年) 1月31日(水)付紙面より
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酒田市選挙管理委員会(高橋清貴委員長)は29日、2024年度に行われる選挙から投票日当日の投票終了時刻を1時間繰り上げ、午前7時から午後7時までとすると発表した。
市選管事務局によると、期日前投票の定着などによって投票日当日の投票者が大幅に減っていることに加え、投票管理者・立会人は高齢者が選任されることが多く、長時間の従事による身体的負担を軽減する必要があることなど総合的に判断したという。
地域事情などを考慮して従来から午後7時に閉じていた日向、大沢、南部、田沢の各コミュニティセンター、升田公民館、曙自治会館の6投票所は午後6時まで。
開票開始時刻も1時間繰り上げて午後8時からになる。
2024年(令和6年) 1月31日(水)付紙面より
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1―3歳児を対象にしたアートワークショップが27日、酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で開かれ、子どもたちが紙を丸めて遊んだり、初めての物作りを体験した。
ミライニでは、親子で図書館を楽しめる機会を提供しようと、1歳未満を対象とした絵本の読み聞かせや手遊びなどのイベントを定期的に開催している。今回は1―3歳の子どもたちに、物作りの楽しさを知ってもらうことを目的に初めて企画した。
ワークショップは庄内町でアート活動を展開している「アトリエすずべ」主宰・ふるせしおりさん(32)が考案。乳幼児の好きなビニール袋などの「くしゃくしゃ音」をヒントに、丸めた紙やビニール袋を敷き詰めた「くしゃ湯」コーナーや、紙をビニール袋に詰めて作る「くしゃまる作り」などを展開した。
この日は朝から多くの親子連れがミライニ1階のおはなしの部屋コーナーを訪れ、子どもたちは「くしゃくしゃ」と音が鳴る古紙やビニール袋に大興奮。くしゃ湯コーナーで紙を丸めてちぎって遊んだり、ふるせさんに教わりながらビニール袋にシールを貼って模様や顔を表現するなど、思い思いに楽しんでいた。
庄内町余目から来た國本壮将(そうすけ)君(3)は「紙をいっぱい丸めるのが楽しい」と。母親の美鈴さん(35)は「家でも何か作るのに興味を示していたので良い機会になった。物作りのワークショップは5歳以上や小学生対象が多く、3歳ぐらいの幼児を対象に開いてくれるのはとてもありがたい」と話していた。
子どもたちの様子を見ていたふるせさんは「年齢的に、初めてアートワークショップを体験する子もいると思う。作ることや夢中になることの楽しさを覚えるきっかけになれば」と話した。
2024年(令和6年) 1月31日(水)付紙面より
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鶴岡市温海地域の槙代地区で28日、「つながろう槙代“コロナ収束お礼”綱打ち」と銘打った奉納用のわらのしめ縄作り作業が行われた。地区内の30―80代の男性約20人が槙代公民館に集まり、鎮守の大鳥神社と樹齢400年を超えるといわれる地元の「大ケヤキ」に飾るしめ縄4本を作り上げた。
槙代地区では昔、地区内を流れる小国川に架かる木製の橋が洪水で流されないように橋げたをつなぎ止めるための大縄を、地区を挙げて共同で作っていた。その後、丈夫なロープの普及で綱打ちは一旦途絶えたが、世代を超えたつながりを持たせようと、40年ほど前に共同作業を復活させた。毎年1月の綱打ちに合わせ、自治会が豊作を願う「なし団子作り」とそば打ちも行い、地区の子どもからお年寄りまでが集う世代間交流事業として継続していた。
コロナ禍の影響で今年も、時期を遅らせて男衆による綱打ちだけの行事となった。作業では事前に「わら打ち」で柔らかくしたわらを10本ごと束ねて小さな束を作り、これを継ぎ足しながら長く太い綱に。天井からつるして4人一組で「よーいしょ、よいしょ」と声を掛けリズムを合わせ、ねじをかけていった。最大直径15センチで長さ9メートルの綱1本と、長さ4メートルを2本、3メートルを1本の計4本を約3時間で仕上げた。
槙代自治会の板垣金一会長は「人口減少の一因として集落内のつながりの希薄化が挙げられる。“赤い糸”の集大成として願いを込めて綱を打ち込んでいる」と話した。