2019年(令和1年) 9月1日(日)付紙面より
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商品を通じて現代社会の問題の解決を探る商品開発・管理学会(会長・高橋幸司鶴岡高専校長)の第32回全国大会が30日、鶴岡市先端研究産業支援センターで開かれた。「中間都市における観光振興」をテーマに、元山形県副知事の後藤靖子JR九州特別参与らの基調講演、庄内地域からの事例発表、研究者らによる研究報告が行われた。
同学会は2001年設立。高等教育機関の研究者や民間企業の商品開発担当者らで組織している。鶴岡での全国大会開催とともに、テーマに「観光」を掲げるのも初めて。大会実行委員長も担った高橋会長は「商品開発・管理学会が対象とする分野は産業全般に関わり、観光もその一つ。日本唯一のユネスコ食文化創造都市で観光資源が豊富な鶴岡での全国大会開催でもあり、テーマ設定された」と話した。大会には、全国各地から約40人が参加した。
基調講演の講師の後藤さんは元運輸省のキャリア官僚。交通、観光部門を担当するなどし、国土交通省北陸信越運輸局長、同省大臣官房審議官、国土交通政策研究所長、JR九州常務なども歴任した。
後藤さんは、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星」に乗車した海外メディアの記事を分析し、「東京や京都などとは違う、外国人にあまり知られていない地域や日本の良さを発信している」と指摘。「四季がはっきりしている東北には、折々の季節を楽しむ文化と日本らしい景観がある。こうした強み、特徴を伝え、それに価値を見いだす人々を掘り起こすことが大事。観光は地域の総合力。多様な人々が知恵を出し合うことで発展し、活性化につながる」と述べた。
天童市の山口敦史滝の湯ホテル社長も基調講演したほか、中原浩子酒田南高校長が「全国初の私立高校における観光コース」、西村修酒田まちづくり開発社長が「酒田屋台村事業を通したまちづくりと観光振興」のテーマで事例紹介した。