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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より

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対談 『らんまん』から考える人材育成と植物科学2

東山 哲也氏( 鶴岡市出身・植物学者東京大学大学院理学系研究科教授)×門松 秀樹氏(『らんまん』時代考証担当東北公益文科大学教授)

藩校時代の自由度が天才生み出す…東山氏
「覚える」ではなく自由に「考える」…門松氏

 門松 ドラマ「らんまん」の主人公のモデルとなった植物学者・牧野富太郎は小学校中退がものすごく有名だが、佐川にいた時、学問所「名教館(めいこうかん)」に通っていた。名教館の勉強とは別に洋学を勉強するサークルにも入っていた。自分で翻訳しながら原書を読むなど広範な学問を勉強していた。公的な学校歴としては小学校中退だが、佐川小学校に入る前に大学に入れるくらいの勉強をやってしまっている人。本来は小学校中退の人が英語の論文を普通に書けるのか疑問に思うべき。豪商の出身なので、きちんと教養を身に付けた人。そういう階層の人だからこそ、一銭のもうけにもならない学問に打ちこめたともいえる。

 明治初期の植物学教室は全部英語で講義をしていたが、当時は日本語に該当する概念がなかった。日本語の翻訳を待たなければならなかったので英語でやってしまった方が早い。夏目漱石が明治40年代に帝大生に行った講演では「今、君たちが日本語で勉強できることを幸せに思いなさい」と語っている。自分たちが入った時は日本語で勉強しようと思ってもできなかったから。日本語を使っても議論が成り立つように幕末から明治にかけて基盤をつくったということ。

 東山 当時の努力は本当に素晴らしいことだと思う。日本が科学技術立国をできたのは、日本語できちんと理解して議論ができるから。アジアで母国語を使って科学ができるという国は日本以外にはほとんどないのではないか。他は教育が高度になっていけばいくほど英語に切り替わっていく。それと、藩校時代の自由度、高い教育が天才を生み出すことにつながったと思う。

 門松 狙いをどこに据えるかだと思う。明治以降の近代教育システムは飛び抜けた天才は育てないが、皆平均的を狙った。初等教育の水準は高かったが、飛び抜けた人を育てる教育をしていない。今後は飛び抜けた人が出てこないと世界と太刀打ちできないから「ゆとり教育」で上を伸ばしていく教育をやったら、基礎の部分も固めないと飛び抜けた人も育たないことが分かってきた。

 東山 自分が学生の時に先生から「好きなことを自由にやってください」と言われ、自由にやらせてもらった ので先生の専門とはかなり違う研究になり、先生の研究にはそこまで貢献しなかった。今は私の研究室のみんなが「花粉管」の研究をするとかではない方が望ましいと思っている。そうした多様性も含め、広い意味での植物の性や生殖などが自分の研究になると思う。最初の方向性づけをやりつつ、後は学生とディスカッションしながら進めている。研究も教育も大学院以上になると切り離すのが難しい。授業は学部生に後期の半年間、週1回行っている。勉強のできる学生たちでツッコミも厳しく真剣勝負。授業の前の日は徹夜に近い状態になる。3年生相手に行う授業が一番教育らしい教育。なるべく授業を聴いて面白かったと思ってもらえる形にしないといけない。

 門松 公益大全体としてはアクティブラーニングとして学生主体で動いてくれるよう心掛けている。自分が担当している科目で、例えば日本史では「歴史は暗記」と思って嫌いな学生もいる。教科書に書いてある年表を覚えることが歴史ではない。今ある説明は当時の人が残した記録を元に後の時代の人がこうなったのではないかと推理しているだけ。新しい推理や考え方を出して変えてしまっていいもの。「覚える」のではなく「考える」。自由に考えてほしい。

東山哲也氏
東山哲也氏

門松秀樹氏
門松秀樹氏


2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より

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歴史と伝統の歌声響く 鶴北高音楽部ファイナル定演 懐かしの映像 130人大合唱

 鶴岡市の鶴岡北高音楽部の定期演奏会が15日、荘銀タクト鶴岡(市文化会館)で開かれた。来春、鶴岡南高と統合し中高一貫校「致道館中学・高校」となるため、ファイナルコンサートと銘打った。現役部員のコーラスだけでなく、過去のコンクールや定期演奏会の様子を映像で紹介するなど、音楽部の歴史と伝統を振り返った。

 同校音楽部は1949(昭和24)年創部。全国的にも高いレベルを有し、2016年のNHK全国学校音楽コンクールや17年の全日本合唱コンクール高校B部門では金賞を獲得した。定期演奏会は毎年夏に開いており、現在の部員は男子1人を含む15人。

 この日のファイナルコンサートは3部構成で、第1ステージは現役部員たちがNHK連続テレビ小説「らんまん」の主題歌「愛の花」や島崎藤村の詩に曲を付けた「知るや君」などを熱唱。同校男子の有志も参加して混声合唱も披露した。

 第2ステージは過去のコンクールやコンテストで受賞した感動のシーンや、定期演奏会で繰り広げられた楽しいミュージカル上演の様子などを映像で紹介。懐かしい映像の数々に観客席からは楽しげな笑い声が上がっていた。

 第3ステージは鶴岡北高OGを中心とした女声アンサンブル「ろすまりん」が歌声を響かせ、現役部員たちとの合同演奏も行われた。最後は駆け付けた100人超のOGがステージに上がり、総勢約130人で「花は咲く」「My Way」などの大合唱を繰り広げた。

総勢約130人での大合唱が行われ、ファイナルコンサートを締めくくった
総勢約130人での大合唱が行われ、ファイナルコンサートを締めくくった


2023年(令和5年) 8月17日(木)付紙面より

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灯籠の淡い光 内川照らす 鶴岡 夏夜楽しむ「鶴ケ岡盆踊り」

 鶴岡市の市街地を流れる内川で15日夜、お盆行事の灯籠流しが行われ、故人の名前を記した灯籠が川面をゆっくりと下った。

 内川の灯籠流しは昭和初期から100年ほどの歴史があるという。現在は川端商店会などで組織する鶴岡内川灯籠流し実行委員会(委員長・荘司淑子村上屋旅館代表)が実施している。今年は100件を超える申し込みがあった。鶴園橋のたもとで開かれた供養式で、3つの寺院の住職が「三界萬霊」供養の読経を行い、一人一人の名前を読み上げた後、供養したい人の名前や戒名が書かれた灯籠を参加者とスタッフが次々と川面に流した。

 鶴園橋下流の三雪橋や川の両岸には大勢の市民が集まり、水面をほのかに照らしながらゆっくりと流れる灯籠の淡い光を見つめていた。娘さんの新盆供養で参加した同市本町二丁目の小松孝久さん(72)は「俺より早く、娘は48歳で逝ってしまった。残念無念。灯籠に『安らかに』の願いを込めて見送りたい」と話していた。

 一方、この夜は近くのみゆき通りを会場に「第1回鶴ケ岡盆踊り」も行われ、浴衣姿の親子などが踊りの輪に加わり、夏の夜の行事を楽しんだ。

 NPO法人公益のふるさと創り鶴岡などによる実行委員会(尾川勝則委員長)が、灯籠流しに合わせて企画。車両を通行止めにした荘内銀行本店前の路上にやぐらを設け、同市の劇団夢一座や山形大花笠サークルのメンバーらが花笠音頭や庄内ハイヤ節、佐渡おけさなどの踊りを披露。多くの市民が飛び入り参加で踊り、訪れた大勢の市民が笑顔で手拍子を送っていた。

送り盆のほのかな光が川面を照らした内川の灯籠流し
送り盆のほのかな光が川面を照らした内川の灯籠流し

家族連れが参加し「鶴ケ岡盆踊り」を楽しんだ
家族連れが参加し「鶴ケ岡盆踊り」を楽しんだ



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