2023年(令和5年) 8月25日(金)付紙面より
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全国の高校生が生命科学分野の研究成果を競う「第13回高校生バイオサミットin鶴岡」の表彰式が23日、鶴岡市先端研究産業支援センターで行われ、鶴岡北高3年の工藤真由美さん(17)が上位9つの賞の一つ国立研究開発法人科学技術振興機構理事長賞を受賞した。
慶應義塾大先端生命科学研究所と県、鶴岡市が実行委員会をつくり、2011年から毎年、夏休みに開催している。今回は書類審査を経て、24都道府県とカナダから応募された95点(62校175人)が1回戦に進み、今月4日のオンラインによるライブプレゼンテーションを経て、成果発表部門20点、計画発表部門13点の決勝が21、22日に行われた。
表彰式では審査委員長の荒川和晴慶應先端研所長が文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、環境の各大臣賞や優秀賞など各受賞者を発表し、計38個人・グループを表彰した。
科学技術振興機構理事長賞を受賞した工藤さんの研究テーマは「ホコリダニ科の性誤認とその識別能の研究」。ダニの雄が、誤って雄を雌と認識する現象に着目して原因を探る内容で、審査員講評では「さまざまな角度から実験検証を行い、フェロモン処理により人為的に性誤認を起こすことに成功した。今後の研究の進展が発生学や生態学、農業分野の科学技術の発展に大きく寄与する可能性がある」と高く評価された。
庄内地域から決勝に進んだ発表では、優秀賞に酒田東高2年の菅原光貴さん(17)の「微生物の力でポリ乳酸から電気を作る」、審査員特別賞に同校1年の後藤心さん(16)の「ファブリー病に関する新規治療法確立の検討」が選ばれた。このほか1回戦のプレゼンテーションを含めた賞として、鶴岡市内の高校生を対象にした鶴岡市長賞を鶴岡南高3年の渡辺杏さん、審査員特別賞を羽黒高3年の五十嵐龍翔さんが受賞した。
閉会のあいさつで荒川所長は「21世紀はバイオの時代。楽しくワクワクする研究を続け、やるべき研究に取り組み、人類の未来のための先導者になってほしい」と鶴岡に集った“若き研究者たち”へエールを送った。
2023年(令和5年) 8月25日(金)付紙面より
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鶴岡市消防本部の水難救助隊員3人が「第51回全国消防救助技術大会・水上の部」(25日、北海道札幌市・札幌平岸プール)に東北地区代表として2種目に出場する。23日に鶴岡市民プールで最終の練習を行った3人は「県、東北の代表として全力を尽くしたい」と闘志を高めている。
全国大会に出場するのはいずれも水難救助隊員で、温海分署所属の土肥隆輔さん(32)、中央分署所属の宮守智也さん(27)、西分署所属の齋藤創士さん(27)の3人。土肥さんが「基本泳法」、宮守さんと齋藤さんが「溺者搬送」にそれぞれ出場する。
同大会は、日頃鍛え抜いた救助技術を披露するとともに、複雑多様化する災害現場に対応できる救助技術と体力、精神力を養おうと毎年開催されている。陸上と水上の2部に分かれており、陸上の部の東北地区支部消防救助技術指導会が先月26日に鶴岡市消防本部で開催されている。
水上の部の東北指導会は先月19日、宮城県仙台市で行われ、本県で唯一水難救助隊がある鶴岡市消防本部は4種目にエントリー。このうち東北各地の消防隊員10人で争った基本泳法は、クロールと平泳ぎで計50メートル泳ぐ競技。要救助者から目を離さないよう常に水面から顔を上げた状態で泳ぐヘッドアップ方式で、土肥さんは減点無しの33秒2で優勝した。一方、溺者搬送は2人一組のチーム戦。20メートル先の要救助者役を救助者役の選手が確保し、髪の毛をつかんで泳ぐヘアキャリー方式で行われる。出場した宮守さんと齋藤さんは33秒2の好タイムで4チーム中2位となり、全国大会出場を決めた。
東北指導会の後、3人は週1回のペースで鶴岡市民プールを会場に練習を重ねてきた。全国大会を目前に控えた23日は、選手とサポートメンバー合わせて6人で入場からコール、競技開始まで本番と同じ状況での通し練習などが行われた。
チームリーダーの土肥さんは「県と東北の代表としての誇りを持ち、上位入賞を目指す」と士気を高めている。東北指導会と違って全国大会は50メートルプールで行われるため、非番の日は酒田市のプールに通い長水路に慣れるよう調整したという。23日の練習では32秒を切る自己ベストを出すなど調子が上がっている。
また、宮守さんは「正確かつスピードのある救助を心掛けたい」、齋藤さんは「鶴岡市消防本部の水難救助の技術を広くアピールするチャンス。現場で使う技術を意識して競技に臨む」とそれぞれ抱負を述べた。