2023年(令和5年) 11月7日(火)付紙面より
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慶應義塾大先端生命科学研究所バイオラボ棟などが立地する鶴岡市の鶴岡サイエンスパークを、より身近に感じてもらう初のイベント「鶴岡サイエンスパークまつり」が4日、同パーク内の最先端バイオテクノロジー研究エリアの全施設開放で行われた。多彩な体験ブースを設けて小中学生にも分かりやすく入居団体の研究分野を紹介し、家族連れを中心に約2300人の来場でにぎわい、子どもたちが楽しみながら“最先端のサイエンス”に触れた。来年以降も継続開催し、サイエンスパークの存在を広く県内外にもアピールしていく。
サイエンスパークの先端研をはじめとする多様な研究機関、先端研発の各種ベンチャー企業の活動内容を市民から知ってもらい、併せて人的交流を基に地元企業との連携を強化しようと、一般社団法人鶴岡サイエンスパークと鶴岡商工会議所、同会議所青年部、先端研、入居団体、鶴岡市が実行委員会をつくり、初めて開催。先端研の前所長で同社団法人代表理事の冨田勝実行委員長が「サイエンスは究極の遊びであり、サイエンスパークは究極の遊び場。子どもも大人も一日、サイエンスの面白さを存分に楽しんで」と開会宣言し、イベントが幕開けした。
パーク内の各施設には、割れにくいシャボン玉を作ったり、過酷な環境下でも生き延びる微小生物「クマムシ」を顕微鏡で観察したり、海藻を食べると光合成ができるようになるウミウシを観察したりする体験コーナーや、納豆菌粉を使ったパンの試食など計41のブースが設けられた。
先端研と地元企業との共同研究で生まれた食品の販売、先端研の荒川和晴所長とバイオベンチャー・スパイバーの関山和秀代表執行役によるトークもあり、キッチンカー15台が集まった。
シャボン玉作りを体験した朝暘一小4年の北山凛花さん(9)は「いろんな材料で作るのが楽しかった。きれいなシャボン玉ができてうれしかった。たくさん体験したい」と話していた。
冨田実行委員長は「試行錯誤しながら毎年続けて開催し、将来的にはこのサイエンスパークを目指して全国から人が訪れる、そうしたまつりにしていきたい」と話した。
2023年(令和5年) 11月7日(火)付紙面より
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鶴岡市黒川地区に伝わる黒川能(国指定重要無形民俗文化財)上座の座長と能太夫を長く務めた齋藤賢一さん(76)=椿出=の引退に伴う「肖像画掲額祝賀会」が5日、同地区の黒川能の里・王祇会館で開かれた。お披露目された齋藤さんの肖像画は後日、同地区の春日神社の拝殿に掲げられる。
齋藤さんは5歳の時に行われた王祇祭(2月)で大地踏みの演者を務めて以来、70年余りにわたり黒川能に関わった。2003年5月に上座能太夫を襲名し、座長として座の運営や役者の指導に尽力。この間、長く演じられていなかった「住吉詣」や「通盛」などの演目を掘り起こし、後世に残す努力も重ねた。18年の春日神社式年祭で能役者最後の舞台を務め、今年3月末をもって座長と太夫を引退した。
祝賀会には上下両座の関係者や黒川能保存会代表理事の皆川治鶴岡市長など約100人が出席。剱持博行実行委員長が「齋藤さんの長きにわたる功績をたたえる会に大勢の方から出席していただき感謝申し上げる。時間の許す限り楽しい時間を過ごしてほしい」とあいさつした。
続いて神社に掲げる肖像画が披露され、齋藤さんへ孫たちから花束が贈呈された。皆川市長など来賓あいさつの後、祝言能が行われ、下座が仕舞(能の一場面を面や装束を着けず、紋服や袴のままで舞う略式上演)「高砂」、上座が狂言「末広」と能「猩々」を上演した。
上演後、齋藤さんが「下座の上野由部座長をはじめ多くの方に協力いただき、座長を務めることができた。中でもずっと支え続けてくれた妻のみちに『ありがとう』の言葉を伝えたい。伝統文化と祭りを残すため、上座を受け継ぐ人たちは道をたがえず将来につないでもらいたい」と謝辞を述べた。その後、上野座長の音頭で乾杯し、齋藤さんの功績をたたえながら思い出話に花を咲かせた。
齋藤さんの後継は当面の間、渡部千春さん(61)=上の山=が太夫代行、遠藤啓一さん(67)=橋本=が座長代行をそれぞれ務める。
2023年(令和5年) 11月7日(火)付紙面より
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庄内藩校致道館の教育精神や伝統文化を継承している鶴岡市の致道館文化振興会議(会長・橋本政之荘内日報社社長)主催「第26回論語書道展」の表彰式が5日、同市中央公民館で行われ、入賞した児童生徒に賞状と記念品が贈られた。
今回は同市内の小学校21校の小学4―6年生から480点、中学校10校の1―3年生から111点の計591点の出品があり、鶴岡書道会(山本良伸会長)の協力で学年ごとに審査。全体で特別賞11点、金賞52点、銀賞81点、銅賞98点の入賞作品を決めた。
市民ホールで行われた表彰式には、入賞者のうち約70人と保護者ら合わせて約150人が出席。同振興会議の橋本会長から特別賞全員と各賞の学年代表などに賞状が手渡された。
橋本会長は「今回も特別賞の作品は藩校致道館内に展示を計画している。藩校の『致道館』を冠した中高一貫校の県立致道館中学・致道館高校が来春開校し、藩校の教育精神の啓発に向け、皆さんのさらなる支援で振興会議の活動充実を図っていきたい」とあいさつ。来賓の布川敦市教育長は「一字一字に心を込めた素晴らしい作品ばかりで、とても感心した」、酒井忠順致道博物館長は「致道館の名は、論語の『学んでもってその道を致す』から来ている。皆さんもいろんなことに挑戦して好きな道を選び、進んでほしい」と祝辞を述べた。鶴岡書道会の山本会長は講評を兼ねて、小学生の楷書では文字の間隔が均等になるように書き、中学生の草書は筆の流れと勢いを大切に頭の中の紙に一度しっかりとイメージを描いた上で実際に紙に書くなど上達のポイントを解説した。
2023年(令和5年) 11月7日(火)付紙面より
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鶴岡市出身の絵本作家・つちだよしはる(土田義晴)さんを招いたワークショップが4日、鶴岡市立図書館で行われた。市内の親子が参加し、つちださんと一緒に絵描きを楽しんだ。
つちださんは1957年生まれ。日本大学芸術学部卒。心温かさが伝わる作風が人気で絵本のほか挿絵作家として活躍している。
ワークショップは、子どもたちの豊かな創作力を育もうと市立図書館がつちださんを講師に招いた。この日は午前と午後の部に合わせて約30人の親子が参加。つちださんから基本的な描き方を教わりながら、陶芸に使う専用の絵の具で小皿にウサギやクマ、リスなど思い思いの絵を描いた。
それぞれの親子につちださんが回ってアドバイス。お手本を示すと子どもたちは「すごーい」と筆の使い方をじっと見つめていた。
市立図書館では先月24日から今月5日まで、つちだよしはるさんの「絵本原画展」(28作品)が開かれ子どもたちを楽しませた。