2024年(令和6年) 2月22日(木)付紙面より
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東北大公共政策大学院(仙台市)修士1年の学生が本年度、鶴岡市の朝日、温海地域で実施したフィールドワーク調査を基に、抽出した課題を解決し地域活性化を図る施策をまとめ19日、鶴岡市に提言として報告した。
同大学院の講義科目の一つ「公共政策ワークショップ」の一環で、初めて本県の自治体を対象に選んだ。「平成の大合併」で6市町村が広域合併し、東北で1番、全国で10番目の市域を持つ鶴岡市に着目。学生たちは「広域合併自治体の行政体制と旧町村の地域振興に関する研究」をテーマに、昨年1年かけて朝日、温海の両地域や県、先進事例などヒアリングを実施した。さらに文献調査や現地調査などを加えて収集した情報を分析・検討し、地域振興を中心とした報告書を今年1月中にまとめた。
報告会は鶴岡市役所で行われ、学生と担当教員11人、皆川治市長と幹部職員などが出席した。
学生たちは朝日地域について「地域の若者を中心に、全ての人が地域づくりに参加する朝日『夢』づくり未来事業で地域の持続的発展を講じては」と提言。事業の例として「行沢のとちもち工場の見学や作成体験などを実施し、“朝日のもの”を食べて文化を大事にする。また、イノシシを食材に活用しジビエによる地域振興と鳥獣害減少による農業振興を図る。朝日地域の良さをまとめ、朝日地域共創プロジェクトホームページと連携した情報発信をする」などを挙げた。
一方、温海地域については「自治会と若者、地域住民のニーズを中心とした意見交換プラットフォーム『みらい語り会(仮)』を形成し、多様な地域課題の解決を図る。農業振興としては『温海ガストロノミーらぼ(仮)』を新設し、地域の農作物の利活用と販売の多機能型拠点施設とする。また、廃校を有効活用して交流の場の提供や、企業誘致などの事業展開による雇用創出、経済効果を狙う」と提言した。
提言を受けて皆川市長は「大変勉強になった。朝日、温海の両地域とも観光や移住関連で新しい戦略を練っている。今後とも鶴岡市を訪れ、外からの目で地域活性化に貢献してほしい」と謝辞を述べた。
同大学院の菅原大翔さんは「参考にしようと思った国の提言は、全国のさまざまな地域に対応できるよう抽象的な部分が多く、地域を歩いて住民の思いを反映した提言との落差を埋めることに苦労した。報告会で多くの称賛を頂き、やってきて良かったと感じた」と話していた。
2024年(令和6年) 2月22日(木)付紙面より
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今年4月に修学旅行で沖縄県を訪れる鶴岡市の羽黒中学校(高山久校長、生徒190人)の2年生が20日、昨春から学んできた沖縄の歴史や平和を題材にした創作劇を発表した。太平洋戦争末期に日本で唯一地上戦が行われた沖縄で、ガマ(自然洞窟)で集団自決する人たちや、若い命を散らした学徒隊の姿を演技と朗読で表現し、平和を望む強い気持ちを示した。
同校の2年生は昨年5月から総合学習の一環として沖縄の歴史や文化を調べ、レポートにまとめて発表するなど理解を深めてきた。3年生になってすぐに修学旅行で沖縄へ向かう前に、学びの集大成として2年生62人全員が得意とする合唱や朗読を用いて創作劇を発表することになり、練習に取り組んできた。
発表会は保護者や高山校長などが見学。初めに修学旅行実行委員長の丸山紗和さん(14)が「沖縄学習の集大成を何とか形にして残したいという思いで、朗読劇と合唱を企画した。目を背けてはいけない沖縄戦の歴史と、平和な世界を私たち一人一人がつくっていくという思いを込めた」と趣旨を説明した。
住民を巻き込んだ沖縄の地上戦で軍司令部が下した無謀無策な決断や、圧倒的武力で攻めてくる米軍を前にガマの中で集団自決する家族の様子、米軍の包囲網の中で突然解散命令を出され、なすすべもなく若い命を散らしたひめゆり学徒隊の慟哭(どうこく)など、3つの場面を中心に劇が展開された。
また、2年生全員が代わる代わる場面状況や住民たちの怒り、悲しみを読み上げ、劇の最後に「命の大切さと平和を目指す熱い思いを持ち続け、二度と戦争の起こらない世界を私たちがつくっていく」と述べ、2000年の九州・沖縄サミットで紹介された「HEIWAの鐘」を合唱した。
保護者たちは生徒たちの堂々とした演技や朗読に大きな拍手を送っていた。