2024年(令和6年) 3月19日(火)付紙面より
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鶴岡市の武家や商家などで受け継がれてきた古典びなや道具類を展示紹介する「鶴岡雛(ひな)物語」の開催30回を記念する講演会が16日、同市の荘内神社参集殿で行われた。日本人形鑑定士による講演会や、おひなさまをはじめとする古い人形の鑑定会などもあり、市民たちが“知られざるおひなさまの秘密”について学んだ。
鶴岡雛まつり実行委員会主催。鶴岡市を中心に河北町など内陸からの参加者合わせて約90人が出席した。
講師は日本人形文化研究所の所長で日本人形研究家の林直輝さんが務めた。林さんはテレビの人気番組「開運!なんでも鑑定団」にも出演している。
林さんは「お雛様の秘密~基礎知識と楽しみ方~」と題し講演。「ひな祭りは陰暦3月の『上の巳の日』、すなわち上巳(じょうし)の節句が起源で、のちに3月3日に固定された。節句とは節供。『節目に供する』の言葉通り、一年の節目となる大切な日に神様へお供えをする日」とひな祭りの歴史について解説した。
また、ひな飾りの変遷について「自分の厄を託して身代わりにお焚き上げする、または川に流す紙製の『ヒトガタ』がひな人形の起源とされる」と述べ、寛永、元禄、享保の各ひな人形の特徴などを紹介。「江戸初期~中期に江戸で流行した古今びなは京都の親王びなと類似点が多い。どちらが先か定かではないが、流行の先端を行く京都で作られた親王びなに江戸風のアレンジを加えたのが古今びなという可能性もある」と説明した。
ひな人形の飾り方については「自分もよく聞かれることだが、お内裏様を向かって右に置くのか、左に置くのかどちらが正解かと言われると、どちらも正解。向かって右が上手、左が下手と言われるように、古来から日本は向かって右側の位置が尊ばれてきた。お内裏様が右側に座るのは古式で、左側に座るのは西洋文化が入ってきた後の現代式」と話した。
講演の後は人形鑑定会が開かれ、鶴岡市民を中心に持ち込んだひな人形やいづめこ人形、市松人形、浮世絵など13件約60点を林さんが鑑定。作られた時代や金額的な価値などを鑑定希望者に伝えた。