2024年(令和6年) 3月23日(土)付紙面より
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鶴岡市は21日、5月25日(土)に同市街地で開催される鶴岡天神祭で、防衛省の協力により航空自衛隊アクロバット飛行専門チーム「ブルーインパルス」の展示飛行が行われると発表した。
今年の天神祭は週末開催で、県全体のJR東日本の重点販売地域指定(4―6月)や羽越本線開通100周年なども記念し、天神祭実行委員会が祭りの目玉企画として自衛隊山形地方協力本部に依頼した。
ブルーインパルスは当日、鶴岡市内の上空を飛行する。飛行時間帯は調整中で4月中旬ごろに決定する予定。
庄内地方でのブルーインパルスの展示飛行は2021年10月23日が初。庄内空港開港30周年の記念と、コロナ禍に対応する医療従事者に感謝の気持ちを表そうと行われた。
当時は航空自衛隊松島基地を6機編成で出発し、遊佐町の鳥海山をかすめて酒田市の日本海総合病院、庄内町の余目病院、三川町の三川病院、鶴岡市の荘内病院の各上空を飛行。スモークを出して円を描く「デルタ360」などアクロバット飛行を披露し、大勢の地元住民が空を見上げて歓声を上げた。
2024年(令和6年) 3月23日(土)付紙面より
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「飛島では年貢をスルメイカで納めていた」―。藩政時代、年貢は米で納めるのが普通だったが、飛島では米が収穫できない。そこで「イカの方から島に寄って来る」と言われた、飛島ならではの事情による年貢納付である。鶴岡市の致道博物館で「庄内藩と飛島」展が開催中だ。庄内に住んでいても、飛島の「姿」をよく知らない人も少なくない。この機会に足を運んでみてはどうだろうか。
飛島は周囲約11キロの、テーブルのような平らな島だ。島では波で削られた段々状の海岸段丘、火山活動でできた材木岩などの奇岩が見られる。日本の婦人消防組織発祥の島であり、北前船往来による古文書なども数多い。島全体が歴史と文化の“塊”とも言える。
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飛島は酒田港から約39キロ。江戸時代は秋田県の豪族に支配され「羽後飛島」と呼ばれたこともあった。致道博物館と山形大学による島内2カ所の遺跡調査で縄文時代早期の遺跡が発見された。約6000年前には人が住んでいた。島の中央部の洞窟「テキ穴」から、約1000年前と推定される22体の人骨と土器類、貝殻片などが発見された。「讃岐」「丹後」という山陰地方とのつながりを感じさせる姓もあり、平家の落人説も語られている。
漁業で生きる飛島では、勝浦・中村・法木の3集落の漁場争いが絶えず、庄内藩の裁定を仰いだ。年貢のイカ10万枚は3集落の規模に応じて負担。庄内藩が島役人を派遣して徴収、派遣された佐藤梅宇は島の習俗・祭事などを鮮やかな色彩で描き、イカによる年貢は「飛島図画」という文化財も残した。北前船がシケを避ける避難港の役割も担った。船頭や乗組員が泊まる宿も十数軒あり、御客控帳、船手形など船の寄港地だった証しが残る。
1859(安政6)年9月、イギリス船が函館領事館員を乗せて勝浦港に入港した。3本マストの帆船で乗組員が甲板やマスト上で作業している様子の絵、戊辰戦争時に飛島沖で沈没した幕府軍艦「長崎丸二番」の積み荷のイギリス製の大皿、船宿が所有していた伊万里の大皿なども展示されている。
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飛島は「とど島」と呼ばれた時代があった。海獣のトドが多く島に住みついていたとのことからで、酒田市指定文化財「永田文書」には「とゞ嶋よりいか十一駄分」(一駄2000枚)と、年貢関連の記述にも「トド」とある。庄内藩が幕府にスルメ一箱献上した際の「鯣(するめ)進上」の目録もあり、飛島のスルメは幕府にも知られていた。
開催中の企画展は、島の習俗、文化、古文書の民俗資料など、江戸時代の歴史に焦点を当てている。会期は4月23日までで、同13日には学芸員による展示品を見ながらのギャラリー講座がある。飛島の歴史、習俗を知ることができる好機である。
2024年(令和6年) 3月23日(土)付紙面より
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きらやか産業振興基金(理事長・川越浩司きらやか銀行頭取)の本年度の「きらやか産業賞」と「ベンチャービジネス奨励賞」の贈呈式が18日、山形市内で行われた。庄内関係は、きらやか産業賞に鶴岡市に工場を置く丸善食品工業(東京、竹本博則社長)が、ベンチャービジネス奨励賞に湯野浜100年(五十嵐浩社長)がそれぞれ選ばれた。
きらやか産業賞は、技術・経営革新や教育訓練、国際化の面で優れた実績を上げている県内の中小企業や個人を表彰する。今回で35回目。ベンチャービジネス奨励賞は新技術や新製品の研究開発などを行う将来性のある中小企業や個人を表彰する。今回で28回目。本年度は各賞2団体が受賞した。
丸善食品工業は、1962年創業。ガラスープやシーズニングオイル、調味エキスなど業務用調味料を中心に扱う。82年に養豚業が盛んな庄内地方に着目し、鶴岡に工場を移転。地元で廃棄される豚骨を受け入れ調味料の原料として再利用するなど地域経済の振興や発展にも貢献している。
湯野浜100年は、湯野浜温泉の活性化などを目的に2018年に設立。地元の食材を使用したレストラン「ゆのはま100年キッチン」の運営や、未利用の温泉熱を活用した温泉街全体の省エネ事業などを行っている。
贈呈式では、川越頭取が受賞企業の代表者に表彰盾や助成金を手渡した。竹本社長は「循環式の事業を長年やっている。さらに企業を磨いて地域に貢献したい」と話し、五十嵐社長は「多様性に対応した湯野浜温泉を目指して努力していきたい」と語った。