2024年(令和6年) 4月20日(土)付紙面より
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鶴岡市下川の龍澤山善寳寺で12年に1度の「辰歳(たつどし)御縁年記念企画」が始まった。本堂で祈祷を受けた後、奥の院・龍王殿を拝観し「龍神様」とご縁を結ぶ。このほか国の重要文化財に指定されている絵画「王昭君図(おうしょうくんず)」の展示や特別御朱印の頒布も行っている。善寳寺の広報室主任を務める篠崎英治さんに寺院内を案内してもらった。
善寳寺の起源は約1100年前に遡る。「法華験記(ほっけけんき)」によると妙達(みょうたつ)上人が比叡山、金峰山、羽黒山で修行した後、貝喰(かいばみ)の池に草庵を結んで龍華寺(りゅうげじ)とした。ある日、妙達上人が貝喰の池のほとりで法華経を唱えていた際、老人男性と若くて美しい娘が現れた。老人は、かつて釈迦の教えを受けた八大龍王第三の龍「沙か羅(しゃから)」と名乗り、三女と共に法華経の功徳を受けに来たという。妙達上人が2人の願いを受け入れ再び法華経を唱えると2人は龍の姿に変え、貝喰の池の奥底へと姿を消した。その後、池の龍神様が多くの人々の願いをかなえてくれると伝えられる。
国内有数の龍神信仰の善寳寺には北海道、東北、北陸をはじめ航海の安全と大漁を願う漁業関係者から寄進された絵画などが数多く所蔵されている。その中でも代表的なのが菱田春草(ひしだしゅんそう)(1874―1911)作の「王昭君図」。1904(明治37)年に函館で漁業会社を営む小林栄次郎氏が寄進したもので、美女の悲しい話を絵画化した春草の不朽の名作として知られる。国の重文で現物は東京国立近代美術館に寄託されている。今回の展示はレプリカだが、名作と言われる輝きを放っている。
本堂手前の一室には鉄製で精巧に作られた「八大龍王」を展示。その奥には「龍頭観音」の油彩画が飾られ、ひときわ目を引く。歴代住職の書も紹介されている。
石にヘビが浮かび上がったような不思議な模様の「蛇紋石(じゃもんせき)」(8体)は寺院内に配置され8つの印を集めるスタンプラリーで拝観を楽しめるようにした。探し当てた一つずつの「蛇紋石」を手でなでて、ご加護をいただく。
本堂で行われる特別拝観の祈祷は正午から。祈祷を受けた後、奥の院・龍王殿を拝観する。531体の羅漢像の修復(現在は144体の修復終了)が進められている「五百羅漢堂」も特別に一般公開している。
寺院内の各所を丁寧に案内してくれた篠崎さんは「12年に1度の辰歳御縁年を機会に龍神様とご縁を結ぶ特別拝観を企画した。当寺と龍神様を身近に感じていただければありがたい」と話した。
特別拝観は春(4月15日~5月15日)と秋(10月20日から11月20日)の2回。特別御朱印の頒布日は4月が22日、5月は4日、16日、28日で、時間はそれぞれ午前9時から午後3時半まで。特別拝観と各月の特別御朱印の頒布日などに関する問い合わせは善寳寺=電0235(33)3303=へ。