2016年(平成28年) 10月4日(火)付紙面より
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庄内空港が1991年10月の開港から丸25年を迎え2日、25周年記念セレモニーが同空港緩衝緑地公園で行われ、先人の苦労をしのぶとともに、庄内地方の発展に向けさらなる利用振興を図る決意を新たにした。駐機場などでは「空の日フェスタ」が同時開催され、小型機の展示や飛行機の模擬誘導体験などに大勢の家族連れでにぎわった。
庄内空港は「陸の孤島」脱却に向け70年、庄内各市町村などでつくる庄内開発協議会が建設を打ち出した。81年1月には経済団体も交え庄内空港建設促進期成同盟会を設立。会長に就任した前田巌酒田商工会議所会頭(当時)は実現に奔走し「ミスター庄内空港」と呼ばれた。同盟会は庄内全戸に署名と「100円募金」を呼び掛け、署名は約22万6000人分、募金は約5億6000万円を集めた。
そうした機運醸成が実って86年11月、同空港は国の第5次空港整備五箇年計画に組み入れられ、88年6月に着工。91年10月1日に開港し、東京、大阪各1便が就航した。その後、大阪便は廃止されたが、東京便は順調に利用を伸ばし、2003年7月から4便で定着。開港以来の定期便累計搭乗者は今年1月、900万人に達した。庄内空港利用振興協議会(会長・丸山至酒田市長)は、東京便の5便化や運賃割引制度の拡充、大阪便の復活、滑走路延長、LCC(格安航空機)就航などを働き掛けている。
この日の記念セレモニーは県と庄内空港利用振興協議会の主催で、県や庄内の5市町、商工団体の関係者らが出席。鶴岡市の渡前小児童11人による獅子踊りに続き、細谷知行副知事(知事代理)が「庄内の空の玄関口としてさらに利便性の向上と機能の充実に努めていく」、庄内空港利用振興協議会の丸山会長は「開港時の地域の活力をいま一度呼び起こして課題を克服し、にぎやかな庄内をつくっていきたい」とあいさつ。来賓祝辞で加藤鮎子衆院議員は「航空運賃が高い。もっと身近に利用できる環境づくりを」、庄内開発協議会の新田嘉一最高顧問は「前田氏が心血を注いだこと、住民が100円募金で5億円余を集めたことを忘れてはいけない」と訴えた。関係者がくす玉を割り、25周年を祝った。
一方、空の日フェスタは「空の日」(9月20日)に合わせて毎年、県や庄内空港ビル、全日本空輸などが実行委員会をつくり開いており、普段は入れない駐機場の一部が開放された。
催しの一つ「マーシャリング体験」は、大きなしゃもじのようなパドルを振り、スライドに映し出される飛行機の誘導を模擬体験するもの。
そのほか、小型機やパラグライダーのデモ飛行、ラジコンヘリの曲芸飛行、パイロットの服装での写真撮影など、多彩な催しが行われた。好天に恵まれたこともあり、大勢の家族連れでにぎわった。