2016年(平成28年) 10月30日(日)付紙面より
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酒田市の酒田税務署(野口稔署長)で28日、東北公益文科大学(同市、吉村昇学長)の学生を対象にした摸擬体験学習が行われ、野口署長ら職員の指導で、学生たちが架空の納税者情報を基に確定申告書を作成するなど税務事務の一端に触れた。
学生たちから税務行政への理解を深めてもらうとともに、より実務に近い体験をすることで国税調査官といった公務員をキャリアの一つとして考えてもらおうと、信州大経法学部の山沖義和教授らが考案し実践している「摸擬体験を通じた実践的学習」として、公益大が仙台国税局と酒田税務署の協力で企画した。
この日は斉藤徹史准教授(法学)のゼミで学ぶ3年生8人が同署を訪問。最初に野口署長が申告納税制度と賦課課税制度の違い、給与所得者の年末調整制度、還付申告などについて講話。「アルバイトをしている学生もいると聞いた。給与収入金額が130万円以下の勤労学生は税金がかからない。源泉徴収税額がある場合、還付申告をすることで納めた税金が返ってくる」などと述べた。
その後、酒田工務店(常勤従業員3人)を経営する酒田太郎さん(56)=同市光ケ丘二丁目、3人暮らし=という全て架空の納税者情報を基に、学生たちは確定申告書の作成を体験。7160万円という収入金額から必要経費を差し引くなどして事業所得金額を導き出した後、申告書にまとめていった。
学生たちはこの他、申告内容を帳簿などで確認して誤りがあった場合は是正を求める税務調査を学んだり、若手職員との質疑応答などで税務行政に理解を深めた。