2016年(平成28年) 12月6日(火)付紙面より
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酒田吹奏楽団(富樫久作団長)の定期演奏会「ブラスのひびき2016」が4日、酒田市の希望ホールで開かれた。特別企画として、1976年10月の酒田市大火(酒田大火)から40年という節目に市民約100人が同市出身のシャンソン歌手・岸洋子さんの「希望」などを歌い、大火の記憶を風化させず後世に引き継ぐ決意を新たにした。
同吹奏楽団は1971年の設立で、団員は約60人。今年は酒田大火40年にちなみ、春から公募市民による「岸洋子を歌う会」を立ち上げ練習を重ねてきた。
第1部と第2部の間に行われた特別企画では、同楽団顧問で元酒田地区広域行政組合消防本部職員の桜田常夫さんが、酒田大火の映像を映しながら「風が強く、放水しても押し返され、火元に届かなかった」など当時の様子を語った。
そして、同大火後に岸洋子さんが病身を押して全国でチャリティーコンサートを開き、収益を復興のため市に寄付した経緯が紹介された。登壇した「歌う会」の老若男女約100人が、酒田吹奏楽団の伴奏で岸さんのヒット曲「希望」と「夜明けのうた」を、会場の市民と共に声高らかに歌い上げた。
これに先立ちあいさつに立った丸山至市長が「ナポレオンは『リーダーは希望を配る人』と言っていた。市民と一緒に、希望を持てるまちにしていこう」と、災害の記憶と復興に尽力した先人たちの思いを引き継いでいく決意を述べた。
同楽団はこれに前後し、不死鳥の伝説に大火からの復興を重ね合わせたストラビンスキーのバレエ組曲「火の鳥」より「王女たちのロンド」や、話題のアニメ映画「君の名は。」主題歌の「前前前世」などさまざまなジャンルの7プログラムを演奏、喝采を浴びた。