2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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第20回統一地方選で行われた県議選は9日、県内17選挙区(総定数43)のうち無投票となった東田川郡区(定数1)など9選挙区を除く鶴岡市区、酒田市・飽海郡区など8選挙区で投票が行われた。即日開票の結果、30人の当選が決まり、無投票当選の9選挙区13人を含む新県議43人の顔触れが確定した。人口減少や少子高齢化対策、ポストコロナにおける経済対策、人材の確保と育成などが争点となる中、舌戦が繰り広げられたが、有権者の関心は低く全体的な盛り上がりに欠けた。県平均の投票率は50・96%で、過去最低だった前回(2019年)の54・32%を3・36ポイント下回った。女性議員は6人が当選し前回の4人を上回った。
庄内地域3選挙区のうち定数5に対し2人超の激戦となった酒田市・飽海郡区は無所属前職の阿部ひとみ氏(62)がトップ当選したほか、無所属新人の江口暢子氏(62)が初当選。定数5に対し1人超となった鶴岡市区は、自民新人の佐藤正胤氏(60)がトップ当選、同じく自民新人の石塚慶氏(45)が2位の得票数となり、いずれも初当選した。
選挙戦となった8選挙区は30議席を41人で争い、現職16人、前職1人、元職1人、新人12人が当選した。庄内地域のうち鶴岡市区は自民が新人2人、共産が現職1人、無所属は現職2人が当選し、自民新人の菅原一浩氏(56)がわずかに届かなかった。酒田市・飽海郡区は自民が現職2人、立憲民主が現職1人、無所属は前職1人と新人1人が当選し、いずれも無所属新人の田中斉(66)、今井和彦(64)の両氏は及ばなかった。東田川郡区は自民現職の田澤伸一氏(73)が無投票当選した。
庄内地域の当日有権者数は、鶴岡市が10万2024人(男4万8590人、女5万3434人)で、投票率は52・29%と前回を1・49ポイント下回った。酒田市は8万3633人(男3万9811人、女4万3822人)、遊佐町は1万1189人(男5316人、女5873人)で、選挙区の投票率は50・54%と前回を1・30ポイント下回った。
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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人口減少問題へ取り組む 佐藤氏
鶴岡市新形町の佐藤正胤氏の事務所には開票前から支持者が集まりテレビの速報を見守った。午後10時すぎに「当確」が打たれると「よし」「勝った」と選対関係者らの拍手が湧いた。
鶴岡地区歯科医師会会長で後援会の毛呂光一会長(62)は「選挙は初めての経験だったが後半になって手応えを感じた。本当の意味でここからがスタート。(佐藤氏を)県政に送り出し、しっかり仕事をしてもらおう」と喜びを分かち合った。当選の花束を受けた佐藤氏は「初心を忘れず掲げた公約を成し遂げたい。特に顕著となっている地方の人口減少問題は若者の定住と県外に出たまま若い女性が少なくなっている実情にどう向き合って取り組んでいくかが大切」と語った。トップ当選については「正直、まさかという気持ち。私に投じてくれた一票一票の重さを胸に刻み、誠心誠意、地域の課題解決に努力する」と誓った。
地に足を着け県政に声を 石塚氏
鶴岡市末広町の石塚慶氏の事務所には約40人の支援者が集まり、テレビの速報を見守った。午後10時5分ごろに「当確」が報じられると「やったー」と割れんばかりの歓声と大きな拍手が湧き起こった。石塚氏は陣営幹部や支援者と固く握手、喜びを共にした。
初当選を祝う花束を受け取った石塚氏は「後援会の皆さんの力を受けて選挙戦の途中からどんどん仲間が増えていくのを実感した。これで負けるならしょうがないと思えるほどいい形で戦うことができた」と選挙戦を振り返った。初陣を飾った石塚氏は「国、県、市が一つになって取り組んでいかなければならない課題がたくさんある。地に足を着けて鶴岡市の未来をしっかりと見つめ、有権者皆さんの声を県政に届けたい」と抱負を語った。
広域・公益的視点で活性化 江口氏
酒田市幸町二丁目の江口暢子氏の事務所には女性を中心に多くの支持者が集まり、開票速報を見守った。午後11時ごろ「当確」が出ると、大きな拍手に包まれ、江口氏は支持者とグータッチなどで喜びを分かち合った。
万歳三唱、花束贈呈に続き、あいさつに立った江口氏は「初めての県議選挑戦で戸惑うこともあり、多くの皆さんから支えていただいた。重い役割を担うことになり、身が引き締まる思い。山形をより良い県にするために、まずは一歩を踏み出していきたい」と選挙戦を振り返り、抱負。
報道陣から勝因を問われ、「新人という立場に期待が込められた部分と、4期10年の市議活動を見ていた市民から信頼を得られた部分があると思う」と分析。その上で「『女性の目線』は、行政の多様性が広がるきっかけになると思っている。自然災害に対応したハザードマップの整備、支援が必要な人への個別避難計画の構築など防災に向けた取り組みに力を入れ、広域・公益的な視点で庄内地域を活性化していきたい」と力強く語った。
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
ツイートバレーボールVリーグ女子は8、9の両日、新潟県長岡市のアオーレ長岡でV・チャレンジマッチ(入れ替え戦)を行い、1部12位のヴィクトリーナ姫路と対戦した酒田市のプレステージ・インターナショナルアランマーレ(2部1位)は、初日がセットカウント3―2、2日目が3―0でいずれも勝利し、創部8年目にして悲願のV1昇格を決めた。初参戦となった「2015―16V・チャレンジリーグ2」(当時)は2勝14敗で最下位だったアランマーレ。これまで指揮を取ってきた北原勉監督は2日目の試合後、このエピソードに触れた上で「8年かかってここまで来ることができた。皆さんのおかげ。これからも『善(よ)くて強いチーム』を目指す」と喜びを爆発させた。
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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鶴岡市区、酒田市・飽海郡区の現・前職
鶴岡市区
今野美奈子氏
組織力のある新人3人が立候補したこともあり、とても厳しい選挙だった。そうした中で多くの女性の期待感を強く感じた。政治にもっと関心を持ってもらえるよう女性議員としてメッセージを発するとともに、地域課題の解決に向けて県政との連携に努める。
高橋 淳氏
コロナ禍や自然災害への対応をはじめ多様な地域要望に応えて活動してきた1期目4年間の実績が評価されたと考えている。選挙戦への態勢を早めに整え運動し、選挙戦では有権者の反応も良く、手応えを感じた。物価高騰、肥料高騰への支援に急ぎ対応したい。
関 徹氏
非常に厳しい選挙戦だったが、物価高騰などで生活に苦しむ多くの有権者の何とかしてほしいという痛切な願いと、支援いただいた皆さんの執念で議席を勝ち取ることができた。弱い立場にある人たちも幸せになれる県政の実現に向け一歩一歩頑張る。
酒田市 飽海郡区
阿部ひとみ氏
遊佐町内6地区にそれぞれ代表者を置くなど組織づくりが功を奏した。市議時代の所属会派・志友会の支援もあった。河川のしゅんせつ、遊佐パーキングエリアタウン(PAT)へのアクセス道の整備をはじめ地元の要望を聞き、優先順位を決め取り組んでいきたい。
石黒 覚氏
当選は多くの人の支援のおかげ。これまで自分が叫んできた政策をしっかり進めていく。立憲民主党県連代表として、もう一度党を立て直していかなければ。今は「平和」が脅かされている。次の世代のための大切な政策と平和を守るため全力を尽くしていきたい。
梶原 宗明氏
当選させていただいたからにはきちんとした仕事で示していく。農林水産の課題についてしっかりと取り組まなくてはならない。若者の地元定着や産業振興などにも力を尽くしていきたい。これまで公約として訴えてきたことを誠実に前に進めていきたい。
森田 廣氏
新人が多かったこともあって厳しい戦いだった。まずはほっとしたという思い。これまで24年間にわたって支援を頂いた皆さんに感謝。コロナ禍後の経済再生、災害対策、東北公益文科大の公立化、若者の定着など山積する課題を一つずつ解決していきたい。
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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酒田市のアランマーレ後援会「アラン∞エール」(工藤亜紀子会長)が主催し酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で行われたパブリックビューイング(PV)には8日は70人ほど、9日は約130人の市民が訪れ、試合の行方を見守った。初日は最終セットまでもつれ込む一進一退の白熱した攻防が続く中、遠く長岡に向けバルーンを打ち鳴らして選手たちを鼓舞。2日目は終始アランマーレペース。3セット目を得ると、「やったー」「V1だ」の声が施設内に響き渡った。
両日とも試合を見守った工藤会長は9日の試合後、「8年越しの夢がかなった。酒田からV1チームを輩出でき、応援し続けて本当に良かった。初めてPVを企画したが、多くの市民が集まった。これからも一丸となって応援していきたい」と笑顔を見せた。
遠く長岡に向けて酒田から応援し続けた酒田一中女子バレーボール部員の田村瑞姫さん(13)=2年=はアランマーレジュニアにも所属しており、「(アランマーレメンバーでジュニアチーム監督の柳沢)紫子さんの活躍を見ることができて良かった。これからの自分のプレーの参考したい」、同じく部員の新正夏帆さん(13)=同=も「小学生の時から会場で応援してきた。V1昇格はうれしい」とそれぞれ話した。
現地で2試合とも観戦した丸山至市長は「昇格決定の瞬間は興奮と感動で胸がいっぱいになった。全ての皆さんとこの喜びを分かち合いたい。市民に勇気と感動を与えてくれた。V1という最高の舞台で大いなる活躍を期待する」とコメントした。
会場では早速、アランマーレ後援会への入会手続きを進める市民の姿も。市は「V2優勝」「V1昇格」を記念した懸垂幕を用意、早ければ10日午後にも掲示。
◇バレーボールVリーグ女子V・チャレンジマッチ(8、9日、新潟・アオーレ長岡)
◇8日
25―22
アラン 25―20
マーレ3 18―25 2姫 路
16―25
16―14
◇9日
25―18
アラン3 25―23 0姫 路
25―17
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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9日に投開票が行われた県議選。庄内地域で選挙戦となった鶴岡市区(定数5)、酒田市・飽海郡区(定数5)は10議席をめぐり13人が争った結果、現職6人、前職1人、新人3人が当選した。両選挙区の戦いを振り返る。 (敬称略)
鶴岡市区 わずか33票差の攻防 非自民系3議席死守
現職3人に新人3人が挑み、2019年の前回選に続き1人超過の少数激戦となった鶴岡市区は、ともに自民新人の佐藤正胤、石塚慶が上位当選を果たした。現職組は新人候補の追い上げと地域的な勢力図の変化もあって難しい選挙を強いられたが、いずれも連合山形の推薦を受けた今野美奈子、高橋淳、共産の関徹の3人とも当選。自民新人の菅原一浩が33票のわずかな差で涙をのんだ。
政権の与野党で見ると、現職組が不在の戦いで「3議席奪還」を掲げた自民が2議席にとどまり、非自民系が3議席を死守。自民3新人の得票数は現職3人の得票数を約2600票上回ったものの、選挙結果は、早期解散もささやかれる次期衆院選、2年半後の次期鶴岡市長選にも少なからず影響を及ぼしそうだ。
佐藤は昨年12月に鶴岡市職員を退職して出馬を表明し、元県議で父の故佐藤正光の支援者を核に選対を組織。地元櫛引地域を中心に旧東田川郡で保守層をまとめ、父の地盤だった旧市内と旧温海町でも支持を広げた。元県議の阿部信矢の一部支持層からも支援を受け、唯一1万票の大台に乗せ、初陣を飾った。
市議2期を務めた石塚は、市議時代の後援会組織を中心に地元三瀬地区をはじめ沿岸部から農村部と幅広い支持を得た。40代の若さを強調し、子育て世代など全市的に若者層や無党派層へと支持が広がり、票を上積み。9800票で上位当選。
今野は前回に続き唯一の女性候補となり、街頭演説中心の草の根の選挙で「女性の声を県政に届ける」と訴え、全域へ浸透。市議時代からの後援会組織と支持者に、市長皆川治の後援会関係者らの支援が加わり、前回を400票余り上回って再選を決めた。
藤島地域が地盤の高橋は、同じ旧東田川郡から新人候補が出馬したことに警戒感を強めた。出身母体のJA庄内たがわが積極的に動き、連合山形の労組の支援で市街地の票を掘り起こし、前回より1200票ほど減らしたものの、8000票台を得て再選を果たした。
3選を目指した関は、地盤とする地域が重なる新人候補の出馬もあり、当初から危機感を強めて選挙戦に臨んだ。党の市議4人の支援、国会議員の来援で浮動票に働き掛け、終盤の追い上げもあり、前回選より500票ほど減らしたものの、滑り込みで当選した。
市議3期、前議長の菅原は、勇退する志田英紀が地盤とした市街地を重点に選挙運動を展開。票の動きが読み切れない選挙戦で、他候補が市街地に攻勢をかけたあおりを受け、7431票を得たものの33票の僅差で敗れた。
酒田市・飽海郡区 市中心部と川南で激戦 新人2人食い込み及ばず
現職3人と前職1人、新人3人の計7人が5議席を争った。候補者がいない遊佐町や、複数候補が立った酒田市中心部や川南地区を中心に票を奪い合う激戦となり結果、前回に引き続き無所属前職の阿部ひとみがトップ当選を果たし、立民現職の石黒覚、無所属新人の江口暢子、自民現職の梶原宗明、同じく森田廣が当選。無所属の新人2人が涙をのんだ。
阿部は地盤とする新堀や広野をはじめ、前回も強さを発揮した市北東部、遊佐町を含む旧飽海郡で確実に票を積み上げた。一昨年10月に行われた衆院選出馬のため県議を1期目途中で辞職したこともあり、「各種会合はおわび行脚。全ておわびから始まった」と本人が語るように当初は厳しい戦いを予想していたが、知名度を生かして幅広い支持を集め、ふたを開けてみれば他を寄せ付けない圧勝。「禊(みそぎ)」が済んだ形となった。
立憲民主党県連代表を務める石黒は酒田市平田地域を地盤に、連合を中心にした労組票に積み上げて支持を広げ、確実に4選を果たした。中心部や川南など票を奪い合った他候補と比較し票を減らす要素が少なく、「優位」という大方の見方をしっかり現実のものにした。
市議選では他を圧倒する票を得てきた江口は、所属していた市議会労組系会派・市政研究会が全面的にバックアップ。遊佐町で阿部に次いで票を獲得したほか、市街地では女性・若者層を中心に広く支持を集め、初陣を飾った。
自民現職の梶原は、酒田市北平田、中平田の農村部を地盤に衆院議員・加藤鮎子や新政会所属の酒田市議、建設企業、土地改良区などの関係者の支援を受けて安定した戦いを繰り広げて再選を果たした。
同じく自民現職の森田廣は酒田市中心部が地盤。衆院議員・加藤、新政会の酒田市議、企業関係者らの支援で地盤を守り、新人の食い込みを最小限に食い止めた。投票率の低さも組織票の優位さにつながった。
無所属新人で川南地区が地盤の田中斉は、同じく川南地区を地盤とする阿部の集票力の前に及ばなかった。同じく無所属新人の今井和彦は広がりが限定的だった。
前回(2019年)に比べ、投票率は1・30ポイント低下した。比較的僅差の中での勝負となり、強力な地盤や組織票、固定票を持つ候補が強さを発揮し、それらを持たない新人が涙をのむ形となった。
2023年(令和5年) 4月11日(火)付紙面より
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酒田市の酒田南高校(齋藤法明校長)の入学式が8日、同市浜田一丁目の同校体育館で行われ、普通、家庭両科計227人(男子117人、女子110人)の新入生が高校生活の第一歩を踏み出した。
統合から6年目を迎えた同校は本年度、2科3コース5専攻の体制で新入生を迎えた。吹奏楽部の演奏、職員と保護者の拍手の中、新入生が入場。国歌・校歌拝聴に続き各担任教諭が新入生一人一人の名前を読み上げ、齋藤校長が入学を許可。齋藤校長は「新鮮な気持ちを忘れずに、勉学や部活動、学校行事に積極的に取り組んで。夢や目標を具体的に持って行動すること、良き出会いと絆を大切にすることを実践してほしい」と式辞を述べた。
新型コロナウイルス感染防止のため、新入生代表あいさつは省略。来賓を代表し同校PTA会長が祝辞を述べ、新入生たちは晴れやかな表情で前を向いていた。