2023年(令和5年) 6月3日(土)付紙面より
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産婦人科「すこやかレディースクリニック」(鶴岡市東原町)を運営する医療法人・レスポアールの斎藤憲康理事長は1日、クリニックの不妊治療施設に関して2025年度当初をめどに日本海総合病院(酒田市あきほ町)に集約する方針を示した。同日夜に酒田市のガーデンパレスみずほで開かれた庄内の地域医療連携推進法人・日本海ヘルスケアネット(栗谷義樹代表理事)の理事会で明らかにした。集約を経てクリニックは閉院するが、斎藤理事長による鶴岡市内での婦人科診療は継続するという。
地域医療連携推進法人は、地域の医療法人などが独立運営を維持しながら連携を強め、機能分担や業務連携で効率的で質の高い医療の提供を目指すもの。同ネットは日本海総合病院を運営する県・酒田市病院機構を中心に、いずれも酒田地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会の「3師会」、医療・福祉・介護計9団体・法人が2018年2月に設立、同4月に県知事の認定を受けスタートした。現在の構成は同市を含む13団体・法人に拡大、▽人事交流・派遣体制の整備▽電子カルテなどの共有▽地域包括ケアシステムの構築▽薬品や診療材料などの共同交渉▽病床調整―といった連携事業に取り組んでいる。
「体外受精」などの不妊治療が昨年4月から保険適用対象となり、庄内地域でも新規の患者が増える傾向にある。同地域で唯一、不妊治療を専門に行っている同クリニックを運営するレスポアールは同年、日本海ヘルスケアネットに参画、日本海総合病院が敷地内での設置を計画している不妊治療施設の整備を共に進めている。同病院によると、敷地内に新たな施設を建てるか、病院内の空きスペースを活用するか現在、検討中という。
理事会の報告事項として説明に立った斎藤理事長は「不妊治療が保険適用になってから事務手続きが複雑になり、鶴岡、酒田の2拠点で行うには人手が足りない。1カ所に集約し、より良い医療を提供したい」と述べた。看護師、精子・卵子を体外で扱う医療技術者「胚培養士」をはじめクリニック職員は集約後、同病院職員になる予定という。
一方、この日の社員総会で参加法人増加による定款変更に伴い、新たに理事4人を選任。その後の理事会では任期満了に伴う役員改選で、栗谷代表理事(県・酒田市病院機構医療連携顧問)を再任した。
2023年(令和5年) 6月3日(土)付紙面より
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酒田市立資料館で特別企画展が開かれている。開館以来228回の企画展を行ってきたが、今回のテーマは「ありがとう45年未来へとつなぐ酒田の宝物―文化・娯楽資料」。同資料館が9月末でいったん閉館し、市総合文化センター内の中央図書館跡に市立光丘文庫などと「文化資料館(仮称)」として2024年度に開館することから、現資料館では最後の企画展になる。
市立資料館は酒田大火復興記念事業として、1978年に開館した。大火関係だけでなく、地元の歴史資料・文化材を後世に伝え残すことを目的に、毎年2回から3回、展示内容を変えながら企画展を開いてきた。大人100円、児童生徒50円の入場料設定は、より大勢に酒田の歴史に触れてほしいとの願いから。
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企画展ごとに来館者に配るリーフレットがある。しかしリーフレットと言って済ませるには、恐れ多いほど内容が充実している。A4サイズより一回り大きい用紙を三つ折りに畳み、写真を多用して主な展示品を解説している。来館者にいかにして分かりやすく酒田の情報を最大限伝えるかという、同資料館の工夫がうかがえ、解説内容の事細かさからリーフレット自体が「文化」と言える、貴重な資料だ。
開館から45年、同資料館の収蔵資料はずいぶん増えた。港町酒田の歴史と暮らしを伝える「歴史資料」「暮らしの道具」「文書類」などを収集して保存している。市民から多く寄贈された資料は、どれもが市民が生きてきた足跡を知る事ができるものばかり。市民も資料館運営に参加していたことになる。
収蔵品はどれも地域の歴史・民俗・産業・文化を次世代に残していかなければならない宝物。今回の特別展のうち、第1弾の「文化・娯楽資料」は4日で終わり、続いて「歴史資料」(6月8日から)「人物資料」(8月5日から)の3回に分け、館蔵品の中からこれまで展示する機会が少なかった資料を中心に展示する。会期中は展示資料の一部の入れ替えもする。
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同資料館は小学校の総合学習にも利用され、市外の学校も修学旅行で見学に来館した。また、職員が学校に出向いての「出前授業」では、さまざまに資料を持ち込み、大型スクリーンを使って昭和の暮らしなどを解説。「洗濯板」「氷冷蔵庫」「炭火のアイロン」など、今では見ることもない生活用具は小学生の目に新鮮に映った。まさに生きた授業であっただろう。
開館から45年、建物の老朽化も進んだうえ収蔵資料は6万点余まで増え、現施設では手狭になった。ちょうど市総合文化センター内の中央図書館が移転、その後に市立光丘文庫などと一緒に移る。資料館のスペースが広くなり、展示内容も拡充されることで、再出発への期待が膨らむ。
2023年(令和5年) 6月3日(土)付紙面より
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庄内と縁が深い鹿児島商工会議所(岩崎芳太郎会頭)の一行17人が1日から1泊2日の日程で来庄し、西郷南洲(隆盛)翁と旧庄内藩の菅臥牛(実秀)翁の「徳の交わり」に触れるとともに、鶴岡、酒田両商工会議所の会員との交流・親睦で3商議所の絆を深めた。
戊辰戦争・明治維新150年を機に2018年、鶴岡商議所が鹿児島に研修視察に訪れた。また昨年12月には丸山至酒田市長を団長とする庄内の官民の「庄内の翼」訪問団が鹿児島を訪問するなど、交流を図っている。「西郷ファン、鹿児島ファンが多い、庄内の皆さんの熱いラブコール」(岩崎会頭)を受け、今回の来庄が実現した。
一行は1日昼過ぎ、羽田―庄内便で来庄し、鶴岡市の菅家、致道博物館、旧庄内藩校致道館を視察。菅家では13代当主・秀二さんから旧庄内藩士が編さんした「南洲翁遺訓」、南洲翁が臥牛翁に贈った直筆の書などの説明を受け、致道博物館では旧庄内藩主酒井家第18代当主の酒井忠久館長の案内で南洲翁と庄内の絆について話を聞いた。
鶴岡商議所との意見交換会では鹿児島商議所側から▽庄内と鹿児島による相互の観光物産展開催▽鹿児島の学校の庄内への修学旅行▽商議所青年部同士の盟約締結―などが提案され、経済的・人的交流の進展に向け活発な意見が交わされた。2日は酒田市の南洲神社、本間家旧本邸、山居倉庫などを視察した。
3商議所の合同交流会は1日夜、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、約60人が出席。上野雅史鶴岡、加藤聡酒田両商議所会頭が「ようやくお迎えできた」と歓迎のあいさつを述べ、丸山酒田市長、阿部真一鶴岡市副市長が来賓であいさつ。松枝岩根鹿児島市副市長の発声で乾杯し、庄内の地酒と鹿児島の焼酎を酌み交わしながら、和やかに歓談していた。
庄内訪問のあいさつで、岩崎会頭は「西南の役で朝敵とされた大西郷の汚名をそそぎ、再評価のきっかけをつくったのは庄内の皆さん。かつての日本の良さである『徳』が失われつつあるが、150年以上前からの徳の交わりを結ぶ庄内と鹿児島だけでも『徳』を守り孫子の代へとつなぎ、この日本を変えていこう」と熱く呼び掛けていた。
2023年(令和5年) 6月3日(土)付紙面より
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バレーボールVリーグ女子1部(V1女子)に昇格した酒田市のプレステージ・インターナショナルアランマーレが1日、上山市の蔵王坊平アスリートヴィレッジで行っている恒例の強化合宿を報道陣に公開した。チーム初のトップリーグでの戦いに向け、基礎技術向上や体力強化に励んだ。
合宿は5月30日―6月3日の5日間で選手18人が参加。標高1000メートルの準高地で走り込みやウエイトトレーニング、ボールを使った練習などをこなしている。6対6のゲーム形式の練習ではスパイクを打つ選手を1人に固定するなど、体力的に追い込まれた状況での正確性を向上させている。
アランマーレは2022―23V2女子で初優勝。4月に行われたV1女子下位との入れ替え戦で連勝し、初の昇格を決めた。高さと強さのあるV1チームとの戦いに向け、来季はコートを幅広く使って全員が攻撃で連動する「3Dシンクロコンビバレー」をテーマに掲げる。9期目を迎える北原勉監督は「個人の能力で勝る相手に対して、いろいろな位置から打って守備の狙いを絞らせないかが重要になる。最後までボールに食らいついてファンに感動を届ける試合を見せたい」と話す。
アランマーレは7月に長野県松本市で開催される「V・サマーリーグ東部大会」に出場し、今秋に開幕を予定するV1のリーグ戦に臨む。木村友里主将は「チャレンジャーとして、自分たちらしい一体感のあるバレーを見せたい」と意気込んだ。