2023年(令和5年) 7月16日(日)付紙面より
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西川町の伝統工芸「月山和紙」にスポットを当てた企画展「月山和紙三人展―伝統の技とあかり」が、酒田市松山文化伝承館で開かれ、色鮮やかな和紙の数々が訪れた人の目を引いている。
月山和紙は、西川町で江戸時代から冬の農閑期のなりわいとして続いてきた手すき和紙。1950年代に「西山和紙」から「月山和紙」と名称を変え、現在は同町在住の三浦一之さん、シブヤナオコさんの2人がその技を受け継いでいる。薬品漂白せず、国産コウゾ100%の手すきで一枚ずつ丁寧に作られているのが特徴。今回は2人の作品と、同町で活動している月山和紙あかり作家のせいのまゆみさんの作品計約100点を集め、月山和紙の魅力を展示した。
三浦さんは和紙の中に米沢市のベニバナ、西川町の山ブドウのつる、紅葉、鶴岡市のシナノキの皮などをすき込んだ自然豊かな作品がメイン。シブヤさんは月山和紙の小物入れや名刺入れのほか、コースターやランチョンマットなど、水に強く生活に取り入れられる工夫を凝らした作品が並ぶ。
月山和紙を活用し間接照明や小物作品の制作活動を展開しているせいのさんは、月山の自然をモチーフに、カエデやドウタンといった植物を入れたり、和紙に細かく穴を入れて陰影を映し出すなど、和紙から透ける光が周囲を優しく照らす。制作工程を紹介するパネルも展示され、丁寧に作っている様子が見て取れる。
企画展に伴い、東北芸術工科大の学生らによる月山和紙を使った作品や、山形の風景画など約50点も展示。展示は23日(日)まで。