2023年(令和5年) 7月23日(日)付紙面より
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開館40周年の節目を迎えた酒田市の土門拳記念館で、酒田市名誉市民で世界的写真家・土門拳さん(1909―90年)のえりすぐりの作品を集めた「古寺巡礼オールスターズ+立教開宗1200年・東寺特集」と、「山岳写真の追求者たち」が開かれ、迫力ある作品の数々に、多くの来館者が引き込まれている。
記念館は1983年10月に開館。土門さんの代表作、全5巻にわたる写真集「古寺巡礼」の第1集刊行から今年で60年を迎えたことを受け、あらためて作品の魅力を伝えようと企画。「古寺巡礼オールスターズ」は88点、「山岳写真の追求者たち」は計72点を展示している。
「古寺巡礼オールスターズ」では、いくつもの手が地上に向かって手を差し伸べている「唐招提寺金堂千手観音立像左脇千手詳細」や、晩年に念願がかない撮影したとされる「室生寺雪の鎧坂金堂見上げ」などのほか、今年立教開宗1200年を記念し、土門さんが京都府京都市の東寺を約1年かけて撮影した写真集「大師のみてら 東寺」も特集して展示。立体曼荼羅(まんだら)と呼ばれる「羯磨(かつま)曼荼羅」の講堂五大明王像を1体ずつ写した作品など、迫力ある作品を前に来館者たちは食い入るように見つめていた。一部作品を入れ替えながら、10月23日(月)まで展示。
「山岳写真の追求者たち」は、詩的な作品と評された故田淵行男さんの「燕岳にて」「山頂黎明 常念小屋から浅間を望む」などのモノクロ写真や、故白籏史朗さんが「父の山」として親しんだ鳥海山の四季を色鮮やかに写した「河原宿からチングルマ群落と伏拝岳」「雪面輝く鳥海山の朝」などを展示。山岳写真のパイオニアとされる、2人それぞれの視点から見た日本の山々が魅力的に並ぶ。展示は9月12日(火)まで。
2023年(令和5年) 7月23日(日)付紙面より
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土門拳記念館入り口で、中尊寺(岩手県平泉町)から移植した「中尊寺ハス」が咲き、淡い桃色の花が来館者の目を楽しませている。
記念館によると、中尊寺ハスの種子は中尊寺金色堂内に安置されている奥州藤原氏第4代・泰衡(やすひら)の「首おけ」から発見され、発芽試験の末1998年に約800年ぶりに中尊寺で花を咲かせたという。
同氏第3代・秀衡(ひでひら)の妹とも、側室ともいわれる「徳の前(徳尼公)」が、藤原氏滅亡に際し遺臣36人と共に落ち延び、その子孫が「酒田三十六人衆」となり酒田発展の礎を築いたという伝説と、世界的写真家で酒田市名誉市民の故土門拳さんが同寺で数多くの作品を撮影していた縁から、2012年に中尊寺ハスの株分けが実現した。
ハスは記念館入り口脇に置かれた鉢植えに植えられ、今年は例年より多く14輪のつぼみが確認されている。記念館によると、朝花を広げ、午後には閉じるという。8月上旬まで楽しめる。