2023年(令和5年) 8月13日(日)付紙面より
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酒田市がアマチュア写真家を対象に制定する「第29回土門拳文化賞」の入賞作品が決まった。最高賞の土門拳文化賞には川眞田慶治さん(88)=徳島県吉野川市=のカラー30枚組み「被爆ヒロシマの叫び!」が選ばれた。授賞式は10月1日(日)、同市の土門拳記念館(佐藤時啓館長)で行われる。
酒田市名誉市民第1号で世界的な写真家・土門拳さん(1909―90年)の功績をたたえ、写真文化と写真芸術の振興などを狙いに、土門さんの作品を収蔵する同記念館の開館10周年記念事業として1994年度に創設した賞。国内のアマチュア写真家を対象に自由なテーマで写真作品を公募、優秀作を表彰しており、プロ写真家への登竜門として定着している。
29回目の今年は、全国39都道府県の102人から108テーマが寄せられ、6月9日にいずれも写真家の江成常夫さん、大西みつぐさん、藤森武さんの3人が市内で選考委員会を開き文化賞1点、それに次ぐ奨励賞3点を選んだ。
最高賞に選ばれた川眞田さんの作品は、土門さんの代表作の一つ「ヒロシマ」同様、被爆地の今を生きる人々の「叫び」「祈り」をまとめたもの。藤森さんは「どの写真からも平和を願う『祈り』からの『叫び』が伝わってくる。まさに土門拳のリアリズム写真そのもの。核拡散の脅威が続く今こそ、ヒロシマ・ナガサキの真実の姿を世界中の人々が見つめ直すべき」と講評している。
奨励賞には、若松誠さん(55)=東京都=の「Esperanza(希望)―陽はまたのぼる」、福岡育代さん(60)=同=の「母へ捧ぐ―中野・時景」、卯月梨沙さん(35)=同=の「幽明」が選ばれた。
受賞作品は、授賞式に先立ち9月16日(土)から同記念館に展示される。