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2023年(令和5年) 8月16日(水)付紙面より

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秋田豪雨の被災者支援 酒田市社協が現地に職員派遣

 先月の豪雨で甚大な被害が出た秋田市の被災者支援のため、酒田市社会福祉協議会(桐澤聡会長)は職員を現地に派遣することにし15日、酒田市社協が入る市地域福祉センターで出発式が行われた。昨年8月の置賜豪雨の際も職員を川西町社協に派遣しており、今回は31日(木)までの17日間を4クールに分け、1人ずつ計4人が支援者・災害ボランティアと被災者のマッチング活動などを繰り広げる。

 豪雨の影響で秋田市では浸水など甚大な被害が発生。多くの災害ボランティアが連日、活動のコーディネートを行っている秋田市社協設置の災害ボランティアセンターを訪れているという。

 秋田市社協は通常業務と平行してセンター運営も行っていることから、スタッフ不足が顕著。山形県社協は「北海道・東北ブロック道県・指定都市社会福祉協議会災害時の相互支援に関する協定」「山形県・市町村社会福祉協議会災害時相互支援に関する協定」に基づき職員派遣を決め、最も近い上、先月にボランティアバスを運行し、現地の事情を知っていることから酒田市社協が真っ先に手を挙げた。

 派遣されるのは、いずれも地域福祉課に所属する深井雄樹さん(32)、佐藤一佳さん(47)、今野倫子さん(32)、瀧口尚人さん(34)の4人。今月末までそれぞれ5日間ずつ、被災者の要望を聞き取るニーズ班、コーディネートを担うマッチング班として活動を展開する。

 出発式では、4人を前に桐澤会長が「社協は復旧対応はできないが、被災者の生活立て直しに向けた力にはなれる。雲の流れ一つでここ酒田が被害に遭った可能性も高く、他人事ではない。体調に気を付けて被災者のため精いっぱい頑張ってきてほしい」と訓示。第1陣として15―19日に活動する深井さんが「『お互いさま』という気持ちで、被災者の役に立てるよう頑張って活動してくる」と述べ早速、車に乗り込み現地に向けて出発した。

桐澤会長(右)に決意を述べる深井さん(中央)
桐澤会長(右)に決意を述べる深井さん(中央)


2023年(令和5年) 8月16日(水)付紙面より

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土門拳記念館開館から40周年

 酒田市の「土門拳記念館」で、開館40周年記念企画展が開催中だ。リアリズムに徹した世界的な報道写真家、土門拳氏の代表作が展示されている。これまで同記念館に足を運んだことがある人にとっても、あらためて「鬼才」といえる土門氏の作品に、見応えを覚える展示構成のようだ。

 世界でも例を見ないといわれた写真に特化した記念館は、土門氏が全作品を酒田市に寄贈したいとの意向で動き出した。記念館建設は地方都市にとって負担であったことは確か。「立派なものでなくてもいい」という土門氏の考えに、当時の相馬大作市長は「文化はその街の顔。土門拳記念館は酒田の誇るべき文化」として、土門氏の全作品を収蔵・展示する施設整備を決断した。

     ◇       ◇

 土門氏は6歳の時一家で酒田から上京。「写真で身を立てるように」という母の勧めで、上野の写真スタジオに住み込んだ。妥協を許さない反骨精神は、戦時中に軍の写真撮影の協力を拒んだことで「非国民」と呼ばれた。反権力思想は商業写真からリアリズム写真に向かい「報道写真こそ時代と人間を活写する」と、現実を追い求めて写真集『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』を生んだ。

 演出をしない信念を貫いた。著名人の表情を撮った『風貌』では、画家の梅原龍三郎にカメラを向けたまま、一向にシャッターを切ろうとせず、怒った梅原が土門に椅子を投げて帰ったという逸話もある。仏像などの撮影構図を決めてカメラを構えると、一瞬差し込む光線をひたすら待ち続け、たった一度しかない瞬間にシャッターを切った作品は『室生寺』『古寺巡礼』などに代表される。1枚の撮影に長時間をかけたのは、1枚に全神経を燃やしたからだ。

 「写真家は、機械の後ろで小さく小さくなって…ついにゼロになってしまった時、いい写真が撮れているようだ」と語る一方、「狙った通り、ピタリと撮れた写真は一番つまらない。寺院や仏像は静止しているが、周囲の状況によって目まぐるしく表情は変化する」との言葉は、意図した構図とは違った、別の構図があったのではないかという、写真の難しさを語っているようだ。

     ◇       ◇

 記念展では「古寺巡礼」シリーズの中から特に人気の高い作品88点を「オールスターズ」と銘打ったほか、土門氏が京都市の東寺を1年かけて撮った「大師のみてら 東寺」の作品も展示している。また、前期展では「山岳写真の追求者たち」として、鳥海山を「父の山」と呼ぶ山岳写真家・白籏史朗氏らの作品も展示している。

 40周年記念展は前期(9月12日まで)と後期(9月16~10月23日)の2部構成。記念館に入れば土門氏の芸術空間が広がり、古寺巡礼の作品と向かい合えば、被写体と同じ場所にいる気持ちに誘われる。この機会に大勢に足を運んでもらいたい。

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