2023年(令和5年) 8月19日(土)付紙面より
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大沢地区の住民ら
体験活動に手応え
酒田市大沢地区の農業用ため池で行われているジュンサイの「摘み取り体験」が人気を集めている。地区の住民が今年6月下旬から始めたが、これまで県内外の小学生親子を中心に100人を超える申し込みがあった。住民スタッフは「庄内では珍しい体験なのか思った以上の反響がある。これからも里山の大切な資源を活用し『大沢』をアピールしていきたい」と地域の活性化に向けて手応えをつかんでいる。
旧八幡町の東側に位置する大沢地区は192世帯で人口は486人(今年5月末現在)。かつて鳥海山系の水をたたえる農業用ため池では天然のジュンサイ摘みが盛んに行われていたが2000年前後に途絶えた。
「こんなにいい資源があるのに、そのままにしておくのはもったいない」―。旧八幡町エリアで3年間、地域おこし協力隊を務めた現・大沢地区集落支援員の阿部彩人さん(43)=COCOSATO(ココサト)代表=が、ため池に自生する天然ジュンサイに着目。地区民と協力して箱型の木船10隻を作り体験活動をスタート、手摘みを「復活」させた。
ジュンサイは沼に自生する水草の一種。6月末から8月末にかけてヌルッとした若い芽を摘み取り、さっと湯がいた後、主にワサビやショウガじょうゆ、ポン酢をかけて食べられる。
摘み取り体験は大沢コミセンに集合した後、車で約5分の高台にある現地に向かう。スタッフのアドバイスを受け、1人で小舟(幼児を連れた家族はゴムボート)に乗って約1時間の摘み取りを楽しむ。
「参加者は地元をはじめ東京から来た家族連れもいる。ほとんど初めての人だが300グラムは採れますよ。野鳥のさえずりや虫の鳴き声を聞きながら、のんびりとジュンサイを摘むスタイルが人気のようです」と阿部さん。体験イベントのほかには収穫した天然ジュンサイをインターネットと産直たわわで「生じゅんさい」(要冷蔵)として販売している。顧客の多くはジュンサイを珍しがる人(首都圏中心)たちで売れ行きは好調だ。
阿部さんは「私を含めてスタッフは5人ほど。少しやりくりが大変な時もあるが参加者から『楽しかった』と笑顔で言われると本当にうれしい。体験活動を始めて良かったと思う。今後も大沢地区の豊かな里山と天然ジュンサイを広くアピールしていきたい」と話している。
一般を対象にした今年の摘み取り体験は22、26、28日に行って終了となる。参加料は大人(中学生以上)2000円、子ども1000円。摘み取ったジュンサイは持ち帰る。申し込みと問い合わせは阿部さんの携帯=電090(7288)8605=へ。または阿部さんが代表を務める地域づくり発信合同会社「COCOSATO」のオフィシャルサイトから。社名を検索すると画面に表示される。
2023年(令和5年) 8月19日(土)付紙面より
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広く庄内地域の児童・生徒を対象に、酒田市出身の大学生による学生団体「わーくしょっぷ屋さん」が企画した次世代リーダー発掘プロジェクト「Wacreate Camp」が18日、同市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で開幕。受講児童・生徒は22日までの5日間、庄内の課題、その解決策を考察する。
2019年4月に設置された酒田南高校グローバル専攻1期生の鈴木瑠花さん(20)=武蔵野大2年=と鈴木ミチルさん(20)=九州大2年=が共同代表を務める同団体が、市産業振興まちづくりセンター「サンロク」(所長・安川智之副市長)と共に企画したもの。児童・生徒が自ら課題を見つけ、その解決手法を探った上で実践してもらうのが狙い。これまで2人が現住する東京、福岡で実施したが、庄内地域では初めての開催。
今回は小学6―高校3年の男女6人が受講。初日は3人ずつ2グループに分かれた後、講師の鈴木ミチルさんが「目標は『庄内、酒田めっちゃ面白いぞ』『自分めっちゃ面白いぞ』と気付き、失敗を恐れず課題に立ち向かい続ける力を付けること。5日間の学びでまだ知らない自分に会ってほしい」と呼び掛けた。その後、「未来の庄内はどうなるのか」をテーマにグループ討議した。
受講生たちは今後、庄内ならではの課題を探るほか、解決に向けたアイデアを出し合い、さらにプレゼンテーション力を高める。学びを通して生み出した課題解決のアイデアは、最終日の22日午前11時から両チームが発表する。
鈴木ミチルさんは「さまざまな人がどこにいても多様な学びにアクセスできる社会の構築に向け、ワークショップを主催できる人材の育成を図っていきたい」と話した。
2023年(令和5年) 8月19日(土)付紙面より
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夏休みの宿題、授業復習サポートや遊びの場を提供する「子どもの心の居場所づくり学習会」が15、16の両日、酒田市総合文化センターで行われ、子どもたちが東北公益文科大の学生らと交流した。
子どもの自立を支援するための講演会や親子体験活動を行っている同市の「Support For Relation―子どもの自立を支援する会」(SR会、伊藤美智子代表)が主催。大学生らと連携し、宿題サポートや一緒に遊ぶことで子どもたちの悩みや不安を直接相談できる“居場所”につなげようと、荘内銀行が運営している「公益信託荘内銀行ふるさと創造基金」の助成を受け、今回初めて企画した。
16日は市内の小・中学生2人が参加。子どもたちは会員や公益大の女子学生らに勉強を教わったほか、体育館で思い切り体を動かしたりと思い思いに過ごしていた。
参加児童の一人は「お姉さんたちが優しいので楽しい」と。ボランティアで参加したいずれも公益大2年の伊藤寧音さん(19)と伊藤なごみさん(19)は「一人一人に寄り添って教えたことが児童に伝わり、『分かった』と笑顔を向けてくれたことがうれしかった」「子どもたちに教えることで自分の自信にもつながった」と笑顔で話した。
伊藤代表は「これまで保護者を含めた親子への支援活動が多かったが、子どものSOSを拾える支援も考えていきたい」と語った。この学習会は年末年始休業中にも開催する予定。