2023年(令和5年) 9月5日(火)付紙面より
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酒田市出身の彫刻家、石黒光二さん(71)=埼玉県所沢市在住=の作品を紹介する企画展「石黒光二 彫刻展―心・空間・かたち」が2日、酒田市美術館(石川好館長)で開幕。初日午前に開幕式典が行われ、あいさつに立った石黒さんは「作品は人体がほとんど。『命をつくり出す』という心構えで制作に当たっている」などと述べた。
石黒さんは旧平田町山谷生まれ。酒田北高(現・酒田光陵高)から多摩美術大彫刻科に進学し、卒業後は同市千代田出身の彫刻家、高橋剛さん(1921―91年)に師事した。76年に日展初出品で初入選。78年以降は連続入選し、96年に会員となった。2016年の改組新第3回日展に出品した作品「月光」は、第3科(彫刻)で最高賞・内閣総理大臣賞を受賞した。
彫刻界で高い評価を受け全国各地で野外彫刻を多く手掛けており、中でも平田地域を中心に市内各所に設置されているブロンズ像の数々は地元の自然や人々の暮らしに溶け込み、市民に親しまれている。日展会員、市の知名度向上に協力する「酒田北前大使」。
2015年に松山文化伝承館で開催して以来、古里での個展は8年ぶり。今回は、人物と幾何形態によって生み出される心象空間を表現した近作を中心に52点を紹介している。最高賞受賞作「月光」は月の光が持つ神秘性や安らぎを女性像の中に表現、当たる光の加減や鑑賞者の気持ちでさまざまな表情を見せる。同じく日展に出品した「旅の終りに」は、ボストンバッグを前に石段にたたずんだ男性を力強く表す。
開幕式典には関係者ら約20人が出席。石川館長の主催者あいさつ、安川智之副市長、高橋千代夫市議会議長の祝辞を受け、石黒さんは「これからも人間の喜怒哀楽を自分なりに表現していきたい」と話した。
館内は撮影可。材質を体感してもらうため一部作品は触れることもできる。展示は10月22日(日)までで会期中は無休。期間中、デッサン会、身体表現・彫刻体験ワークショップ、学芸員によるギャラリートークといったイベントが企画されている。問い合わせなどは酒田市美術館=電0234(31)0095=へ。
2023年(令和5年) 9月5日(火)付紙面より
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本や自然に親しむイベント「本の森ミライニマルシェ」が2、3の両日、酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で開かれ、訪れた人たちがひと足早く「芸術の秋」「読書の秋」を楽しんだ。
同市でイベント制作・運営などを手掛ける「Lab PHOTOGRAPH+PLANNING」(小松祐規代表)が企画したもので、「知識の森の中と外であそぶ」をテーマに、森や自然にちなんだクラフト作品の販売のほか、ワークショップやステージパフォーマンスなどが行われた。
あいにくの雨降りのため初日は館内開催。小鳥や草花の色鮮やかな刺しゅうのブローチ、穴から優しい光が漏れる竹のランタン、イラクサ科の多年生植物「カラムシ」で作った帽子など、自然をモチーフにした作品の数々に来館者らは目を輝かせ、出店者との会話や買い物を楽しんでいた。
また、中央図書館のおはなし広場ではフラダンスステージが行われ、フラダンス教室「ナーワヒネオカウアノエラニ」と「キエレレイ」の生徒たちがかわいらしい衣装に身を包み、優雅なダンスを披露した。