2023年(令和5年) 9月22日(金)付紙面より
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酒田市出身のシャンソン歌手、故岸洋子さん(1934―92年)の楽曲を歌い継いでいくことを目的に活動を展開している「岸洋子を歌いつぐ会」(櫻田常夫会長)の佐藤喜和子事務局長(同市新橋四丁目)を講師に招いたイベントが20日、同市の上安町二丁目自治会館で開かれ、参加者が講話に耳を傾けたほか、全員で岸さんの「希望」を合唱した。
歌いつぐ会は、岸さんの没後25年という節目に合わせ2017年5月、元音楽教師の佐藤事務局長が中心となって設立。市内の児童・生徒に岸さんの功績を紹介しているほか、岸さんの誕生日(5月23日)に合わせ「希望コンサート」と銘打ったイベント、命日(12月11日)前後には、声高らかに岸さんの楽曲を歌う「メモリアルうたごえ」をそれぞれ開催している。
今回のイベントは、同市の上安町自治会(土田良男会長)が地区住民を対象に開催している「上安町憩いの部屋」の一環。地区住民約20人を前に、佐藤事務局長は「歌を愛し 酒田を愛した歌姫『岸洋子さんを語る』」と題して講話した。
岸さんの歌の特徴について「ただ歌っているのではなく、心に強く響く歌い方。日本語がはっきりしており、感情の起伏もある。なかなか真似ができる歌い手はいない」と。そして「音が心に響けば、それこそが『音楽』。世界中どこにいても歌は響く。良い歌と出会ってほしい」と呼び掛けた。
膠原病を患ってからは常に具合が悪く、楽屋で寝込むこともあったというエピソードを紹介。また、岸さんのいとこに当たる前田直己さん(上本町、前田製管相談役)が寄贈し現在、希望ホールエントランスに展示されている岸さん愛用のピアノに触れ、「『触れないで』と掲示されているが、誰もが弾けるようにしてほしい。岸さんの楽曲が常に流れるホールになれば」と述べた。
引き続き佐藤事務局長が奏でるピアノの音色に合わせ、参加者たちは岸さんの「希望」とともに、「若者たち」「里の秋」で声をそろえた。土田会長は「岸さんの楽曲がさらに好きになった。機会があればまた講師をお願いしたい」と話した。