2023年(令和5年) 10月27日(金)付紙面より
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新規就農者らがデータに裏付けられた米作りについて学ぶ酒田市の「酒田もっけ田農学校」第2期開講式が25日、拠点となる市スマート農業研修センターで行われ、10人の「学生」が1年半にわたって生産技術向上に励む決意を新たにした。
庄内地域や本県全体の農業の基幹作物・水稲の生産を支えてもらうため、座学と実習を通し水稲栽培について理解を深め、未経験者でもやる気のある新規就農者を後押ししようと、市が2021年に開設した講座。名称は感謝を意味する地元の方言「もっけだのー」から名付けた。感覚や勘に基づき行われることの多い水稲栽培に関し、植物としての特性や最も大切な土作り、育苗、病害虫の発生など基本的な知識に加え、小型無人機「ドローン」やICT(情報通信技術)などで得たデータを活用したスマート農業についても理解を深める。1期生は今年3月まで1年半にわたって知識を身に付けた。
2期生は酒田、庄内両市町から男女10人が応募。山形大農学部客員教授でファーム・フロンティア(酒田市)会長を務める藤井弘志さんらの指導で週1回程度、1年半にわたって同センターやほ場で研修を重ねる。
開講式では、「学生」を前に久保賢太郎農林水産部長が「1年半にわたって知識を吸収し、それぞれの地域に持ち帰ってほしい」と矢口明子市長のあいさつを代読、高橋千代夫市議会議長が「皆さんは市の農業における大きな希望。酒田の農業を将来に向け持続可能なものにしてほしい」と祝辞を述べた。
藤井さんが「以前は異常気象が10年に1度だったが、現在は普通の気象が10年に1度。農業においてはこれまでの経験や勘が通用しない時代で、これに代わるのが情報とデータ。新しい農業を学んで収益性の向上を図って」と激励。これを受け、学生を代表して「3年前から農業に本腰を入れ始めた」と話す齋藤智之さん(50)=酒田市遊摺部=が「多くの技術・地域を学び、『趣味は農業、おいしい米を作ることです』と言えるようになりたい」と決意表明した。