2023年(令和5年) 11月18日(土)付紙面より
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24年度に耐震診断実施
けやき保全石畳撤去前倒し
本年度中の公有化が予定されている国指定史跡「山居倉庫」(酒田市山居町一丁目)に関する整備基本計画策定委員会(委員長・本中眞奈良文化財研究所長)の第2回会合が16日、市役所内で開かれた。計画の素案、ケヤキ並木の保全などについて意見を交わしたほか、事務局の市都市デザイン課が、「2024年度まで」としていた計画策定期間を「25年度まで」と1年延長する案を示して委員たちは了承。事務局によると、24年度に耐震診断を実施する方針という。
21年3月に国指定史跡となった山居倉庫は1893年、取引所法で定める付属倉庫として7棟を建設したのが起こり。土蔵と屋根の間に空気を通し換気を促す二重構造の屋根、強い西日や強風を避けるためのケヤキ並木など温度を一定に保つ工夫がされている。白いしっくい壁と黒い屋根瓦、1890年代に植栽されたケヤキ並木は酒田を代表する景観にもなっている。
史跡指定を受けて市は今年3月までに保存活用計画を策定。同計画に基づき整備基本計画をまとめるため、今年7月には有識者12人で構成する同委員会を立ち上げた。この日はリモートを含め委員10人とオブザーバーが出席。延長後のスケジュールについて、本年度中に整備基本構想を策定、24年度は耐震診断を実施するほか、個別事業の協議を行う。
25年度は会合を3回開き、パブリックコメントを募集した上で、整備基本計画をまとめる予定。
一方、樹勢の衰えが指摘されているケヤキ並木の保全に関し、保存活用計画では生育障害の一因とされる石畳を撤去する方針を掲げ、当初は整備基本計画で方法などまとめ、25年度以降に取り掛かる予定になっていた。緊急性や広範囲に及ぶことを考慮し24年度から施工を開始することにし、この日は衰えが特に顕著な1―3号棟西側の8本で先行実施、石畳を撤去し土壌改良を施した上で、伸びた根が建物基礎を浸食しないよう防根シートを敷設する案が示された。
2023年(令和5年) 11月18日(土)付紙面より
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今年で33回目を迎えた酒田市制定「前田福祉賞」の表彰式が14日、市地域福祉センターで行われ、地域住民らの運動機能の維持・向上、集いの場の創出に尽力している「健幸にしあらせ」(祢津正樹会長)、傾聴活動を通して悩みを抱える人たちに寄り添っている「山形傾聴塾」(畠山實代表)に対し、矢口明子市長が賞状などを手渡した。
前田福祉賞は、市特別名誉市民の故前田巌さん(1906―86年、前田製管創業者)の遺志に基づき、遺族から受けた寄付金で創設した前田社会福祉基金が原資。他の表彰機会にも恵まれない善行の個人・団体を発掘しようと89年にスタート。前年までに35個人・21団体が受賞している。
同市西荒瀬地区で行われていた▽夜の太極拳教室▽ロコモ教室▽ストレッチ教室―の3教室を統合し2017年に設立した「健幸にしあらせ」は、門戸を地区外にも広げ毎回、40人余が運動機能の維持・向上に努めている。また、住民主体で生活支援・地域支え合いを行う市の「介護予防・日常生活支援総合事業」のうち「通所型サービスB」にも取り組み、高齢者の介護予防・地域交流の促進に貢献している。
1997年発足の「山形傾聴塾」は「聴くことはそれだけで援助になる」という理念に基づき、一人でも多くの相談者から「話を聴いてもらって良かった」と思ってもらえるよう活動を展開し、「心のケア」に貢献。コロナ禍前までは同市在住会員らが市内介護施設などを定期訪問し、悩みを抱える人たちに寄り添ってきた。その傍ら、「傾聴ボランティア養成講座」を年数回開催し、裾野拡大を図っている。
表彰式では、矢口市長が両団体の功績を紹介した上で「長年にわたって献身的に福祉活動に携わっている市民が多くいる、ここ酒田を誇りに思う。これからも活動の継続を」とあいさつし、代表者に賞状、記念品を手渡した。祝辞で前田直之・前田製管社長は「皆さんの日々の活動が酒田を支えている。体に留意し活動を活発化させてほしい。酒田が安心して暮らせる街になることを祈念する」と述べた。