2023年(令和5年) 12月22日(金)付紙面より
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酒田市の最上川河川敷で今年8月に開かれた「酒田の花火 全国二尺玉花火競技大会」で、有料観覧席のチケット収入が伸び悩んだ影響で約1900万円の赤字が出たことを受け市は20日、来年は二尺玉競技を休止するなど打ち上げ規模を縮小する方針を示した。有料観覧席を減らす一方、無料エリアを広げて市民の満足度を高める。8日に開催した実行委員会で、来年の開催は8月3日(土)に決まったという。
市議会12月定例会の一般質問で、来年の開催に向けた事業計画の進捗(しんちょく)状況について問われ、矢口明子市長が答弁した。
「酒田の花火」は今年8月5日夜に最上川河川敷で行われ、約1万発を打ち上げ、4年ぶりに大輪が酒田の夜空を焦がした。市の負担金軽減などを目的に、実行委員会は有料観覧席約2万人分と駐車場約5100台分を確保し、全てセットで販売することにした。
市によると、6月の販売開始後、計画していた駐車場内で地盤状態の悪い箇所が見つかり、約4500台分しか確保できないことが判明。このため7月上旬から約2週間、チケット販売を停止した。同下旬に観覧席のみで販売を再開したが、周知不足もあって約8000人分の空席ができた。
市は、市議会9月定例会で赤字分を補填(ほてん)する一般会計補正予算案を提出。可決に際し市議会は、来年度以降の開催に関する付帯決議として▽持続可能な事業としての財源確保と実効性ある計画の策定▽実行委員会における組織体制と業務内容の明確化▽市民や来訪者誰もが楽しめる花火大会の企画―の3点を求めた。
今年の開催を踏まえ、来年は趣旨・目的として▽市民満足を高める花火大会として幅広い年代の市民が楽しみ感動し、自慢できる大会を目指す▽経費削減に努めながら、観光客からも足を運んでもらえるプログラムを計画する▽地元の煙火店・企業と連携した大会の運営―の3点を大きな柱として設定した。
二尺玉競技大会と水上スターマインを休止し経費を抑えるとともに、今年の販売実績を元に有料観覧席を削減する一方、無料エリアを広げた上でより観覧しやすい場所に配置する。組織については市長を実行委員長、市地域創生部長を事務局長とし市主体の事務局体制にすることで規律ある意思決定、責任の所在の明確化を図る。実行委員会の中に6専門部を設置する。
矢口市長は「関係機関協議を経て許可を得た段階で正式な開催内容を公表する。来年4月初旬には基本的な内容を公表できるよう進め、市民満足につながる花火大会にしたい」と述べた。