2024年(令和6年) 1月24日(水)付紙面より
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自治体における住民と行政との接点(フロントヤード=窓口)の総合的な改革を通じ、「住民利便性の向上」「業務効率化」に向けたモデルの構築、その横展開を図ろうと、総務省が全国の自治体を対象に公募した「自治体フロントヤード改革プロジェクト」で、酒田市が提案した「ユーザー中心かつ効率的なフロントヤード改革事業」が採択された。同省が19日に発表したもので、市は「市民も喜び、職員にも優しい窓口の実現」に向けた取り組みを加速させる。
全国各地の自治体から応募があり同省は、人口規模別4部門とともに、「先駆けとなるようなフロントヤード改革に取り組むモデル」の計5部門に、12都道県の計12自治体を選定。1自治体当たり最大1億2000万円の財政支援を受け、モデルとなる事業を構築する。
市デジタル変革戦略室が示した事業概要図によると、市民と職員の両者にとって効率的な窓口の構築に向けて、▽来庁不要▽手続きがすぐ終わる▽窓口で迷わない▽窓口で書かない▽やるべき手続きが漏れない―の5項目をキーワードに改革を実施するという。
同室によると、同市では昨年9月末現在、249のオンライン申請が可能。自宅からのオンライン申請の推進、オンラインによる来庁予約の導入、コミュニティセンターなど公共施設への端末機器の配置などでより円滑な手続きの実現を図る方針。
これに合わせ、システム入力の自動化など職員による業務(バックヤード)の最適化に向け、BPR(Businessprocess・Reengineering=業務の見直し・再構築)の徹底も図り、来年度中のモデル実現を目指すという。
2024年(令和6年) 1月24日(水)付紙面より
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鳥海山麓の雪原を散策して楽しむ「鳥海高原雪原トレッキング」が20日、酒田市草津の鳥海高原家族旅行村周辺で行われ、参加者がスノーシューやかんじきを履いて雪上を歩き、自然観察を楽しんだ。
八幡地域観光物産事業実行委員会が主催、鳥海やわたインタープリター協会が主管して開催。同協会は2000年に旧八幡町が主体となり設立した行楽客に鳳来山や玉簾(たますだれ)の滝といった八幡地域の自然の魅力を紹介するボランティアガイド組織。雪原トレッキングは2月に開かれる氷瀑トレッキングと合わせて冬の人気ツアーとなっている。
この日は快晴に恵まれ、庄内一円から定員を超えた24人が参加。同協会の信夫効次会長はじめ会員7人の案内で、参加者たちは鳥海山の標高600メートル付近に広がる高原を約3時間にわたり散策した。
今年の積雪量は0・8―1メートルほどで、信夫会長によると例年の半分以下だという。道中、キツネやウサギ、テンの足跡のほか、ブナの木に付いたクマの爪痕など多くの動物の痕跡があり、「ウサギの足跡の上にキツネの足跡がある。ウサギの慌てたような足跡の様子から、キツネから逃げようと必死に走ったのかもしれない」「このブナはヤマブドウのつるが絡んでいて毎年クマが食べに木に登りに来るから表面が傷だらけ」と会員が解説。参加者たちは興味深そうに耳を傾け、冬季に見られる大自然を満喫していた。
今回で3、4回目の参加という庄内町在住の三浦あけみさん(60)は「天気が良くて歩くのが気持ちよかった。月山や佐渡島が一望できたのには感動した。雪は少なかったが、ヤマザクラやオオカメノキなどの木々のつぼみが赤らんでいる様子など、例年にない楽しさがあった」と笑顔で話していた。
2024年(令和6年) 1月24日(水)付紙面より
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過疎化が著しい酒田市日向地区の活性化に向け、さまざまな活動を繰り広げている東北公益文科大学(同市)の学生サークル「Praxis(プラクシス)」(退田秀太朗代表)が、庄内地域の名産「干し柿」を使ったメニュー3種を考案し20日昼、活動の拠点にしている同市の「日向里(にっこり)かふぇ」で市民らに提供した。味わった市民は「うまい」と太鼓判。退田代表(20)=2年=は「庄内柿の良さを知ることができた。喜んでもらいうれしい」と話した。
県庄内総合支庁などが2022年度から進めている、地元の学生から庄内地域の食の魅力について理解を深めてもらう体験事業「旬の食材 味わいキッチン」の一環。プラクシスメンバーは昨年12月以降、厚生労働省制定「現代の名工」で「食の都庄内」親善大使を務める土岐正富さん(庄内町)の指導で庄内産食材、郷土料理に関する知識を深めてきた。
プラクシスは毎月第3土曜日の昼、自ら栽培した野菜をふんだんに使って調理したメニューを日向里かふぇで販売しており、これまでに▽冷やし坦々そうめん▽厚揚げを使ったそぼろ丼▽バターチキンカレー―など提供、「常連客」がいるほどの人気ぶりとなっている。今回は土岐さんの助言を受け、鶴岡市の障害者支援オフィス「ひので」の利用者が手掛けた干し柿を用い、▽パスタ▽イタリアンサラダ「カプレーゼ」▽どら焼き―の3品を考案し、「庄内柿の干し柿づくしランチ」と称したセットメニューを1000円で提供した。
パスタではソースの甘味づけに、どら焼きではあんに練り込む形で干し柿をそれぞれ活用。この日はメンバー7人が厨房に入り、午前11時ごろから事前に予約を受け付けた約30食を順次提供。味わった地元の無職、三浦正博さん(70)は「どの料理もおいしい。カプレーゼの生ハムと干し柿の組み合わせが特にお気に入り」と。退田代表は「干し柿料理に関するノウハウがなく、一からの模索となった。包丁にねっとりした実が付くので大変だった。それでも喜んでもらえる品になったと思う」と話した。
日向里かふぇに隣接する日向コミュニティセンターでは同日、公益大生による「にっこりランド」も同時開催。地元の子どもたちと学生たちが正月遊びで交流を深めた。