2024年(令和6年) 4月23日(火)付紙面より
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県庄内総合支庁産地研究室は、農産物の温暖化対策の一つとして農研機構(静岡県)が育成したレモンの新種「璃(り)の香(か)」の試験栽培を行っている。酒田市飛島の試験地に植えた高さ約1メートルの3年木の生育状況を調べる。研究員は「まず冬に枯れないか。その後、実をつけて品質と収量はどうなのか。『璃の香』が庄内の気候に適応できるか見定めたい」と話している。
レモンの品種の中でも「璃の香」は病気と寒さに強い特性を持つ。皮が薄くドリンク類や焼き魚といった料理に果汁を搾りやすい。広島を中心に瀬戸内の温暖な気候で栽培されている。10アール当たりの平均収量は3650キロと多いのも特徴だ。
気候変動で果樹の栽培適地が移動する中、県は2010年に「地球温暖化に対応した農林水産研究開発ビジョン」を策定。20年後、30年後を見据えた気候に対応する果樹生育について研究をスタートした。これまで対象にしたのはかんきつ類のユズ、ウンシュウミカン、タンゴール、カボス、ライムなど。その中でスダチの適性が高いことが分かり現在は鶴岡市や遊佐町で十数人の生産者が栽培・出荷の軌道に乗せている。
「璃の香」の苗木(3本)は今月19日に飛島の試験地に定植した。今後、研究員が▽庄内の冬の気候に耐えられるか▽数年後、確実に実をつけるか▽品質はどうか―の大きく3段階について産地として適合するか調べる。他には十数年後に山形県が適地と予想されるウンシュウミカンの研究も続けている。
産地研究室の明石秀也専門研究員は「これまで当たり前に栽培されてきた農産物が気候変動の影響を受けて収穫が難しくなる恐れはあるが、温暖化を逆手にとり安定的に生産できる樹種を探し当てることが必要。栽培適性だけでなく、消費者に好まれる果物でなければならない。年数はかかるが、さまざまな角度から調べたい」と語った。
2024年(令和6年) 4月23日(火)付紙面より
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難病カフェin庄内が20日、酒田市の駅前交流拠点施設「ミライニ」3階研修室で開かれ、当事者や家族が病気や生活での悩みなどを話し合った。
難病患者や支える家族らが、病気や普段の生活、困り事などを気軽に話し合える場を設け、孤独になりがちな療養生活の不安や寂しさを払拭し、難病を抱える仲間と出会うことで前向きな気持ちを持ってもらおうと、難病患者の支援に取り組む「難病・障がいコミュニティにじいろ」(梅津真由美代表)が開いた。
この日は庄内一円から10―70代の筋ジストロフィー、パーキンソン病などの難病患者やその家族ら約50人が参加。
最初に自身も炎症性腸疾患患者でIBDネットワーク副理事長を務める木村浩一郎さん(55)=宮城県亘理町=が体験発表。木村さんは「14歳ごろから日に何度も腹痛や頭痛に悩まされていたが、診断がつかず20歳ごろにようやく確定診断が出た。日常的にトイレの回数が多くなるので、トイレの場所を確認してから外出しなければならない」「内部疾患なので見た目には分からない。地域行事に参加して周囲に病気のことを理解してもらっている。普段からそうした環境を作っておかないといざというときに対応してもらえない」などこれまでの苦労や経験などを伝えた。引き続き行われたフリートークでは、参加者は「病名が確定しないとサポートが受けられない。今は薬を探しているところで気持ちも経済的にも向き合うのが大変」「調子の良し悪しの差が大きい。薬が効いている間は我慢できるが、効かなくなると体が重くなってつらい」など、病気や生活の問題について意見交換した。