2024年(令和6年) 9月10日(火)付紙面より
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遊佐町沖、酒田市沖で進む洋上風力発電の事業化に向けて国土交通省は今年4月、酒田市の酒田港を港湾法に基づく「海洋再生可能エネルギー発電等拠点港湾(基地港湾)」に指定。2027年度中の完成を目指す同港洋上風力発電基地港湾の整備着工式典が8日、同市のガーデンパレスみずほで開かれ、関係者がくわ入れ、くす玉割りで工事のスタートを祝った。
再エネ海域利用法に基づく「促進区域」の指定を受ける遊佐町沖の想定海域は、鳥海国定公園区域を除いた上で沿岸漁業に配慮し海岸線から1カイリ(約1・8キロ)離れ、南北約8・3キロ、沖合約5キロに広がる。着床式で発電出力は45万キロワットを見込んでおり現在、事業者の選定作業が進められている。一方、酒田市沖は、促進区域の前段階に当たる「有望な区域」の指定を受け今後、国や県、市、漁業関係者らによる法定協議会が設置される。
洋上風力発電設備の設置・維持管理には重厚長大な資機材を扱うことが可能な地耐力・広さを備えた埠頭(ふとう)が必要。そのため同省は2020年2月、国交大臣が基地港湾を指定し、発電事業者に対して長期・安定的に貸し付ける制度を創設。酒田港は青森港(青森市)とともに今年4月26日に指定された。
酒田港洋上風力発電基地港湾は、外港地区国際コンテナターミナル南側に位置する埋立地のうち「大浜西埠頭」約34ヘクタールを活用。風車建設に必要な資材を運ぶ大型船の出入港、運び込まれた資材の仮置き場として利用するため、いずれも水深12メートルの岸壁と泊地・航路、消波ブロックによる防波堤、外周道路など埠頭用地を整備する。国と県合わせた事業費は122億円を見込んでいる。
式典は県と国交省酒田港湾事務所が主催し関係者約50人が出席。吉村美栄子県知事が「洋上風力発電は事業規模が大きく、経済活性化も期待できる。本県は広いが、貿易港は酒田港のみ。官民一体となって酒田港の発展に取り組んでいかないといけない。引き続き協力を」、稲田雅裕国交省港湾局長が「風況の良い日本海側は洋上風力発電プロジェクトの推進に最適。国交省として酒田港の整備・振興を通して酒田市、山形県、東北地方の経済発展に全力を尽くしていく」とあいさつ。加藤鮎子内閣府特命担当大臣(衆院山形3区)、本県選出の舟山康江、芳賀道也両参院議員、安川智之酒田市副市長、新田嘉一庄内開発協議会最高顧問が祝辞を述べた。
藤原弘道酒田港湾事務所長が事業概要を紹介。関係者がくわ入れ、くす玉割りを行って着工を祝った。