2023年(令和5年) 6月2日(金)付紙面より
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地域全体で肺炎や心不全などの患者の療養生活を支援しようと、鶴岡市立荘内病院(鈴木聡院長)、鶴岡協立病院(鶴岡市、堀内隆三院長)、庄内余目病院(庄内町、寺田康院長)の3つの病院が31日、患者ごとの診療計画表(クリティカルパス)を作って共有し、役割分担しながら治療・療養を進める地域包括ケアパス連携協定を締結した。地域にある医療資源を機能的に活用し、療養生活に対する患者や家族の不安解消を図るとともに、入院日数の短縮や病床稼働率の上昇にもつなげる。
65歳以上の肺炎、心不全患者ら 診療計画表共有 回復期など分担
3病院による連携協定でケアパスの対象となるのは、原則として65歳以上の高齢者で誤嚥(ごえん)性を含む肺炎、尿路感染症、心不全などの患者。今年4月に「鶴岡・田川3病院地域包括ケアパス協議会」を立ち上げ、肺炎については5月15日から荘内病院の入院患者2人を対象にクリティカルパスの運用を開始した。
荘内病院によると、県内の主要な総合病院のうち、同病院が受け入れる肺炎、尿路感染症、心不全の入院患者数が他の病院に比べて多く、救急分野の急性期医療とともに回復期の医療も併せて入院に伴う平均在院日数が30日間程度と長引く傾向があるという。3病院が連携した診療計画を作成することで、鶴岡協立病院と庄内余目病院が回復期の治療を担い、1病院当たりの在院日数を短縮することができるという。
クリティカルパスに、急性期を終えて回復期のリハビリなどをいずれの病院で行うかなどを事前に示すことで、患者や家族の不安解消につながり、急性期患者の転院先をその都度探す医療者側の負担軽減も図られることが期待できる。同協議会は今後、地区医師会やかかりつけ医、介護保健施設などへの参加を呼び掛け、地域包括ケアパスの運用の幅を広げていく考え。
3病院による連携協定締結式が31日、荘内病院で行われ、それぞれの院長が協定書に署名した。締結後、鶴岡協立病院の堀内院長は「病院の減少など地域の医療資源が枯渇する中、3つの病院が1つの病院として振る舞って地域医療を展開し、住民の健康と命を守っていく」、庄内余目病院の寺田院長は「医療機関ごとの連携ではなく、一人一人の患者の症状に合わせた連携であることが特徴。この連携を土台に庄内全体に、同様の網の目を広げていきたい」と話した。
同協議会の会長を務める荘内病院の鈴木院長は「限られた医療資源を有効に活用するなど、病院の機能に合わせて患者の治療を選択していかなければならない。地域全体で包括ケアに協力し合っていくことは、患者にとってもプラスの面が多いと期待している」と話していた。