2022年(令和4年) 3月10日(木)付紙面より
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発生から11年目を迎える東日本大震災の3月11日を前に、庄内町の余目中学校(佐藤義徳校長)の生徒が8日、同庁舎で、発生日と前日に防災行政無線で放送される震災で亡くなった方への慰霊を呼び掛けるメッセージを録音した。メッセンジャー役を務めた同校3年で生徒会副会長の佐々木琉麻(りゅうま)さん(15)は「後輩には震災の記憶がない人もいる。後世に伝えるために思いを込めた」などと話した。
同町は1999(平成11)年、旧立川町と現在の南三陸町を構成する旧歌津町が友好町の盟約を締結。震災時は庄内町からもいち早く炊き出し班を南三陸町に派遣、被災者に温かいおにぎりを届けるなど支援、南三陸町側からはお礼として新鮮なワカメが届けられるなど、合併後の現在に至るまで交流を続けている。
同校でも2学年の親子行事で南三陸町を訪れたり、自分たちが学校で育てたトマトを被災者に送るなど交流している。震災から10年が経過し、同校生徒会では今年のテーマの一つに「震災を知る」を設定。昨年10月の文化祭で、南三陸町の防災庁舎で津波襲来直前まで町民に避難を呼び掛け続けて亡くなった町職員、遠藤未希さん=当時(24)=の活動を再現した寸劇を披露し、下級生に震災の悲劇を伝えた。メッセージ収録もこうした活動の一環で2017年から毎年行われており、今年で6回目。
この日は佐々木さんがリハーサル後に緊張した面持ちで本番収録。復興支援ソング「花は咲く」に合わせて、「震災を忘れず、2つの町をつなぐ活動を通して南三陸町を応援していきたいと思います」「町民の皆さまから黙とうをささげていただきますようお願いします」などとはっきりとした口調で語り掛けた。
収録を終えた佐々木さんは「自分が納得できるまで収録できたので良かった。今回のメッセージ収録で自分もあらためて震災を思い起こすことができた。後輩には震災の記憶がない生徒もいるので、知らない人には震災を知ってもらいたいし、知っている人には後世に語り継いでもらいたい」と話していた。
収録されたメッセージは、今月10日午後6時45分、同11日午前7時45分の2回、庄内町内のコミュニティセンターなどに設置された防災行政無線のスピーカーから同町全域に向けて放送される。