2006年(平成18年) 2月16日(木)付紙面より
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県は14日、2006年度予算案の編成に合わせて作成した、10年度までの5年間の県財政収支の中期展望を発表した。財政再建団体への転落を回避するため、さらなる歳出削減に向けた「改革の断行」を打ち出した。
中期展望によると、財源不足額は06年度が526億円で、07―10年度は439億円、470億円、516億円、560億円と推移した。財源対策を講じない場合、07年度には調整基金が枯渇して264億円の財政赤字となり、財政再建団体に転落する約150億円を突破する。
このため展望では、遊休財産処分、財源対策のための県債発行などの歳入確保、人件費縮減や事業の廃止・縮小などによる歳出削減をさらに進め、財源不足に対応するとしている。人件費縮減など「聖域なき改革」による5年間の歳出削減額は、計1175億円まで積み上がっている。また、財政収支の試算は、調整金残高を財政運営に必要な100億円程度は、確保し続けることを前提としている。
一方、今回の中期展望では、新たな財政健全化目標として、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の指標を掲げている。借金に当たる県債を除いた歳入と、借金返済に充てる元金償還費・利払い費を除いた基礎的歳出の差を示す指標で、このプライマリーバランスの黒字額で借金の利払い費を賄うことを目指し、県債残高の増加を抑えて財政の自由度を確保す
る。
06年度当初予算案のプライマリーバランスの黒字額は219億円で、利払い費は213億円。差額の6億円を借金の元金償還に充てることができ、県は06年度予算案で初めて、県債残高が前年度末より減少すると説明している。
齋藤弘知事は14日、当初予算案を県議会に内示した後の記者会見で、「プライマリーバランスの黒字が利払い費を上回るなど、06年度予算は財政健全化に向けて着実な一歩を踏み出し、大変意味のある姿になった。これを持続していかなければ、財政の自由度は回復できない」と述べ、さらなる「改革の断行」を強調した。